子育てと育児

我が国の育児事情は、本格化した少子高齢化社会を迎える一方で、親によるわが子への虐待が後を絶たず、全国の児童相談所や市町村への相談が増加の一途を続け、歯止めがかかっていません。厚生労働省は少子化社会対策大綱に沿った、具体的な施策内容と目標を提示し、育児・子育ての新たな支え合いと連帯について、全国どこえでも歩いていける場所で気兼ねなく親子で集まって育児の相談や交流ができる暮らしができること、全国どこでても保育サービスが利用できること、児童虐待で子どもが命を落とすことがない社会をつくること、妊婦や乳幼児連れの人が安心して外出できることを挙げています。子育てや育児、医療、教育といった次世代を担う子ども達の育成に向けた総合的な施策が急務となっており、今こそ広く国に安心して子育て育児のできる環境を作りあげていくことが求められています。

子育てと育児

少子化対策と育児

2005年は、日本が1899年に人口動態の統計をとり始めて以来、初めて出生数が死亡数を下回り、総人口が減少に転ずる人口減少社会が到来しました。出生数は106万人、合計特殊出生率は1.25と、いずれも過去最低を記録しました。この少子化傾向が続くと、人口減少は加速度的に進行し、21世紀半ばには総人口は1億人を割り込み、2100年の総人口は現在の半分以下になると見込まれます。土地や家も必要となくなり、人口の高齢化もさらに進行して、やがて3人に1人が65歳以上という極端な少子高齢化社会がやって来ます。急速な人口減少は、経済産業や社会補償の問題だけではなく、国や社会の存立基盤に関わる問題です。政府は、1990年代半ばからのエンゼルプランに基づき、少子化対策を推進してきました。2003年には、少子化社会対策基本法、次世代教育支援対策推進法が制定され、2005年度からは、少子化社会対策大綱とその具体的な実施計画である子ども育児子育て応援プランに基づき少子化対策が推進されてきました。しかし、従来の対策のみでは、残念なことに少子化の流れを変えることができませんでした。出生率の低下傾向を反転させるには、少子化の背景にある社会意識の改革。家族の重要性の再認識。若い世代の不安感の原因。などに総合的に対応した更なる少子化対策が必要です。

社会全体の意識改革

出生率の向上のためには、家族の絆や地域の絆を強化することにつきます。家族の大切さが理解されなければ、いかなる育児支援施策も実りません。子どもの誕生を祝福し、子どもを守り育てることは、社会の基本的な責任です。子どもを家族が育み、家族を地域社会が支えるような社会であってこそ、各種支援施策が効果を発揮するものです。国、地方公共団体、企業、地域社会等の連携の下、社会全体の意識改革を進めることが重要です。

お金と育児

若年世代には、お金などの経済的な負担の大きさ、家庭と仕事の両立の困難さ、育児についての不安など、子どもを生み育てることをためらわせる経済的、あるいは心理的な負担感が強い。育児支援は、単に家計や親の負担を軽減することのみが目的ではなく、親子の関係を良好にし、育児の喜びを実感できることを通じて、家族の絆を強めることにつながらなくてはなりません。そして、家事や育児を行なうことが極端に制約される職場の働き方を改め、親子や夫婦が共に過ごす時間を増やす等、仕事と家庭との調和を図ることも重要です。子育て家庭は子どもの成長に応じてさまざまなニーズや懸念があり少子化対策は推進される必要があります。育児は、まず家族の責任ですが、子育て家庭を、国、地方公共団体、企業、地域等、社会全体での支援。親が働いているいないにかかわらず、すべての子育て家庭を視野に入れ、在宅育児や放課後対策も含めた、地域の育児支援の拡充。子どもを生み育てる人が、就業等において不利な立場に陥らないよう、仕事と育児の両立支援の推進や、子育て期の家族が、子どもと過ごす時間を十分に確保できるようにし、男性も含めた働き方の見直し。親の経済力が低く、仕事や家庭生活の面でも課題の多い出産前後や、乳幼児期において、家計やお金の負担の軽減を含めた総合的な対策。就学期における、子どもの安全確保に関する対応や、出産、子育て期の健康医療ニーズに対応できる体制を強化し、特別な支援が必要子どもと、その家族支援の充実。
政府が新たに打ち出している少子化対策の推進では、育児支援として妊娠出産からの入幼児期に出産費用のお金の負担軽減を図り、安心して出産できる環境整備の推進と、子どもが入幼児期にある子育て家庭を支援。小学校入学前には子育ての喜びを感じながら育児ができるような子育て家庭への支援と、地域の育児サービスの充実。小学生期には放課後時間を有意義に過ごすとともに、登下校時等の安全を確保。そして中学生、高校生、大学生期には教育費の負担軽減を図るとともに、学生のベビーシッターを養成。働き方の改革として若者の就労支援や、パートタイム労働者の処遇改善の推進、女性の再就職支援などの最チャレンジが可能な仕組みの構築を推進、企業の子育ての支援の推進や長時間労働の見直し等、従来の働き方改革。家族、地域の絆を再生する国民運動の推進。社会全体で子どもや生命を大切にする運動などを取組んでいます。
少子化問題は、日本のあり方問われている課題でもあります。各種の施策を組み合わせつつ、国、地方公共団体、地域、家族、個人など社会を構成するすべての主体が、それぞれの責任と役割を自覚し、子どもと家族を大切にする視点に立ち、積極的に取組みを進めながら、常にその過程を検証し、更に充実させていくことが重要です。少子化対策を国の基本にかかわる最重要課題とする社会全体の共通認識のもと、それぞれの主体が、諸施策の推進に携わり、日本の未来と将来世代のために、総力を結集するときを迎えています。

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