実験器具の与え方

 このごろは、メーカーがいろいろな実験器具を用意して販売していますが、学習に必要な器具といっても多種類のものがあり、まよってしまいます。子どもの興味のある内容の器具を与えるとか、逆にきらいな内容を好きにさせるため与えるとかいろいろ与え方もあると思われます。どんな目安で与えるのがよいのでしようか。
 最近は、デパートの文房具売り場の一角に、さまざまな実験器具が並んでいます。また、教材セットという形で、化学実験セットも販売されていますし、教育雑誌の付録で販売されることもあります。
 理科の苦手なお子さんをお持ちのお母さんは、このような実験器具を買い与え、家で実験でもさせたら、このことが糸口になって理科好きになるのではないか、理科の成績も上がるのではないかと、ふと思われるかもしれません。しかし、お子さんが欲しがらないのに、お母さんの方から一方的に買い与え、せっかく買い与えたのだから使わせたいと、無理じいするようなことになればかえって逆効果です。
 また、理科の好きなお子さんの中には、学校で器具を使っての実験が行われると、家でもやってみたい、本式の器具を使ってやってみたいとの考えから、さまざまな実験器具を欲しがることがあります。顕微鏡、ビーカー、フラスコ、試験管、シャーレ、カバーグラス、アルコールランプ、三脚、上皿てんびん、バネ計り。
 本当に欲しがった場合、買い与えてもよいのですが、その際、いくつか注意することがあります。

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 顕微鏡などはかなり高価なものですし、長く活用していくものです。ご両親がただ買い与えるのでなく、お子さんが毎月のおこづかいをためたり、お年玉から費用の一部を負担するというのもよいと思います。欲しいといえば、学習に役立つ品といえば、すぐ手に入るというよりは、苦労して自分のものになるほうが、よろこびも大きく、大切に使い続けていくと思います。
 一方、試験管やアルコールランプといった実験器具は、化学実験に夢中になっているその時にお子さんにとってぜひ欲しい品なのです。しかし、化学実験に対する興味が常に持続しているとはかぎりません。お子さんの興味は電気関係、あるいは天体へと、次々に移っていきます。あれほど夢中になって使っていた化学実験の器具には見向きもしないで、今度は電池、豆電球、モーターなど、電気関係の器具、用具、部品などを欲しがったりします。そんな時「あんなに欲しがって買ったアルコールランプや試験管はもう使わないの、もったいないわね」などと、お子さんをなじるようなお母さんの発言はつつしみたいものです。
 お子さんの興味は移っていきます。関心も移っていきます。それぞれの実験器具は興味を持っているその時、お子さんにとっては、今欲しい品なのですから、今、役割を果たしたら、次にまた、同じような分野に興味をもってその器具が活用される時まで大切に保管しておくようにすればよいのです。
 ところで、すべてがセットされ、実験のやり方も指示してあるようないたれりつくせりの実験器具セットは、お子さんの創造性が入り込む余地が少ないので、あまり適切とは思えません。市販の器具に、家庭の中で利用できるさまざまなものを組み合わせて、実験に取りくむようにさせたいものです。
 例えば、お湯のわき方を調べる場合、ビーカーがなくても耐熱ガラスのポットで十分です。お湯がわく時の流れを見るためには、おがくずを入れなくてもみそでもわかります。
 こんなふうに、身のまわりの用具でも間に合うものがたくさんありますので、実験器具は学校にあるものと同じでなければという固定的な考え方をすて、実験器具も手作りのものを取り入れていくようにするとよいと思います。実験器具を作ることそれ自体も学習なのです。発泡スチロール、プラスチック、板切れなど、いざという時役立ちますので、心がけてとっておくとよいと思います。
 ちょっと視野を広げれば、こと改まった器具や薬品などを使った実験でなくとも、生活の中に、調べたいこと、実験したいこと、手軽な材料で実験できる素材がいくつもみつかります。次のような例はどうでしょうか。
 どんなボールがよくはずむか。スポーツや遊びで使っているさまざまな種類のボールのはずみ方やはずむ力はどのようなちがいがあるか。同じ高さから落としたとき、ボールの種類によってはずむ高さのちがいを調べる。同じ種類のボールでも条件を変えるとはずみ方が変わるかどうか。高さを変えてボールを落とすと、はずむ高さはどのように変わるか調べる。ボールの落ちるところに板を置き、板の角度を変えると、ボールのはねかえる方向はどうなるか調べる。ボールの落ちるところを、コンクリート、板、土、ふとん、といろいろ変えると、ボールのはずみ方はどう変わるか調べる。よくあたためたボールと冷したボールとでははずみ方はどうちがうか調べる。
 紙は種類によってどんなちがいがあるか。和紙、新聞紙、セロハン紙など、紙の種類によって強さはちがうだろうか。同じ巾に切ってつるし、重りをつけて調べる。紙を二枚重ね、四枚重ねにしたとき、強さも二倍、四倍になるだろうか。重りをつけて調べる。紙の種類によって、水やインクのしみこみ方はどのようにちがうだろうか。
 なるほど、このようなことなら身のよわりにいくらでもある、いくらでも調べられると気づかれることでしょう。お子さんが、さまざまな事物や自然現象を見て、比較したり、関係的にとらえたり、原因を考えたり予測したりしていくこと、自分の手足を使って調べ、ためしていくことが、理科の力を高めることにつながっていくのです。

特定の学科だけ好きな子/ 特定の学科だけ嫌いな子/ 国語を好きにさせるには/ 辞書を利用させるには/ 作文の嫌いな子/ 読書の嫌いな子/ 算数を好きにさせるには/ 計算間違いの多い子/ 理科好きにさせるには/ 実験器具の与え方/ 社会科を好きにさせるには/ 地図や図鑑の利用/ 地域観察とは/ 図画工作を好きにさせるには/ 怪獣の絵ばかり描いている子/ 音楽好きにさせるには/ 流行歌だけに興味をもつ子/ 家庭科を好きにさせるには/ 家庭科と男の子/ 体育好きにさせるには/ 水泳の教え方/ ダンスと男の子/ 英語好きにさせるには/ 辞書を引きたがらない子/

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