社会科を好きにさせるには

 小学校四年生の男の子ですが、社会科がきらいで困っています。昔からよく暗記する学科といわれますが、記憶力が弱いため社会科がきらいになったのでしようか、どのように指導すればよいのでしょうか。
 地名、年代など、覚えることが多いために、社会科は暗記教科と錯覚している方があるようですが、これはまちがいです。
 お子さんにとって、何の興味も、必要感もないことは覚えられません。無理に丸暗記で覚えたとしても、単に覚えたというだけで、そのような知識は活用できません。つまり、丸暗記は無意味ということです。
 地図を例にとってみましょう。まず、地図記号を、次いで県庁所在地や主要な都市を、そして、大きな山脈、河川、平野をといった覚え方をしていったのでは、それらは、お子さんの頭の中でまさにバラバラで生きた知識とはなりにくいのです。
 では、次のT君の事例はどうでしょうか。テレビで野辺山の農業の様子が放映されました。東京に住んでいるT君は機会があったら実際に行って自分の目でじかに見てみたいと思いました。東京から行くとしたら交通機関はどうなんだろう。鉄道は何線が走っているのだろうか。自動車でいくとしたら国道は近くを走っているだろうか。地図を開いて確めてみます。鉄道や道路についているこの記号は何だろう。地図帳の凡例のところで記号を確かめます。なるほどトンネルか。山の多いところだからだ。野辺山のあたりはいったい何メートルぐらいの高さなんだろうか。このあたりに大きな川は見当たらない。農業用の水はどうしているのだろう。ずい分海抜高度が高いところだから冬はきびしい寒さにちがいない。地図帳の気候図で調べればどのくらい寒くなるかわかるかな。
 T君は、疑問を土台に地図帳を開き、興味、関心に支えられて、関連的、発展的に考えを広げていっています。ここでは個々がバラバラではなく、自然の様子と人間生活が重なり合っています。このように肉づけを持たせて具体的に順に入っていった地名や山脈、河川、平野名、地図記号といったものは、お子さんの中に定着し、記憶にも残るのです。

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 M子さんはお母さんに頼まれてよくスーパーにお使いに出かけます。野菜をつめたダンボールの箱には産地が印刷されています。一つ一つ網袋に入っている場合には、網袋にラベルがついています。気をつけてみると、ずい分遠くの地方からも送られてきています。M子さんは、いったいどこからどんな野菜が送られてくるのか調べて地図の上にまとめてみようと考えました。
 まとめていくうちに、M子さんの住む東京には、日本各地から野菜が送られてくることがわかりました。そして、野菜によって産地がばぼ一定していることもわかりました。
 これは、それぞれの土地条件や気候とつくる野菜の種類、各産地と東京との交通の結びつき方などとも関係があるのではないかと考えました。考えを進め調べていくうえで、学習図鑑も参考になりましたが、教科書の気候や地形のちがいと人々のくらしも参考になりました。
 ゴミの車が都合で予定の日より二日遅れました。集収所はゴミの山です。K子さんは決まった日にゴミを出せば、取りに来てくれるのは当たり前のことと思っていましたが、そうでないことに気がつきました。
 わたしたちが、住みよいくらしをしていくためには、生活でいらなくなった物、廃棄物の処埋かきちんと行われなくてはならないとしみじみ思いました。K子さんは、どんなしくみでゴミが集められていくのか、その仕事はどういう人たちがやっているのか疑問に思い調べてみることにしました。
 S君はテレビで北海道地方の洪水のニュースを見ました。自然の力のものすごさを思い知らされると共に、洪水による農作物の被害、それが、その土地の人々だけでなくわたしたちの生活に与える影響も考えました。また、洪水を防ぐためにどんな手だてをしているのだろうかと考えました。ふりかえって、自分たちの地域でも地域を流れる河川の洪水に備えてどんな手だてをつくしているか、現在だけでなく、過去にもさかのぼって、その苦心を調べてみようと思いました。
 これらの例にも見られるように、社会科の教材、学習材料は、きわめて身近にあるのです。ただ気づかずに見すごしてしまっているのです。身近な現象に目を向け、関連づけたり比較したりして考えを深め広げていくことが、実は、社会科を好きにし、社会科の力をつけるコツでもあるのです。
 社会科の学習資料には、直接資料と間接資料が含まれます。
 直接資料は、現場学習や観察学習から得られる社会の事実です。これが重要なことは、いままでふれてきたとおりです。お子さんが直接資料に取り組むことは、見えるものから見えないものへ、見えないものから見えるものへの考える場の中で思考をねりあげていくことができるからです。
 しかし、お子さんが直接、その事実に対面できるものは、空間的にも時間的にも限界があります。そこで、間接資料が重要になります。読み物、地図、年表、新聞、ラジオ、テレビ、パンフレット、県政市政ニュース等いずれも犬切な資料です。
 問題発見や解決のために、これらの資料を十分活用したいものです。資料の中に見られる写真、説明文、簡単な統計、グラフ、模式図といったものを読みとる力をつけながら、これらを社会事象をとらえるうえに役立てることが重要です。
 いずれにせよ、社会科は暗記教科ではなく、問題解決の教科であり、その問題はごく身近にあり、日々の生活の中で、問題解決の力をつけていくことができることを知って欲しいのです。

特定の学科だけ好きな子/ 特定の学科だけ嫌いな子/ 国語を好きにさせるには/ 辞書を利用させるには/ 作文の嫌いな子/ 読書の嫌いな子/ 算数を好きにさせるには/ 計算間違いの多い子/ 理科好きにさせるには/ 実験器具の与え方/ 社会科を好きにさせるには/ 地図や図鑑の利用/ 地域観察とは/ 図画工作を好きにさせるには/ 怪獣の絵ばかり描いている子/ 音楽好きにさせるには/ 流行歌だけに興味をもつ子/ 家庭科を好きにさせるには/ 家庭科と男の子/ 体育好きにさせるには/ 水泳の教え方/ ダンスと男の子/ 英語好きにさせるには/ 辞書を引きたがらない子/

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