地域観察とは

 社会科では、社会見学をかねてよく野外で学習しますが、うちの子はあまり関心がなく困っています。学校で習った知識を実際に社会にでて確かめることは大変必要です。野外学習をするに当たって配慮しなければならないのはどのようなことでしょうか。
 理科の学習に観察や実験が欠かせないように、地域観察は社会科学習と不可分です。
 しかし、一口に観察といっても、じっと見る、比べて見る、数えて見る、つなげて見る、分けて見る、まとめて見るといったさまざまな見方があります。お子さんが、ねらいに関連して、その場に応じた見方、考え方を選択したり、組み合わせたりできるようになることが望ましいのです。駅前に出かけてみます。銀行やビルが目立ちます。商店も並んでいます。自分の家の近くの商店のようすと比べてみます。駅前の商店は専門店が多いことに気づきます。洋品関係の店だけで八軒もあります。なぜだろうか。駅を利用する大勢の人とも関係がありそうです。バスがいろいろなところから駅前に集まってきていることとも関係があるかもしれません。このように、どこに何かあるから出発して、それは何につながっているのか、何を意味しているのかと考えを進められるようになると、観察のおもしろみは増してくるのです。
 地域観察に興味の薄いお子さんの場合、お母さんがお子さんといっしょに社会事象を具体的に観察し、お子さんの見る目を育てていくことも望ましい一つの方法です。

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 社会事象を観察し、そこに見られる事実を認めることはできても、一歩つっこんで、その意味を考えさせると、答えにつまってしまうお子さんが案外多いものです。しかし、なぜと疑問を持ち、考え、なるほどとうなずく、この過程が学習を支えていくとさえいえるのですから、このように事象の意味を考えようとする姿勢は大切です。
 苦手なお子さんには、お母さんがちょっと手をさしのべ、意味を考える習慣づけの糸口をつけてほしいと思います。
 いっしょに魚屋さんに買い物に行った時、「どんな並べ方をしてある」と、ひとこと問いかけてみてください。「種類べつに分けてある」と答えがかえってくるでしょう。「なぜ」と、ふたたび問いかけてください。「だって、分けて並べなきや、ごちゃごちゃしてなにがあるかよくわからなくて、買いにくいじゃない」この答えで、もう意味を考える第一歩を踏み出したことになります。お子さんは「八百屋さんでも、野菜、くだものと分けてあるし、野菜も種類べつになっている。やっぱり買いやすく並べてある」と考えの枠を広げていきます。適切な「なぜ」のひとことが、考えることのすきなお子さんを育てていくのです。
 F君は、家の近くにある三軒の文房具店のうち、いつも買いに行く店が決まっています。「なぜ」と考えてみました。一つは、品物がたくさんあることです。そして、お店の人がみんな親切で、気持ちよく買えることです。そこで、さらに、わたしたちにとってよい店とは、どんな店なのかと考えてみました。よい品物がある、買いやすい、いつでも買える。などのいろいろな条件が考えられました。
 わたしたちにとってよい店であることは、お店の人が工夫していることの表れとも受けとれます。どんな工夫をしているのだろうか、F君は、観点を決めて調べてみることにしました。観点は次のように整理してみました。
 店のようす(品物の種類・道具・設備・並べ方)働いている人の様子(服装・仕事・かけ声など)お客さんの様子(買い方・どんな人が多いか・店の人と話していること)
 この観点で、実際に、文房具やさんと八百屋さんを調べているうち、もっと知りたいことが出てきました。店を開ける時間と閉める時間、一番忙しい時間、値段はどうやって決めるのか、残った品物はどうするのかなどです。そこで、もう一度、店を訪ね、お店の人にたずねてみました。インタビュー形式の調査です。
 結果は、二つの店が比べられるような観点別の表に整理しました。F君は、また、この表を見てさまざまな発見をしました。
 それは、文房具やさんと八百屋さんの工夫の違いは、商品が腐らない文房具と、腐る生ものの野菜であることとも関係があるように思えてきました。
 このF君の例でもわかるように、身近にある対象を実際に比較観察することにより、さまざまな発見があり、発見の喜びから学習にもはずみがついてくるのです。
 比較の手順としては、比較することがらをはっきりさせる、比較する内容を決める、共通している点を見つけ出す、違っている点を見つけ出す、全体としていえることをまとめるなどが大切です。
 駅で一枚のポスターが目にとまりました。「時差通勤・通学にご協力ください」という呼びかけのポスターです。「混雑が大変なほど、通勤や通学の人が同じ時間に集まる。そんなにこの町から通勤や通学で出かけていく人が多いのだろうか」M君は、駅の人に時間別の一日の乗降客の数を間いてグラフにしてみることにしました。なるほど、朝の八時から九時にかけてこの駅を利用し、大勢の人がこの町から出かけていきます。そして、夕方六時ごろから降りる人の数は増し、みんながこの町に帰ってくることがわかりました。M君は、この駅の利用状況と町の住宅分布、町の人の仕事を関連的にとらえ、自分たちの町が、住宅の町であることをつかんでいきました。
 M君に見られる関連的に見る、考えるという姿勢は、小さな疑問を深く、広く追求していく姿でもあるのです。
 ふだん何げなく見過ごしている身のまわりに、改めて目を向けてください。お子さんを地域観察の興味へさそい込み、力をつける素材はいくらでもあるのですから。

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