図画工作を好きにさせるには

 小学校五年生の男の子ですが、図画工作がきらいで困っています。以前はよくプラモデル等でいろいろ作って喜んでいましたが、このごろは全然関心をもちません。どのようにすればよいのでしようか。
 この時期のお子さんは、発達の上からみると、物の大小関係、位置関係、時間的前後関係が理解されるようになり、創造的思考の発達が著しくなります。社会的にもグループ集団や、学級集団への関心が強くなります。
 ですから、プラモデルにさえ関心を示さなくなったとお母さんはご心配のようですが、きめられた約束どおりに組み立てていくことに興味を持たなくなったとも思えますし、外への関心が強く、家の中でのプラモデル作りといったことには時間をさかなくなってきたのかもしれません。
 ところで、高学年に入ると、構想を立て、見通しをつけて制作する能力は一段と進んできます。造形活動は充実した時期を迎えているわけですが、逆に、表現が停滞し、図画工作がきらいになるお子さんが出てくるのもこの時期の特徴です。
 それは、自分の目と、表現との間のずれを感じるためにおこってくると思われます。お母さんは、お子さんがそのような抵抗をのりこえて、作品づくりに取り組むよう、お子さんの作品のよい点をみつけ、ほめ、励まして欲しいと思います。

スポンサーリンク

 先にもふれたように、高学年になると、客観的な物の見方や感じ方が強く表れるため、技術が伴わず、お子さん自身、描くことに困難を感じます。
 そこで、表現することの楽しさを昧わったり、自信を持たせるために、見方や、表現の方法を具体的に指導することも大切になってくるのです。
 まず、対象を見る時は、はっきりした目的を持たせることです。形を主にしたり、色を主にしたりして対象をしっかり観察します。形では、全体の特徴、動き、つり合い、周囲との関係をつかみます。色では、色のもつ変化や透明感をつかみます。さらに、軽い重いといった感じや、対象から伝わってくるさまざまな情感を大切に受けとめることができるように、自身の観察の目、心の目ともいえる感性も育てていくことが心要です。
 さて、表現するに当たっては、何を表そうとするのか主題をはっきりつかむことが第一です。そして、その主題を表すための主要なものと、それを生かすまわりのものの形や色、大きさ、位置などを考えて構成を考えることが重要になってきます。
 また、精密に描く、大づかみに描く、形を主に描く、色を主に描くといったいろいろな描き方を試み、猫く力と右左を高めて、表現への自信を高めたいと思います。
 図画工作を好きにさせるには、表現技術を指導し高めていく一方で、描きたいという心を耕し育てていくことです。日常、身の回りのものに細かに目を向け、形の面白さ、色の美しさ、光と影、風の肌合いといったものに感動し、描いてみたいという思いを持たせることです。
 最近、都会では季節の移り変わりが見られなくなったとよくいわれますが、道路の片すみの草の芽吹きや街路樹の葉のしげり、色づきの変化、雲の流れ方など、小さなことにも季節感と美しさを感じとることができます。つまり、自分の受けた感動を、自分の感じた美しさを、色と形で表現してみたいという思いがふくらむことが大切なのです。この思いと技術が結びついてよい作品が生まれてくるのです。
 ですから、家庭生活の中で、日常、豊かな情感を育てていくことが重要になってくるのです。無味乾燥な日常生活からはよい作品を作り出すお子さんは育ってきません。温かさ、感動する心、豊かなことばのやりとり、そのようなことの積み重ねが、お子さんの感性をみがき、対象に対する細やかな、あるいは鋭い働きかけとなって、作品の表現に結びついてくるのです。
 先にもふれたように、表現のしくみは、形の組み立てと同時に、色を意識的に使うことが含まれています。色や、その性質を生かした表現による心象の深まりも大切です。
 水彩絵の具を使った場合について考えてみましょう。水彩絵の具の性質を生かした表現というと、混ぜ合わせて色を出す、色を二色以上重ねてぬり、下から浮き出る色の効果をねらう重色、絵の其の透明さを利用して水をたっぷり含ませた淡色ぬり、水を含ませた上に絵の具を置いていくにじみぬり、一度ぬった色がすっかり乾かないうちに、上から色を置いてにじませたり、ぼかしたりするぼかしぬり、筆のタッチを充分に生かした線描き、または面描き、などがあり、主題の表し方の必要に応じて、描写の工夫をしていくことが望ましいのです。
 何を、どのように表現するか、しっかりと課題意識を持って作品づくりに取り組み、作り上げていく力を育てていきたいものです。
 男のお子さんの場合、立体に取り組むことには、案外興味を示されるかもしれません。家庭でも、生活に密着したことの中で、作る仕事があります。簡単な本立てや自分用の椅子など、手作りの作業を通じて、便利に丈夫にのみでなく、個性的で美しいものを作り出していく感覚や技術をみがいていく場は、数多くあると思われます。
 その際、道具を使いこなせる力をつけていくことも大切です。道具の性質を知って、自分の一部として使いこなせるようになれば申し分ありません。
 お子さんの表現力を高めるためには、できるだけ、すぐれた作品にふれる機会を持つことです。
 作品から、作者の願いや、努力のあとをみとること、感動を受けることが、そのまま学習です。高学年ともなれば、作品に対する好みもはっきりしてきますが、自分のあまり好まない作品からも、作者の表現意図はくみとることができ、勉強になるはずです。
 最近は、よい展覧会が多く開かれていますので、お母さんとお子さんが連れ立って鑑賞され、感想を語り合ったりされることはすばらしいことです。それこそ、お子さんを図工の好きなお子さんに育てる一つの近道かもしれません。

特定の学科だけ好きな子/ 特定の学科だけ嫌いな子/ 国語を好きにさせるには/ 辞書を利用させるには/ 作文の嫌いな子/ 読書の嫌いな子/ 算数を好きにさせるには/ 計算間違いの多い子/ 理科好きにさせるには/ 実験器具の与え方/ 社会科を好きにさせるには/ 地図や図鑑の利用/ 地域観察とは/ 図画工作を好きにさせるには/ 怪獣の絵ばかり描いている子/ 音楽好きにさせるには/ 流行歌だけに興味をもつ子/ 家庭科を好きにさせるには/ 家庭科と男の子/ 体育好きにさせるには/ 水泳の教え方/ ダンスと男の子/ 英語好きにさせるには/ 辞書を引きたがらない子/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク