怪獣の絵ばかり描いている子

 小学校三年生の男の子ですが、怪獣の絵ばかりかいています。他になにもかくことがないのかと思うほど夢中になって、言うことをききません。よい方法があるでしょうか。
 怪獣の絵をかいたり、マンガの主人公をかき写したりするということは、この年令の子どもたちにはよくあることです。怪獣やマンガがこの子どもたちの興味や関心の中心であるからです。ですから、このこと自体は特に問題はありません。興味や関心の世界が広がれば、自然とかく絵の対象も変わってくるはずです。
 ただ、三年生という時期は、低学年時代と異なり、独断的、主観的な表現から、客観的、合理的なものの見方や考え方のある表現活動がみられるようになる時期です。これまで、単純、率直な表現で満足していたものが、ものの大きさ、ものとものとの関係、大きさの割合などにも関心をもってくるようになってきます。そして、自分の表現と自分の心の中にあるイメージとのズレを意識するようになるのもこの時期なのです。お子さんのかく怪獣やマンガの主人公の絵にも、きっと、このような三年生の特徴が表れているのではないでしょうか。まず、このような発達の特徴を心にとめて、お子さんのかく絵をあたたかい目で見守り、励まして欲しいと思います。

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 ここで、三年生の図画工作の学習内容について、簡単にふれておきましょう。
 見たことや想像したことを絵で表すことができるようにする。見たものや、想像したものを立体で表すことができるようにする。伝えたい事がらを表すもの、生活を楽しくするために使うもの、飾るものをつくることができる。作品を見ることに関心をもつようにする。
 つまり、三年生という発達的な特徴を生かして、興味や関心の世界をだんだんに広げながら、風景や静物や人物や、その他身のまわりのもの、また、心の中の思いなどを絵や立体に表現させることをねらっているのです。
 ところで、お子さんが興味や関心の世界を広げるには、さまざまなきっかけがあるのですが、一番大きな、強いきっかけは、お子さんの心をゆさぶるようなものや人との感動的な出会いではないでしょうか。このような出会いが引き金になって、お子さんの敏感な心を育て、観察力を身につけ、興味や関心の世界を広げていくように思われます。
 花の色合い、形のおもしろさ、美しさ、香り、菓の形、さまざまな色、葉に落ちたしずくの丸さ、光り、空のひろがり、雲の流れ、風の肌合い、そういった、日々のごく身近な風物に素直で、しかも鋭い目を向け「きれいだなあ」「すばらしいなあ」と、感動できる心を育てたいものです。それには、お母さんも一緒に感動できる柔軟で感受性の高い心を持っておられることが大切でしょう。
 さて、思ったこと、感じたこと、考えたことがどんなにすばらしい内容のものだとしても、それが、表現されなければ、心の中のできごととして終わってしまいます。感じたこと、考えたことを表現するためには、条件やきまりがあります。ですから表現に件う作業を確実にこなしていけるしっかりした技術を身につけさせることが必要になってきます。
 三年生からは水彩も入ってきますので、水彩の使い方なども十分身につけていく必要があります。
 お子さんの豊かな表現力を育てるには理屈だけでは育ちません。
 身の回りのものに敏感に反応し感動するよう仕向け情感を豊かに育てると共に、よい作品にふれさせることによって感性を高めていくことも大切です。
 同年代の子どもたちの作品展を見ることは身近だけに得るところも多いことでしょう。また、最近は、よい展覧会がしじゆう開かれていますので、お母さんとご一緒に展覧会を見て、すばらしい作品にふれた感動を語り合われるのもよいと思います。ご家庭には、お子さんの作品の中から気に入ったものをはって、家族みんなで鑑賞し、批評し合い、よい点を認めてあげることも、感性を育てることにつながっていくと思われます。
 展覧会を見にいった三年生のC君は、一緒にいったお母さんと次のような会話をかわしています。
 「お母さん、あの絵の林は、どうして本当の林みたいに深くて、暗い感じがするのかな」「そうね、遠くからみると、すいこまれていくように深い感じね」「お母さん、近くに来て見てごらん。一本一本の木が、ずっとずっと奥の奥まで重ねて重ねて書いてある、光っている所も暗い所もそのとおりに、ていねいにかいてある、だから遠くからみた時、本当に深い厚い惑じがするんだね」「お母さん、こっちの絵は、ずい分、色がはっきりしているね、この花はむらさき色じやないのにむらさきを使ってあるね」「きっと、この絵をかいた人の心には、むらさき色に表したい気持があったんでしょう」「形も、見たまま、その通りでなく、変えてかいているね。やっぱり心に、そう写ったのかな」
 よい作品にふれるということは、感動と共に発見も多いのです。そこからは絵をかく技法を学ぶといったことよりも、絵の心そのものを学ぶことが多いといえましょう。

特定の学科だけ好きな子/ 特定の学科だけ嫌いな子/ 国語を好きにさせるには/ 辞書を利用させるには/ 作文の嫌いな子/ 読書の嫌いな子/ 算数を好きにさせるには/ 計算間違いの多い子/ 理科好きにさせるには/ 実験器具の与え方/ 社会科を好きにさせるには/ 地図や図鑑の利用/ 地域観察とは/ 図画工作を好きにさせるには/ 怪獣の絵ばかり描いている子/ 音楽好きにさせるには/ 流行歌だけに興味をもつ子/ 家庭科を好きにさせるには/ 家庭科と男の子/ 体育好きにさせるには/ 水泳の教え方/ ダンスと男の子/ 英語好きにさせるには/ 辞書を引きたがらない子/

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