音楽好きにさせるには

 小学校三年生の女の子ですが、歌を歌ったり、音楽を聴いたりすることは好きなのですが、音譜を読んだり、書いたりすることが苦手のようです。家庭で手助けする方法があるでしょうか。
 わたしたち人間は、古今東西を問わず、自然に音楽、歌や踊り、リズムやメロディーを楽しんできました。ですから、上手にうたえるか、どんな音楽でも好きか、ということになれば別ですが、ふつうに歌をうたったり、音楽を聴いたりすることは、だれもが好きです。音楽好きは人間の財産です。
 もともと、学校で学習する教科としての音楽も、このようなすべての人間が共通にもっている音楽好きをささえ、発展させるためのものなのです。しかし、学校では、ともすると、わずかな時間の中で、音楽の知識的な内容までも、理屈で教え込もうとしてしまいがちになります。このことが、せっかくの音楽好きを、かえって音楽ぎらいにさせてしまうことになっているようにも思います。
 新しい学習指導要領でも、いままでの音楽教育のあり方を反省して、大きな目標として「音楽を愛好する心情」を育てることをかかげています。これは、とにかく「音楽の好きな子どもを育てていく」ということを目指し、それに向かって、学習する内容や方法を組み立てていることを示唆しているのです。一握りの専門家を育てるのではなく、大勢の音楽愛好家を育てようということでしょう。これは、決して音楽を安易なものに考えようというのではありません。ほんとうの音楽愛好家のすそのを広げるために、学校ではどのような手だてをしていけばよいかを、もっと、工夫してみましょうということなのです。

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 実は、お子さんが苦手とする音譜を読んだり、書いたりする学習も、音楽を正しく理解し、発展させる手だての一つなのです。
 低学年では、おもに、聴いて覚えてうたったり、リズムを身につけたりする学習ですから、生活の中の自然の音楽に近いところですすめられますので、抵抗なく子どもたちに受け入れられます。そして、内面にあるものを存分に表現する場が開けます。
 中学年になると、このような状況のうえに、さらに旋律、メロディー、音程をたしかにするということから、聴いてうたうという聴唱から、音譜を読んでうたうという視唱へと学習を発展させるように計画されるのです。ここでは、いままで歌詩でうたっていたものが、ドレミでうたうことになります。これは、子どもたちにとって、歌詩とリズム、メロディーがむすびついた歌の心から離れたような気がし、むずかしさ、理屈っぽさを強く感じることになります。
 聴唱が音楽に直接触れるというならば、視唱は、音譜を読むということが中に介在するのですから、それだけ子どもたちには抵抗があり、むずかしさを感じるのはたしかなことなのです。ここでの音楽は、子どもたちの内面にあるものが表現される場というよりは、どうしても外から教え込まれる場という受けとりが支配的になるのでしょう。ですから、子どもたちにとって音譜という音楽の言葉をはじめて身にっけるのですから、順序よく、時間をかけて指導していくことが必要なのです。はじめから、いっぺんにというわけにはいきません。無理をすれば、必ず音楽ぎらいをつくってしまいます。
 学校では、週二時間しか音楽の時間がありませんから、そこでは、どうしても知識的な基本の指導が中心になります。お子さんによってはそれだけでは、なかなか身につくまでいきません。家庭での練習がのぞまれます。その時に、学校の教材をそのまま反復することもよいのですが、お子さんがいつも口ずさんでいるような歌の音譜を読むようにすると、興味もありますし、読みの誤りに自分で気づくこともできますから効果的です。
 また、ピアノ、オルガン、木きんなどの楽器があれば、音あわせをしながら練習すればさらに効果的です。ようするに、聴唱と視唱とを合わせて指導していくということです。
 音譜は、音楽の言葉ですから、口に出したり、耳で聴いたり、書いたりを繰り返しながら身につけさえすれば、あとは応用ですから、思うほど苦しさはなくなり、いままで気づかなかった音楽のおもしろさを発見するようにもなるのです。
 ピアノを習っているお子さんが、音譜がよく読めるということは、音譜とピアノの鍵盤の位置を正しく対応させることを練習するわけですから、音譜が読めるようになることはたしかです。これは、ピアノに限ったことではありません。家庭にあるいろいろな楽器を使って音あわせをしながら音譜を読むということもここにつながっているのです。そして、音譜が身についてくれば、楽器を楽しむ場が開けてくることもたしかなのです。
 なるほど、音譜が読めなくても、たしかに楽器を楽しむことはできます。さぐりびき、さぐりふき、などといわれる楽しみ方です。どちらかと言えば歌の場合の聴唱に当たる楽しみ方です。例えば、低学年で扱うハーモニカは、この方法が主になります。しかし、一つの曲をみんなで楽しむことができるためには、みんなが音譜を約束どおりに読むということが必要になってきます。合奏の楽しみがこれです。みんなが思い思いに楽器を奏でていては合奏の楽しみは味わえません。
 ですから、学校で音楽の時間に困らないためにピアノを習わせるということではおすすめできませんが、お子さんの音楽性をより二層高め、生活をよりゆたかなものにさせたいというお気持ちならば、大変結構なことと思います。その時、考えていただきたいことは、ぜひ、お母さんも一緒におけいこなさることです。お子さんだけが楽器に向かっても、決して家庭の中に音楽的な雰囲気は生まれません。できれば、お父さん、お母さん、お子さんがそろって楽器を楽しむことをめざしておけいこをすすめて欲しいのです。

特定の学科だけ好きな子/ 特定の学科だけ嫌いな子/ 国語を好きにさせるには/ 辞書を利用させるには/ 作文の嫌いな子/ 読書の嫌いな子/ 算数を好きにさせるには/ 計算間違いの多い子/ 理科好きにさせるには/ 実験器具の与え方/ 社会科を好きにさせるには/ 地図や図鑑の利用/ 地域観察とは/ 図画工作を好きにさせるには/ 怪獣の絵ばかり描いている子/ 音楽好きにさせるには/ 流行歌だけに興味をもつ子/ 家庭科を好きにさせるには/ 家庭科と男の子/ 体育好きにさせるには/ 水泳の教え方/ ダンスと男の子/ 英語好きにさせるには/ 辞書を引きたがらない子/

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