家庭科と男の子

 小学校五年生の男の子ですが、家庭科の宿題で雑巾を一枚作ってくるようにいわれましたが、作ろうとしません。どうも男が針を持って作らなければならないのか意味がよくわからないようです。なぜ家庭科では男子も針作業もするのでしようか。
 「お国では家庭科は必修ですか、選択ですか」「男女とも家庭科は同一の教育機会が保障されていますか」家庭科についてのこんな質問を十九カ国にたずねた世界の家庭科調査の結果が新聞に掲載されました。各国の実情を調査結果からさぐってみましょう。
 必修か選択かは、小学校では男子の必修が八カ国、女子十カ国。中学では男子の必修が九カ国、女子が十一カ国。男子の必修率をみると、十年前の同種のユネスコ調査と比べかなり高くなっていて、この十年間に男子にも家庭科を学ばせる国がふえているようです。
 男女ともに、家庭科についての同一の教育機会が保障されているかは「国の法律によって保障されている」が十一カ国。「地方の条例によって保障されている」が五カ国。「教育当局によって、家庭科女子履修が強く指導、助言されている」が七カ国。「家庭科女子履修が法的に強制されている」が四カ国。
 これで、男女同一の教育機会が保障されている国の方が多くなっていることが改めてわかりました。
 共学による家庭科はどのように意識されているかは「非常に重要」または「重要」と政府が考えている国が十六カ国、社会通念として同様に意識されている国が十五カ国にのぼっています。
 全体を通じて各国と日本を比べると、日本はまだまだ遅れている。そして、日本では、政府の考えも社会通念も、共学による家庭科は重要ではないという方が強いのではなかろうかと推測されます。さらに、この調査によせられた各国のコメントの中で、「家庭科は社会における他の普通教育の中で明らかに重要性をもっており、鑑識眼のある消費者の育成に貢献するというものは記憶にとどめる価値があると思いました。

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 さて、男の子がなぜ家庭科を、男の子がなぜ針作業をという前に、まず家庭科学習のねらいをふり返ってみましょう。一言でいえば、日常生活に必要な衣食住などに関する基礎的な知識、技能を身につけることです。お子さんが身のまわりのことの中で自分に手のとどくことは自分で処理する能力を身につけさせることです。ボタンがとれたら自分でつける、リンゴの皮ぐらいは自分でむく、勉強部屋は自分で整理整頓するといった当たり前のことがきちんとできるようにすることです。
 また、家族の一員として、家族みんなのために何かをする、家庭生活を支える家事的仕事の一部を受け持ち処理することができるようにすることです。
 これ等には、男女の別はないのです。
 学校では、この、日常生活に必要な衣食往などに関して基礎的な知識と技能を身につけ、家族の一員として、家庭生活をよりよくしていこうとするというねらいを達成するため次のような内容を組んでいるのです。
 衣領域 - 布を用いた身の回りの簡単な物の製作、被服の働き、日常着の手入れ、整とんの仕方
 食領域 - 日常食品に含まれている栄養素およびその働きがわかり、食品を組み合わせてとる必要があることがわかる調理実習では、野菜サラダ、ゆで卵、緑黄色野菜の油いため
 その他の領域 - 清掃用具の取扱い、ごみの処理、家族の立場や役割を理解し、協力して家庭生活をやっていこうとする態度を身につける
 いずれも基本的な内容です。針を持つことは、布を用いた身の回りの簡単な物の製作に関連して、なみ縫いや返し縫い、玉結び、玉どめなどを学習します。服のちょっとしたほころびやボタンがとれた時など、男の子でも自分でつくろえることは必要でしょう。それは女の仕事と決めつけてかかることはむしろ不自然です。
 運動部の男子合宿では、トレーニングウェアーは、自分たちで洗濯もつくろいもします。それは女の仕事と手をこまねいていることはないのです。
 男の子が針を持つことなんかというお母さんの考え方の中に「そんな暇があったら勉強しなさい」「家庭科なんか受験に関係がない」「男の子は将来一流大学、一流企業に進むのだから針を持つなんてくだらないことは必要ない」といった気持ちはないでしょうか。お母さんのこのような考え方は、実は、家事的仕事の価値を自ら否定していることになるのです。そして、身の回りのことさえも満足に自分では処理できない子どもたちを作り出していっているのです。
 五年生の四月、新しい教科の家庭科に、男子もたいへんな関心を示しています。そして女子と比べ技術も、理解も、アイデアもまったく変わりがないのです。人間生活の基本である衣・食・住の家庭生活を豊かなものにしていくために、男の子も大いに創造性を発揮しようとしています。この芽をつみとることなく、大いに育てていってほしいものです。
 そして、学校では家庭科の学習は生活を支える基本として男女とも同じ学習を進めていきますが、家庭にあっては、それぞれの個性を生かし、特性を生かし、家庭生活を支える家事的仕事を受け持ち、お互い協力し合って楽しい、ゆったりとくつろげる家庭を作っていくうえで家族の一員としての役割を果たしてほしいものです。

特定の学科だけ好きな子/ 特定の学科だけ嫌いな子/ 国語を好きにさせるには/ 辞書を利用させるには/ 作文の嫌いな子/ 読書の嫌いな子/ 算数を好きにさせるには/ 計算間違いの多い子/ 理科好きにさせるには/ 実験器具の与え方/ 社会科を好きにさせるには/ 地図や図鑑の利用/ 地域観察とは/ 図画工作を好きにさせるには/ 怪獣の絵ばかり描いている子/ 音楽好きにさせるには/ 流行歌だけに興味をもつ子/ 家庭科を好きにさせるには/ 家庭科と男の子/ 体育好きにさせるには/ 水泳の教え方/ ダンスと男の子/ 英語好きにさせるには/ 辞書を引きたがらない子/

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