体育好きにさせるには

 小学校五年生の女の子ですが、体育がきらいで弱っています。小さい時から運動神経があまり発達していなかったこともありますが、皆が楽しそうにドッジボールや鬼ごっこをしている場合でも、すみの方で小さくなつているだけです。よい指導方法はないでしょうか。
 男女を問わず、体を動かし、走る、とぶ、投げることは、絵を描いたり、物を作ったりすることや声を出して歌ったり、それに合わせて踊ったりすることと同じように、人間が本来もっている基本的な欲求だといわれています。その証拠には、小学校に入学したばかりのお子さんには、体育、図画工作、音楽の時間の嫌いな子は一人もいないといってよいでしょう。よそから見ると、少々他のお子さんから遅れていても、みんな精一杯、自分の限りを出して活動しています。
 それが、どうしたことか、学年がすすむにしたがって、それを苦手とし、さけるようになるお子さんが出てきます。運動嫌い、体育嫌いといわれるお子さんです。
 運動嫌いというのは、運動することそれ自体が嫌いになり、友だちが楽しく遊んでいたり、スポーツをしていたりしているのをそばで見ているとか、まったく関心を示さなくなってしまうことをさしています。
 体育嫌いというのは、運動するのは好きで、友だちと一緒にチームをつくってゲームなどをしているのですが、学校の体育は嫌いだったり、つまらながったりすることをさしています。
 どうして、このような運動嫌いや体育嫌いのお子さんができてくるのでしょうか。体育ぎらいのお子さんを学校の授業の中でつくって、それが運動嫌いにまでさせてしまっているのでしょうか、それとも、運勤嫌いのお子さんが、学校の体育もきらいというのでしょうか。原因がどこにあるにしても、人間が本来もっている基本的な欲求が失われていくということは、お子さんの成長発達にとって重大なことと考えなくてはなりません。

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 本問では、お子さんは、運動嫌いで、しかも体育嫌いのようです。小さい時から運動神経があまり発達していなかったということだけで、五年生の今日までのお子さんの、運動や体育をめぐる状況がわかりませんから、その原因をはっきりさせることは困難です。しかし、小さい時から運動神経があまり発達していないというお子さんに対する周囲の見方も、一つの原因と考えることもできそうです。
 広く、いろいろなお子さんを見ていれば、お子さん一人ひとり、さまざまな過程を経て成長していくことが理解できるのですが、わが子だけを見ていると、その期待感の大きさから、ちょっとしたつまずきでも、遅れている意識が先にたち、不安やあせりの中でお子さんをとらえがちになるものです。
 赤ちゃんは満一歳ぐらいで歩くということも、平均してのことであり、それより歩くのが遅れる赤ちゃんは将来にわたって運動能力が劣るというわけではないのです。ところが、そうしたことがいくつか重なると「うちの子は運動神経の発達が悪い」と一人ぎめして、お子さんを運動に立ち向かわせることよりも、むしろ、運動から遠ざけるようにしてかばってしまう傾向が見られるのです。
 もし、このようなことが周囲にあれば、お子さんも運動に対する自信をなくし、ますます消極的になってしまうことになります。「はえば立て、立てば歩めの親心」は、決して他と比べて競争することではないはずです。お子さんの一つ一つの成長を確かに見取ってそれを認め、自信を与え、次への意欲や努力に期待するという、お子さんをいとおしみ、はぐくむ、愛の心なのです。周囲の人々のこのような暖かい心をお子さんは敏感に感じ取って努力し、能力を身につけていくのです。
 五年生になった今でも遅くはありません。お子さんの心に自信を回復させることから始めてください。それには、まず、お子さんのペースに合わせて家族全休で運動を楽しむ雰囲気を家庭の中につくることです。はじめから休力づくりや特別な運動種目の技術をめざして、トレーニング的な反復練習を押しつけたりすることは禁物です。そして、お子さんのためという看板をかかげることも禁物です。家族が自然に運動を楽しむことです。その中で、お子さんの一つ一つの動きを認め、積極的に楽しむ心を育てていくのです。時間をかけて育てていくことです。決してあせってはいけません。
 五年生のAさんの場合、なかなか家族の運動の仲間にも入りませんでした。はじめは、朝や日曜日の昼間やっていたのですが、ある時、お父さんの都合で夜やることにしたのです。児童公園のうすぐらい灯の下でボールをけっていますと、いつのまにかAさんも出てきて仲間になっているのです。
 そうなのです。Aさんも五年生なのですから、いままでの自分を考えると、昼間、人の多い中で、運動する自分を晒すのをためらう心が働いたのにちがいありません。お母さんはすばやくそれに気づき、それからは、夜やることに決めたのです。
 しばらくたつと、Aさんは、クラスの中の運動の不得意なCさんをさそって、一緒に夜の運動をするようになりました。これを見てお母さんは、お子さんの心に自信ができてきたんだなと感じたそうです。
 このようになれば、Aさんが学校でみんなの仲間に入って遊んだり、スポーツをしたりするのも時間の問題です。

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