水泳の教え方

 小学校四年生の女の子ですが、水を怖がってプールに入りません。体が少し弱いため水泳をすれば健康で丈夫な体になると思い、覚えさせようとしますがうまくいかないので弱ってしまいます。どのようにすれば水をこわがらずに水泳ができるようになるのでしようか。
 水を怖がるお子さんたちをみていますと、その原因がいくつか上がってきます。
 (1) 冷たい水
 (2) 深いプール
 (3) 息ができない
 (1)の冷たい水は、気温が高ければむしろ快感を覚えるのですが、水泳をはじめる六、七月ごろでは、まだ肌寒い日が多く、ただでさえ緊張するお子さんですと、つめたい水は、一層体を固くさせ、緊張をこえて恐怖を覚えてしまいます。こうなると、指導者の声もとどかなくなり、ただ、その場から離れることだけを考えるようになるのです。
 (2)の深いプールは、いざという時に背が立たないということから起こる恐怖です。これは、だれでももっている本能的な警戒心です。
 (3)の息ができないは、ふだん無意識に呼吸していることが、水の中ではできないこと、そして、がまんしていると苦しくなり、うっかりすると、鼻から水を吸い込んだり、水をのんだりして。死ぬほどの苦しみをさせられることからくる恐怖です。
 (1)と(2)については、水温の高い時に、そして、プールの水深をさげて水泳指導をすすめれば解決できることなのですが、学校では、水温が上がるまで待つこともできませんし、一年生から六年生までの子どもが一つのプールを使っている現状では、そのたびに水を落すわけにもいきません。そこで、ついついおたずねのお子さんのように四年生になっても水を怖がる子どもを残してきてしまっているようにも思えるのです。
 (3)については、(1)と(2)に関係しながら、泳ぐ技術の問題ですから、順序よい指導があれば自然にとりのぞけることです。しかし、(1)と(2)が満足しない状況の中では、指導が練習にむすびつきませんから、思うような成果が上がりません。また、苦しみの中から自分で覚式の強引な精神的指導だけでは、かえって、お子さんの恐怖心をあおるだけで逆効果になってしまいます。一人ひとりのお子さんの状況に合わせて、顔を水につけたり、水をかぶったりするたびに、上手に呼吸するタイミングと方法を指導していくような配慮がどうしても必要なのです。しかし、これも、(1)と(2)と同じように、大勢の子どもたちを一斉にという今の学校では、満足されることは難しい問題なのです。

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 ところで、水泳は、自転車と同じように、お子さんたちばかりでなく、ご両親にとってもたいへん関心の強い運動です。どの家庭でもお子さんが一年でも早く泳げるようになることを期待しています。このような関心の強さは、他の運動やスポーツには見られません。近ごろでは、学校に上がる前のお子さんを、年中開設されている水泳教室に通わせている家庭も少なくないのです。
 どうして、このように水泳に特別な関心が注がれるのでしょうか。
 まず、護身術として水泳がお子さんの人生に役立つという考えです。しかし、人生の中で水難にあうということはめったにあることではありません。むしろ、実際には、毎年、夏の海で命を落とす人たちの例をみますと、ほとんどが泳げる人で、自分の泳ぐ力を過信し、無謀な泳ぎ方をしたために事故を起こしているのです。
 次の考えは、大人になっても泳げないのでははずかしいからということです。走る、とぶ、投げるという運動は、ふつうの体であれば、まったくだめ、できないということがないのに、水泳は、自転車と同じようにだめ、できないということがよそ目にもはっきりとわかってしまうということなのです。この場合も、決してお子さんを水泳の選手にしようなどとは思ってはいないのですが、人並みに泳げるようにだけはしておきたい。そうでなければはずかしい、ということです。
 このようなご両親のお子さんの水泳に対する期待もうなずけないことはないのです。しかし、このことがあまり強くなり過ぎますと、前にあげたような条件を無視してまで、なにがなんでも泳がせようとすることになり、かえって水をこわがるお子さんにさせてしまうように思うのです。
 子どもたちは、もともと、水あそびが好きです。水泳は水あそびの延長線上にあるものと考え、まず、水あそびを十分にたのしませることを考えていただきたいものです。四年生になって、いまさら水あそびでもないと思いますが、この段階をとばしてしまうわけにはいかないのです。四年生らしい水あそびを工夫してみてください。
 洗面器を利用して、眼をあけたまま顔をつけ、底に沈めた文字を読む。
 入浴の時に、シャワーを利用して、呼吸のタイミングをつかむ。
 湯舟の底に手をついて、腰をうかして、浮く感じをつかむ。などの要素をもり込んだ水あそびが効果的のように思います。
 さて、水あそびから水泳へということになりますが、初心者に対する指導として、バタ足をさかんにやらせて、休が浮くようになると面かぶりのバタ足をやらせることをよく見かけます。これは、筋肉に力が入り、休全休が緊張し、相当につかれ、呼吸も早くなります。ですから、初心者指導の方法としては問題があるように思います。むしろ、体が浮くことがわかってきたら、ゆったりと体をのばしてリラックスすることを指導していくことです。そして、手の動作を使って呼吸することを教え、呼吸のタイミングをとらえさせるような泳法に入ることです。
 また、少し進むようになっても、決して速さを要求してはいけません。ここでも、リラックスした状態で、ゆっくり、できるだけ長く泳ぐことに重点をおいて指導していくべきです。速く泳ぐことは、手足の動きと呼吸のリズムがしっかりと合うようになれば、お子さん自身が自然にコントロールしていく中で実現していくことなのです。

特定の学科だけ好きな子/ 特定の学科だけ嫌いな子/ 国語を好きにさせるには/ 辞書を利用させるには/ 作文の嫌いな子/ 読書の嫌いな子/ 算数を好きにさせるには/ 計算間違いの多い子/ 理科好きにさせるには/ 実験器具の与え方/ 社会科を好きにさせるには/ 地図や図鑑の利用/ 地域観察とは/ 図画工作を好きにさせるには/ 怪獣の絵ばかり描いている子/ 音楽好きにさせるには/ 流行歌だけに興味をもつ子/ 家庭科を好きにさせるには/ 家庭科と男の子/ 体育好きにさせるには/ 水泳の教え方/ ダンスと男の子/ 英語好きにさせるには/ 辞書を引きたがらない子/

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