園で何もしない子

 四歳の女児です。今春入園し、通園しはじめたのですが、みんなの中へとけこめず、いつもひとりで小さくなっております。返事もしなければ、ものも言いません。ほかの子どもたちは楽しげに大らかに動きまわっているのですが、まったく手を出そうとしません。家庭ではおしやべりもするし、いたずらもするのにどうしたことでしようか。
 幼稚園では、頭や手足をすっぽり甲の中に隠して、ものも言わず、何もせず、じっとしていますが家に帰ると、そっと手足を出し、頭を出し、そのうちに生き返ったように家中わがもの顔にはいまわり、しゃべりまわる子がいます。中には、反対に外弁慶の子もいます。
 このように、人見知りする、内気、はずかしがりや、人前で話ができないなど、亀の子のように家の内と外とで子どもの態度や行動が違うようになるのはなぜなのでしょう。
 こんな子どもの性格行動は、ほとんど親の養育態度によってつくられるといっていいでしょう。まず、子どもの出生からこれまでの子育ての経過を静かにふり返ってみると思いあたるふしがあると思います。
 内弁慶と言われるこのような子どもの性格は、ある意味で未成熟であると言えます。家の中でいばっている、暴れんぼうである、というのは自分の要求をとおせることが最初からわかっていて安全だと思っているからです。
 そして、その現れ方が度を過ぎた快活とか乱暴とかになるとすれば、外の世界での不満、抑圧を発散させているもので、むしろ、赤ちゃん的な表現と言えます。それが、外の世界ではおとなしくなってしまうというのは、相手の反応が予測できないから不安で自分の意思や要求を表現せず、甲の中にとじこもってじっとしているのです。
 このような子どもに育てる親は、育て方が甘く、溺愛、盲愛で、かわいがりすぎ、甘やかし、極端な子ども本位の養育態度の場合が多いようです。つまり、子どもが自分で要求を表現し、満たす能力を身につけさせる代わりに、親がそれをやってしまうのです。
 このため、子どもはわがままでありながらいつまでも親に依存的で年令よりも幼稚なのです。
 親がこのような養育態度をとる原因となるものとして次のような場合が考えられます。
 親が自分の欲求不満を子どもによって充足している。夫婦間の不和(愛情の不調)。子どもに厳しい夫をもつ妻。配偶者を夫った片親。姑と対立する嫁。子どもの大病、けが、虚弱による心の後遺症。情緒不安定の親。子どものころ親から愛情をかけられなかった父(母)。

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 この子どもは、幼稚園をいやがらず登園しているのですからまだ救われます。登園して何もしないからといっても、子どもは案外喜んでいる場合もあるものです。
 あまりあせらず、深刻にならず、気長に見てあげることがいいでしょう。
 まず、お母さんが自分の養育態度について気づいたことがあったら、変えていくことが第一です。
 子どもの甘やかし、かわいがりすぎはないか。間違っていること、よくないことは絶対に子どもの言いなりにならないか。規律を守らせているか。子どもをなぐさみものやペツトのように扱っていることはないか。両親の情緒は安定し、家族の人間関係はうまくいっているか。
 四歳ともなれば、母親が思うほど子どもは赤ちゃんではありません。何にでも母親が手出し、口出しをせず自分のことはできるだけ自分でやるよう仕向けましょう。
 朝の着替えから洗面、食事、登園準備など、子どもが自分でできることはたくさんあります。また、要求があったら言葉ではっきり言わせるようにします。近所の友だちや遊園地などで、知らない友だちとも積極的に遊ばせる機会を多くもつようにしましょう。
 けんかになったり、泣いたりしても、すぐ親がなだめたり、仲裁に入ったりせず、子どもに処理させるような方向に親が養育態度を変えていくことが大切です。
 家庭にお客が来たとか、近所の友だちや親戚の子どもが来たような場合は、いいチャンスですから、ちゃんとあいさつするとか、他人とのつき合いのルールを教えたりして、親があまり後だてにならず自由に交流させるようにしましょう。
 また、買い物などで一緒に外出した時を利用して、社会性を育てる体験学習をさせるよう心がけましょう。
 要は、親がいつまでも赤ちゃんだと思っている気持から脱皮して、子どもからの精神的な乳離れをする方向に態度を変えることだと思います。
 幼稚園では、このような子どもは特別珍しいわけではありませんから、登園してからのことは一切先生におまかせしておいたら心配ありません。
 それに幼稚園には、同年の友だちもたくさんおり、ブランコ、すべり台、積木など遊び道具もたくさんあり、家庭と違って子どもにとって魅力的な環境ですから、家庭で学べなかった社会性も育ち、周囲のことが次第にわかって安心感が出てくれば、興味を引くものに吸いよせられるように、手を出し、口を出しはじめるものです。
 それに経験深い手なれた先生が、知らず知らずのうちに集団に引き込んでくれるでしょう。このような幼稚園でのゆきとどいた保育のうえに、お母さんの家庭での養育態度の変化がプラスされれば鬼に金棒で、間もなく心配は解消されるでしょう。

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