越境入学

 子どもの力を十分に伸ばすためにはよい小学校を選ばねばならない。よく設備の整った小学校にはよい先生が集まるとのことです。評判のよい小学校のある校区に叔父が住んでいます。その叔父夫妻が、子どもの面倒をみるから、ぜひ有名校といわれるその学校へ行かせるようにと言ってくれます。多少の不便はあっても行かせるべきでしようか。
 子どもが就学年令になると、特別な手続きをしなくても、登録されている住所に基づいて入学する学校が指定され、教育委員会から就学通知書がきます。
 また、在学途中で転居し、新しい土地に居住すると、住民登録をします。すると、教育委員会は、登録された住所に基づいて、子どもの転入する学校を指定してくれ、なんの心配もなく、該当学年に入学することができるようになっています。
 そして、教科書など、子どもの教育についての一切の世話は、教育委員会や学校がやってくれ、全国どこでも国できめた同じ教育課程で進められているので、転校しても子どもは戸惑うこともなく、平等の教育を受けられます。また、どんなへき地でも、入学する学校があり、子どもは教育にあぶれる心配がありません。
 これが、教育基本法に則り、私たちの税金で開設されている公立学校なのですから、このルートで子どもの教育をするのが普通であり、一番安心なわけです。
 だからこそ、学校差がないように、また、施設設備、内容の充実のため、たくさんの教育費をかけて万全を期しているわけです。
 そして、子どもの、健康、安全など教育上の面も考えて、学区割をきめ、住居に近い学校を指定しているわけです。
 このようなわけで、公立学校は選べないのが原則です。
 この趣旨からすると、学区域外通学とか、越境入学ということは考えられないわけですが、卒業を間近にして、近くの学区域外に転居せざるを得なくなった場合などの特例を考えて、指定校変更の申請や区域外就学の申請の手続きを受け付け、子どもの教育上適当と認めた場合は学区域外通学も認める措置をとっています。

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「子どもの力を十分伸ばすために、よい学校を」という親心はよく理解できます。
 たしかに、どこの親もわが子を少しでもいい環境で育てたいと思い、先生方もいい学校に勤めたいと考えるのは当然のことでしょう。
 しかし、子どもたちのために、悪い環境をよくし、教育内容を充実して、いい学校、いい教師になろうと努力しているたくさんの父母や先生のいることを忘れてはなりません。
 その点では、教育委員会も日夜努力しているわけです。
 教師の人事面でも、本人の希望が重視されるとはいえ、教師の平均年令、男女差、勤務年数など学校間の均衡を保つよう厳しい配慮がなされています。
 だから、選べないとはいえ、指定された公立学校で学ばせてなんの不安もないのです。
 ただ、子どもの教育は、地域や父母の協力がなければ十全な成果をあげることはできませんので、子どものために、まず学校を信頼し、協力することが第一と考えます。
 このようなことを考えた上で、なお、学校を選びたい場合は、私立学校があります。
 私立学校には、学区制もなく誰でも自由に入学でき、それぞれ建学の精神にそって、特色ある校風をもつものもありますから希望する学校を選ぶのがよいと思います。
 ただ、どんな学校にも、すばらしい子もいれば、落ちこぼれの子もいるものです。学校の影響は大きいとはいえ、すべてを学校だけの責任と考えるのは危険です。それぞれの子どもの、性格、知能、学力、意欲など異なる上に、親の熱意や協力、考え方も違うわけですから「あの学校へ入れたのに子どもの力が伸びない」とか「学校が悪いから、うちの子は不良になった」と、簡単に解釈し、学校を責めることは間違っていることです。
 ある市に転勤になった家族が工場近くの社宅に住むことになりました。二か月もたったころ、三年生の息子さんの通っている学校が、学力も低く、非行少年の多い評判の悪い学校だったことを知りました。お母さんは、心配になって、市内の知人宅に子どもを預けて学校をかえようかと真剣に考えました。ところが、息子さんは、すばらしい担任に恵まれ、今までしかってもしなかった宿題も、言われなくてもするようになり、親しい友人もたくさんでき、明るく通学しているのを見て、転校を断念しました。子どもが卒業するとき、「評判なんてあてにならないし、うちの子にとってこの学校は、最高にいい学校だった」と思いました。
 学校は、子どもの教育のためにあるものです。したがって、学校の施設設備も、そこで働く人たちも、すべて子どもたちにとって、よかれと経営されているのです。
 だから、親は、常にわが子の幸せに視点をおいて学校をみつめ、信頼と協力を注いで欲しいものです。
 親の中には、熱心のあまり、様々な無理をして、親の望む学校へ入学させるケースが絶えません。小学生のような、幼い子どもの場合、多少の不便くらいと思った遠距離通学が、思わぬ事故につながったり、わが子の能力の誤算から期待に反することになったりするものです。
 特に、親戚や知人に子どもを預けてまで親の望む学校へ通学させるなどは、絶対にやめるべきだと思います。
 学校は、人間を育てるところです。そして、小学生ころの子どもの人間づくりには、学校や先生以上に、親はどうしても必要なのですから。

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