転校

 私の子どもは現在小学校四年生です。実は都合で県外へ引っ越すことになったのですが、僻地なので学校の設備もゆきとどいてないようです。そんな学校への転校は絶対にイヤだといっております。無理に転校させると将来のためによくないと思いますが、まだ年令的に一人残して知人に預けることもできず困っております。連れていくにはどう説得したらいいでしようか。
 「友だちと別れるくらいなら、僕一人でここにいる」と、転校を前にA君は駄々をこねて両親を困らせました。彼には、三年間警察の道場で一緒に剣道を習った三人の親友がいました。四人は、クラスも一緒、家も近所で、遊ぶにも、勉強するにも、通学するにもいつも一緒の仲良しでした。
 A君のお母さんは、友だちの両親に頼んでなだめてもらったり、みんなで別れのパーティーをやったりしてやっと納得させました。今でも古巣へ帰ると、懐しそうに四人で寄って語り合っています。別れてからかえって親密さが増したようです。
 子どもにとって友だちは、なにより大切なものです。特に、徒党時代と言われる四年生ころは、友情の深まる年令で、親よりも友だちとの約束を大切にする時期です。
 四年間も仲良くしてきた学校や近所の友だちと別れるのはどんなに辛いことでしょう。
 そんな子どもの気持ちを察してやり、夏休みや冬休みには再会できること、文通で友情を交わすことができることなどを話し合わせ、別れのパーティーなど開いて納得させるといいでしょう。
 また、信頼していた担任の先生との別れが辛くて駄々をこねる子もいます。そんな場合は大抵先生の方がわかっていて子どもに不安のないよううまく処理してくれるので心配はいりません。
 大人でも、未知の土地に移り住むことは、不安なものです。まして、経験の浅い子どもにとっては想像もできないことでしょう。それに、内気な性格で、新しい環境になじみにくい子どもの場合、あれやこれや考えて不安がつのり、わけもなく離れたくないのは当然です。

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 親しい友だちや、先生と別れ、住み慣れた土地とも別れる子どものさびしさ、心細さを、あたたかく理解してやると同時に、これから移り住む新しい学校や土地についてよく理解させて無駄な不安をとり除いてやり、あこがれをもたせるようにすることが大切です。
 僻地校といっても、近ごろは相当設備も整っており心配するほどのことはありません。
 しかし、中には、先生と子ども数人という小規模な学校もあり、また、へき地の分校ともなれば、都市部の学校とは比較にならない不使さです。
 まず、何よりも親が一度現地に行き、実地に見聞してきて、詳しく子どもに話してやることがいいでしょう。
 地方では、先生方の間で、僻地校における指導研究も盛んに行われ振興がはかられているし、都市部の教師との人事交流も積極的に行われているので、僻地校だから特に学力程度が低いとか、設備がゆきとどいていないと一概には言われません。
 また、子どもたちが山野をかけめぐって遊べる公害のない自然が待っているはずです。これこそ、都会地では求められない子どもたちの魅力でしょう。健康のためにも得がたい環境です。
 それに、うすれた都会の人情とは違い、僻地の心あたたまる心情はきっと子どもをやさしく迎えてくれることでしょう。もちろん、学校の先生方も、友だちも、都会の学校とは違った愛情で、都会からの遠来の友だちを歓迎してくれるはずです。
 実地に見聞することによって、このような環境の中から都会地では得られない人間的なものを発見し、親自らが、望ましい子育ての場であることを知ることでしょう。
 こうして、新しい土地へのあこがれと期待を、親白身も持ち、子どもにも持たせることが大切です。
 「そんなに行くのがいやなら、ここに一人で残りなさい」酷なようですが、子どもにこう言ったとしたらどうでしょう。おそらく強いショックを受けてガク然とすることでしょう。
 たしかに、子どもは行くのがいやでしょう。しかし、結局は、行かなければならないことをよく承知しているのです。
 だから、できるだけ、抵抗なく転校できるよう仕向けてやるようにしたいものです。
 転校直後は、先生や友だちが、いろいろ親切に面倒をみてくれるとはいえ、やはり、学校の様子やルールも違い、知らない友だちばかりに囲まれているのですから、心細くもあり、緊張と不安の連続です。
 親しい友だちができ、学校に慣れるまでは、子どもを見守りながら激励してあげることが必要です。
 たとえ、どんな事情があろうとも、小学生くらいの子どもを親の手元から離して学校に通わせるようなことは無謀と言うべきです。
 近ごろ、幼い子どもを、親元から離して、外国へやったり、寮に入れて教育する向きもありますが、特殊な家庭や子どもの場合は納得できますが、やはり、義務教育中は親元で育てるのが子どもにとって一番いいと思います。
 学校というのは、子どもの教育のほんの一部しかやっていないのです。時間的にみても、一日のうち三分の二は家庭で親の指導管理下にあるのですから、家庭における親の影響力は絶大なもので、それからすれば、人間づくりにおける学校の力など微々たるものと言えます。
 特に、幼い子どもほど、親を全能者のように信頼し、依存しているのですから、親は自ら子育ての自信を放棄することなく、しっかりと手元において育てるべきだと思います。

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