実業高校を嫌がる子

 大学へ進学させるだけの経済的余裕もないので、就職のことも考えて、三男を実業高校へ進学させました。ところが入学後三か月くらいたってから実業高校へ行くのを嫌がりだして困っています。社会的風潮として実業高校が普通高校より一ランク下に見られることが嫌なようですが、どのように説得したらよいでしようか。
 ある母子家庭の子が、一流校に無理して入り、勉強、勉強であくせく過ごすより、自分の適性、学力に合った学校を選び、楽しい青春を送りたい」と、職業高校に入学しました。
 優秀な彼は、学校をトップで卒業すると、電気関係の会社に就職し、将来は独立する希望をもって働いています。
 母親は次のように話していました。
 「あの子は、親思いのやさしい子です。自分の思ったことは、とことんやる子で、進学も就職も私には一切心配をかけませんでした。高校時代は友人も多く、とても楽しそうでした。頭のいい子だったので私は大学進学を勧めたのですが、家庭のことを考えて就職コースを選んだようです。とても明るくたのもしい子です」
 近ごろ、この学生のように、将来に希望を持ち、自主的に進路を定めて進学する子が少なくなりました。
 高校や大学は、将来に希望をもって入学し、人格を磨き、学問をするところですが「どこでもいい、入れる学校があれば入学させたい」一流大学を出ていないと、大会社に入れない」と考える近ごろの風潮は、将来にしっかりした目標もなしに進学する者が増え、人間形成が軽んじられ、学校ランクを人間ランクと錯覚するようになるのではないでしょうか。人間は、ただ学歴や肩書きだけによって評価されるものではありません。

スポンサーリンク

 人間は、いくら金になるからといっても、自分の不得手なことや、嫌いな仕事を続けることは耐えられないものです。職業は、人間の生きがいや、生活にかかわる大事なものですから、適職に就くということは、その人の人生を左右する大事な問題です。
 世間には、転々と職を変えて定まらない人や、大学を出ながら自分が学んだ専門とはまるで違う仕事をもんもんと続ける人もいます。
 また、在学の途中で自分の適性を発見し、思い切りよく学校を中退して適職に就く人もいます。
 人生は、繰り退しのきかない単線です。そして、自分の人生は他人の人生とおきかえることもできないのですから、他人や社会の思惑にこだわることなく、真剣に、自分の問題として、通学、適職を選ばなければなりません。ひとり、ひとりの人が適性に合った職に就き、喜んで働くことこそ、自分自身のためにも、社会のためにも役立つことなのです。
 職業高校には、それぞれ特色や教育方針があるはずですから、家庭の経済事情で大学進学が望めない、早く就職して家庭を支えたいなどの実状から、親子でよく研究し、職業高校を選ばれたことは、賢明だったと思います。
 ただ、入学したばかりなのに、普通高校より程度が低いから学校へ行きたくないという子どもの言い分には納得できないところがあります。
 たしかに、世間では、学校にランク付けし、学校差をロにしますが、その実態はつかみどころのないものです。あえて言えば、有名校への進学卒が高い、就職率がよい、スポーツで有名、伝統が古いなどが上位にランクされ、そうでないものや、問題学生が多く、事件を起こし、校内教育が荒廃しているなどが下位にランクされているようです。
 これらの中には、全く事実無根とも言えない点のあることは残念なことです。
 しかし、学校のランクは、そこに学ぶひとりひとりの学生のランクとは別の問題です。事実、低いランクにうわさされる学校にも真剣に学ぶすばらしい学生がたくさんいるのです。
 やはり、入学した以上、母校を信じ、いい学校にするようプライドをもって頑張って欲しいものです。
 最近、職業高校に中途退学者が増えているという調査結果が発表されています。退学の原因として「本人の希望より、学力で進学先が決められ、高校生活の中に自分の目的や興味を見い出せなくなっている現在の教育体制に原因がある。職業高校のあり方そのものを変えない限り道学者は減らないだろう」と指摘しています。
 これと符合するように、ある都市の中学校の先生は次のように語っています。
 「毎年、卒業期には、中学浪人を出さないよう、全員どこかの高校へ子どもを押し込むために頭を痛めています。それというのも、親が子どもの希望、学力、適正など無視して「どこか入れる高校に入れたい、高校くらい出しておかなければ」という強い要望があるからです。
 それで、結局学力の低い落ちこぼれの子は、私立高校に特別お願いしたり、職業高校に拾ってもらうので、当然職業高校の質もさがり、学力も低下し、したがって子どもたちは学業に興味を失って、暴走族の仲間入りしたり、非行に走る子が多くなり、学校に失望して中退する者も出てくるのでしょう。言わば、職業高校は吹きだまりのような現状です」
 このように、一般的に職業高校は、現在、大変な事態におかれていることが想像されます。この点、彼の在学する職業高校の現状はどうなのでしょうか。地域によっても職業高校の実状には違いがあると思います。
 機会をとらえて、子どもと一緒に、中学時代の担任の先生を訪ね、ざっくばらんに学校の現状を子どもにただし、彼の将来への希望、適性、学力などを述べ合い、ただ説得するだけでなく、彼の長い将来のために場合によっては子どもの意志を尊重してあげることも大切なことではないかと思います。

幼稚園か保育所か/ 幼稚園の選び方/ 入園の準備/ 幼稚園を嫌がる子/ 園で親から離れない子/ 園で何もしない子/ 園でボスになる子/ 園でケガをしたとき/ 小学校の選び方/ 入学の準備/ 越境入学/ 転校/ 教室で手を挙げない子/ 授業に興味を示さない子/ 落ちこぼれの子/ 本を読むとあがる子/ 学校でいじめられる子/ 遅刻ばかりする子/ 忘れ物をする子/ クラスでのけものにされた子/ クラス替えで元気がなくなった子/ 給食を嫌がる子/ 修学旅行へ行きたがらない子/ 中学校の選び方/ 中学の入学試験に失敗したとき/ 自分の学校に不満をもつ子/ 先生を批判する子/ クラブ活動のあり方/ 高校の選び方/ 実業高校を嫌がる子/ 中途退学/ 大学の選び方/ 大学受験に失敗したとき/ 大学へ行かないと言い出したとき/ 通知表の見方/ 成績物の処理/ 授業参観/ 自活活動/ 謝恩会/ 通学の服装/ PTAの役員/ 学級PTAのまとめ役/ 家庭訪問/ 先生とのつき合い/ 先生に子どもの事を注意されたとき/ 宿題を出さない先生/ 体罰を加える先生/ 先生と話す機会が欲しい/ 学級の担任替え/ 帰国子女の教育/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク