子ども達の生命、身体権について

 この世に生きる人間にとって、生命こそ根本であり、したがって生命を守り守られる権利すなわち生命権こそは、根本的な人権にほかならない。日本国憲法一三条が「生命に対する国民の権利については、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と書いているのは、近代社会における条理の確認にすぎない。つぎに人の身体は、生命の具体的実体でありあらゆる人間活動の生きた支えであるから、身体の安全を保障される権利、いわば身体権は、生分権に次ぎそれと一体的な人権であって、やはり憲法一三条にふくまれよう。国連の世界人権官亘二条では「何人も、生存及び身体の安全を享有する権利を有する。」と書いている。

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 これら人間の生命、身体権を事あらためて人権として語る必要はないのではないかと思うと、けっしてそうではない。たとえば現代日本における産業公害のごとき、行政による加害企業取締りの不十分とも相まって、生命、身体権の侵害にまで及ぶ人権の大量侵害をもたらしてきた。一般に人命尊重、人身保護はよく語られるが、それはたんに社会的宣言にすぎないことではなく、生命、身体権という根本的な人権保障の問題であることを確認しておく必要があろう。
 さて、現に人間として生きているとともに、成長しつつ次代に備えている子どもたちにとって、生命、身体権はよりいっそう貴重である。そして、子どもたちが学校で学習生活をおくるのは、学習権、教育をうける権利という教育人権を保障されていくことであって、生命、身体権といった一般人権の根本は当然ふまえられていなければならないはずであるが、こんにちの日本の学校をめぐる現実にあっては、遺憾ながら子どもたちの生命、身体権の保障を大いに論すべき場面が少なくないのである。学校事故の諸原因として捉えられる学校の環境、施設その他の教育条件の悪さとその是正の可能性、今なお少なからぬ傷害事故をもたらしつつある体罰教育の問題、など。さらに、不幸にして身体に障害をもった子どもについては、身体権は、障害を克服しつつ生きる権利につながらざるをえないが、それは障害児が治療と教育によって人間的発達を保障される権利という実体になろう。

戦後改革における人権保障と教育のかかわり/ 障害児に関する就学義務猶予、免除/ 国公立学校における特別権力関係/ 私学における人権保障の適用/ 教育に関わる一般人権と教育人権との区別/ 教育に固有な人権としての教育人権/ 子ども達の生命、身体権について/ 学校施設での環境の悪さによる人命事故/ 教育活動条件の悪さによる自身事故/ 人身事故を招いている体罰/ 子どもの健康権と学校給食/ 子どもの私生活の自由とプライバシー/ 学校活動と家庭プライバシー/ 公教育における思想良心の自由/ 愛国教育と思想良心の自由/ 学生生徒の政治活動の自由と校内教育の秩序/ 平等権と家庭科の女子必修問題/ 私生活の自由と教職員の服務規則/ 思想良心の自由と教育員人事/ 教師の政治活動の自由とその制約/ 教職員の休息権/ 教職員の労働基本権/ 子どもの教育をうける権利/ 能力に応じて教育を受ける権利/ 学習権と社会教育/ わが子の教育に関する親の選択の自由/ 文化を担う国民の教育参加の自由/ 私学教育の自由と公費助成/ 教師の教育権の複合的性格/ 学問の自由と教師の教育研究発表の自由/ 教師の教育の自由と子どもの学習権/ 教育界における人権保障方式/

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