家庭教育と学校教育の違い

 家庭での教育と学校での教育とは、様々な点で違いがありますが、まず教育という観点から考えてみましょう。
 教育という字は、教と育の二つの文字から構成されています。ですから、教育には教える教育と育てる教育の二つの機能があるといってよいでしょう。
 教育という車には教の車輪と育の車輪の両輪があって、その二つがバランスがとれているとき、正しい方向に教育という車が進むと考えてよいでしょう。
 さて、教える教育は、教師によって学校で行われる部分が多く、育てる教育は親によって家庭で行われる部分が多いと考えることができます。そうすると、学校教育と家庭教育の第一の違いは、前者は教える教育が中心で、後者は育てる教育が中心ということになり、ウエイトのおき方が違うといってよいでしょう。
 では、教える教育では、何を教えるのでしょうか。学校では、国語、算数、理科、社会科などのような教科を教えます。それはまとめていえば、理論、知識、技術です。教師はそれを知っていなければ教えられません。
 育てる教育を主として分担する親は、いったい何を育てるのでしょうか。それは一言でいえば「心」です。豊かな心とか健康な心などです。別の言い方をすれば人間性といってもよいでしょう。性格とか人格とかいってもよいでしょう。

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 学校で教える内容、つまり教科は目に見えるハッキリしたものです。教える教育を担当する学校教育では、その効果が成績や点数であらわされるので、ハッキリしているのです。教材がハッキリしているので、カリキュラム(教育課程)を組むことができます。
 これに比べると、家庭教育において育てる内容、すなわち心とか人間性とかいうものは、目に見えにくく、つかみどころがハッキリしないのです。したがって点数であらわすことが困難で、教育の効果も具体的につかまえにくいのです。
 そこで、学校教育のほうはその重要性が認識されやすく、したがって設備、制度、建物、教材、方法、組織などがしっかり充実しているのです。誰もがその必要性を感ずることができるので、学校教育はすばらしい発展をとげたのです。
 これに比べて、家庭教育のほうは、その内容がハッキリ見えず、したがってどのようにすればよいかがよく理解されないうらみがあります。そこで家庭教育が軽視されたり、おろそかにされるおそれがあるのです。
 次に学校教育と家庭教育で大きく違う点は、前者が集団的に行われるのに反して、後者では個別的に行われることです。学校では多数の子どもをクラス別に分けて、一人の教師が教えています。それは一時に多くの子どもを扱うので、時間的、労力的、経済的にみて能率的といえます。
 これに比べると、家庭教育は、親と子の一対一の個別指導です。あるいは親二人に子ども一人という場合すらあります。さらに祖父、祖母、兄、姉などが一人の子どものしつけを行うことさえあります。
 ですから、学校の集団教育とは別の意昧での能率が上がっているともいえます。つまり、キメの細かさとか、徹底さなどの面で家庭教育のほうが効果的ともいえます。学校教育は一人の教師が多数の子どもを扱うのですから、とかく十把ひとからげに一律となりやすく、一人一人に細かい指導の手がおよびません。
 そこで家庭教育では、子どもの個性を育てるのに向いているのです。そして学校教育では社会性を育てるのに向いているといえます。一人の子どもを生まれた時から成人になるまで、長い年月にわたって育てる親は、短い年月子どもと接する教師に比べると、より深く子どもの個性をみつめ、それを育てるのに有利な立場にあります。
 もちろん学校では多くの友人との接触によって個性がハッキリわかるとか、同年輩の子ども同志の励ましや競争、あるいは甘えてはいられない独立心の養成などの長所があるわけです。他人の飯をくうといった厳しさや、集団のもつ魅力や統制力な ど、家庭教育でえられない多くの特徴があります。
 ですから、学校でなければ、教師でなければできない教育もあるわけで、そのことについては誰もよく認めているのです。学校教育は親に代わって親のできない教育をしてくれる有難いものであることはたしかです。
 しかし、親の行う家庭教育、家庭でなければできない教育も忘れてはならないものといえましょう。それは、これまでみてきた両教育の違いからもいえることですが、さらにもっと考えてみなければならないことがたくさんあります。
 その中で一つだけここで強調しておきたいことがあります。それは親子関係と呼ばれる心と心の触れあい、結びつきのことです。そしてその中心は愛情です。
 前に育てる教育を分担するのが家庭教育そして親の役目であることを述べましたが、その育てるものの中で中心になるものが愛情といえましょう。それは当然のこと、百も承知と誰もが考えているのです。
 しかし、ややもすると、その当然のことが空気の重要さや有難さを忘れるのと同様、私たち親が、うっかりすると忘れるおそれがあるのです。そういう実例が案外多いのです。そのために非行少年が育っているのです。
 その源の一つは、学校教育だけを教育と思い違いすることから始まっているのです。家庭教育の大切さを考え直しましょう。

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