親の役割

 家庭教育は親の責任という考え方もあるとは思いますが、むしろ親の行う教育が家庭教育であると考えるほうがよいように思います。
 というのは、親の責任といっても、子どもの側の責任もあるわけでして、親だけが一方的に全責任をとるという考え方では、子どもの自主性や責任感は育てられないからです。
 子どもの人間性を育てるのが家庭教育の内容ですが、子どもの心や人間性というものは、あくまでも「子どもの」ということで、親の所有物でもなく、また人間形成は物つくりとは違って、親が作るのでなく、親が育てるのですから、育つ側の自由や主体性を認めてこそ、性格形成であり、人間づくりといえます。

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 そこで、放任主義ということについて考えていきましょう。物を作る場合や植物を育てる場合には、たしかに放ったらかしておいたら全然ものになりません。人間の子どもでも放任したらよくはありませんが、物や植物とは違う面があることも考えておく必要があります。
 親の役割として「めんどうをみる」ということを重視していらっしやるようですが、それも大切なことには違いありませんが、人間の子どもは、人形や植物と違って、自分でやる意志や能力をもっているのですから、何から何まで親がめんどうをみてやらなければ育たないということではありません。
 身のまわりのこと、つまり衣食住についてめんどうみが悪いというだけではすぐに放任とはいえません。その点だけで心配しすぎる必要はないのです。
 放任とか放ったらかしということが性格形成上問題になるのは、いわゆる世話をやくとか、めんどうを見ることよりも、むしろ心の理解やふれあい、愛情や自己価値感を育てることに失敗する場合です。
 親が働いていたら子どもが自動的に不良化するとか、親が多忙で身のまわりの世話が不足すると子どもが直ちにダメになるというような機械的な考え方は、働く親に大きい不安を与えます。それは必ずしも正しい考え方ではないのです。
 むしろ、親のめんどうみや干渉が多すぎて、子どもの自主性、意欲、責任感、独立心などが育たないために、家庭内暴力がおこったり、登校拒否がおこったりということさえあるのです。親が子どもの人間性を育てることに熱心であれば身のまわりの世話が少ないために性格教育が失敗とはならないのです。
 そこで、放任とはどういうことかについてよく考えて、それを防ぐ工夫をしてください。
 放任というのは、親の心が子どもの方から離れて別の方に向 いているときおこるのです。例えば子どもに対する無関心がそれです。親が仕事のことだけとか遠楽に熱中して、子どもの存在の影がうすく、褒めることもしかることもないといった無関心な態度をとると放任です。
 また、親が子どもに愛情を感じないとか、また子どもに対して不満ばかり多く抱いていて、それが冷たい態度や批判、非難、文句、しっ責が多いといった態度になるとき放任となります。
 つまり、子どもに接するとき、親の心と子どもの心とが遠く離れている、心理的距離が遠いような状態にあり、したがって話をしても生返事とか、子どもの喜びや悲しみにも無関心、無反応といった態度を示すことが典型的な放任です。そして子どもにとって生きがいが感じられないとか、自分は好かれていないとか、自分は人間として存在する価値のない人間といった感情、「どうせ私なんか」といったやけの気持を抱くようになったとき、これを放任といいます。
 さて、子どもの性格形成に対して放任が与える影響力は、非常に大きく打撃的です。なぜなら、自分という人間の存在価値を子どもが疑い、自分という人間性に見切りをつけるのですから、人生そのものが暗くなり、生きがいがなく、心がしぼんでしまい、自信喪失となり、消極 的となり、ひがみ心で不健康な心となるからです。
 その結果、自分も人も尊重できず、世の中を白い目でみるようになり、人を愛することができない冷たい心、無感動、無気力、無責任となります。そして子どものころは問題が目立たず表面化しませんが、青年期になると非行、不良になったり、あるいはノイローゼとなったりします。
 このように考えますと、家庭教育における親の役割が大きいことがわかりますが、それは、健康な心の土台づくりという点で重大といえます。
 子どもが親の関心や愛情を確信できて、「ぼくは親から存在価値を認められている」という感情が育つような生き生きとした目つき、表情、言葉、態度で接することが大切です。
 子どもが幼い頃に、自分という人間性について明るい自己観、自我像が持てるような親の心がまえと態度としつけ方をして、心の健康の土台を作ってやれるなら、そのほかのこと、例えば友人関係や学習などのことは、子どもが自分で責任をもってやっていくことができますし、そういう責任感を子どもがもてるように育てることが親の役割といえましょう。

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