父親の役割

 お父さんの仕事が多忙なため、子どものめんどうはおろか、一緒に食事したり、遊んだりもできないというのが、現代の日本の状況のようですが、言葉を交わすこともほとんどないというのでは、すこし度を越しているように思います。
 そのようなお父さんの実態が父親不在とよばれるので、それは母子家庭のことではないのです。父親不在が話題にされるのは、父親がありながら実際には父親の役割を果たしていない場合のことをいっているのです。つまり父親の役割不在です。
 その意味では、不在パパの汚名を返上していただくよう、心掛けと努力とが必要のように思われます。
 しかし、不在には、身体的な不在と精神的な不在とがあるこ とを区別して考えてみる必要があります。つまり、お父さんが多忙なため家にいないというのは身体的な不在で、そのことが直ちに精神的な不在になるかどうかはわかりません。
 例えば、子どもと話もろくにできないほど忙しいお父さんでも、子どもと父親との心の結びつきがあるなら、それは必ずしも父親不在とはいえないで しょう。お父さんの心が子どもから離れず、子どもの心もお父さんから離れていないなら、それは放任でもなく不在でもないといえるでしょう。
 ですから、父親の役割を考える場合、子どもとの接触が大切ではあっても、単に身近にいるとか、顔を合わせるとか、めんどうをみるとかいうだけでなく、目にみえにくい心の交流に着眼することが大切です。そうでないと、忙しい父親は絶望となり、救いがなくなりますので、ますます家庭や子どもから離れてしまうおそれがあります。

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 忙しいパパでも、心がけ次第で果たす役割があるというので、はじめて努力する気持もおこるのです。お父さんが母親まかせの状態が多いようですが、はたしてすべてをお母さんにまかせているのでしょうか。食べさせたり着せたり寝かせたりという、身のまわりの世話は母親にまかせても、家庭教育の基本方針とか、重大なポイントをしっかり持って、お母さんを支持したり指導したり、困った時に相談相手になってくれるお父さんでしたら、それは立派に父親の役割を果たしているといえましょう。
 もしお父さんが、子どものしつけのこと、友だちのこと、趣味や生活のことなどについて無関心で「子どものことはお前に全部まかせてある」といってふりむきもしないようでしたら、そのようなパパは精神的な不在パパといえましょう。
 もしお父さんが、子どものいったこと、したこと、描いた絵などについて関心を示し、それについてのお父さんのコメントや意見などを、お母さんを通して子どもに伝えるようでしたら、そのようなパパは、多忙でも、父親の役割を果たしているといえます。
 その時に、できればお父さんの男性的特徴が表現されれば申し分ありません。男性的な特徴としては次のようなものが考えられます。
 勇気、決断力、たくましさ、強さ、大胆さ、スケールの大きさ、大まか、視野の広さ、社会的見地、実行力、積極性、スポーツなどへの関心、敏速さ。
 これらの男性的特徴は、日常の考え方、態度、言葉、行動などを通して自然に表現されるのですから、できれば直接子どもに父親の生きざまを見せる のが最高です。それは長時間子どもと遊んだり生活したりすることだけでなく、何かの折に、何かの瞬間にも表現されるものです。
 なお、父親は外で慟くため、社会的な役割とか地位などを背負っています。それは働く母親の場合も同じです。その場合、ややもすると、勤め先の身分とか地位、役割などをそのまま家庭に持ちこみやすいのです。
 例えば、課長さんは家へ帰っても課長の気分や態度でいるとか、学校の先生は家庭に帰っても先生でいるとかいうように、社会的な役割を直接持ちこみやすいのです。しかし、これは家庭教育における父親の役割ではなく、また親の役割でもないのですから、留意したいものです。
 つまり、父親という人間にもどって、家庭人になりきることが、より良い父親の役割といえます。家庭に帰ったら外のことは忘れて、家族との団らんを楽しみ、家族との生活のことを中心に考えるという気持に切りかえることが、父親の役割をうまく果たすことになるのです。
 そして時間的に不足するところは、お母さんが補う役目を持つとよいでしょう。お父さんは家庭教育の基本や根本の重大なポイントについて、しっかりした考えや見解をもって家庭教育という船の船頭になれるなら、それで立派に役割が果たせるといってよいのです。
 最近、お父さんも子どもと一緒に風呂にはいりなさい、子どもと散歩しなさい、子どもをしかりなさい、子どもと遊びなさいというようなことがいわれています。それはもちろん結構なことなのですが、そういうこまごました日常的なことは、むしろお母さんの役割です。父親が母親の助手の役割をしたのでは、二人母親がいるようなもので、それでは父親不在となります。
 お宅のお父さんをこのような目で見直してみてください。そうすると、お母さんの悩みもかなり薄らぐのではないでしょうか。
 また、忙しいお父さんの気持や考え方と、子どもたちの気持や行動とを、お母さんがつないで結びつける役割をされたら、お父さんのイメージがもっと子どもに明りょうになることでしょう。

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