子どもの個性を育てたい

 わが子を個性的な人間に育てたいけれど、そのために仲間から浮いて孤立したり、嫌われたりするようでは困るという心配は、よく耳にするところです。
 個性が強すぎるということばがよく使われますが、それは個性ではなくアクということではないでしょうか。癖のある人とか、アクのある人というのは、個性的な人とは全く異なる別のタイプの人といってよいでしょう。
 そこで、個性とはどういうものかについてあらかじめハッキリさせておくことが必要のようです。指導の方向や方法を考えるうえでぜひ個性の内容を明らかにつかんでおきたいものです。
 よく個性的という語が、「人と変わっていること」という意味につかわれます。たしかに個性というのは、人格の独自性のことですから、人の真似でなく人と同じでないという意味が含まれていますが、それは変人であることとは違うはずです。人の反対ばかりしたり、目立つような風変わりな言動をすればそれで個性的とはいわれません。
 そう考えてみますと、個性的ということは、ことば、態度、行動、身振りなどが人と風変わりであることではなく、その人の着想やアイデア、その人の考え方や生活態度などを自分の目でみて、自分の頭で考え、自分のアイデアで創造することといえましょう。
 つまり創造的ということが個性的ということの大切な特徴ということです。創造的ということは、その人の自主的な考え方や着想、工夫のしかたが独創的、独自的ということで、その結果だけをいうのではないのです。
 例えば、このスカーフとこのスカートとの色彩の組み合わせを、私はこのようにしたいと考えて、自分に似合うように着こなす生活態度が創造的なのです。しかし、結果的には同じような服装をしている人がほかにもいるかもしれませんが、それは問題ではないのです。自分で創造的に着こなした人は個性的な人で、単に猿真似で着た人は個性的な人ではないのです。

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 個性を、外部的な面、結果的な面だけに着目しますと、変わったことばかり、風変わりなことだけを追いかけることになり、個性的な人間というより、変わり者に近づくことになります。結果的には人と同じでも、それがその子の考えや着想から出発している場合には、その子は個性的な生き方をしているといってよいのです。
 ですから、子ども指導のしかたとしては、子どものアイデアの尊重、子どもの着想や発想、子どもの考え方や意見などをよく認めてやり、理解し、それを実践する手助けをしてやることです。
 子どもが何か案を出したり、計画を思いついたりしますと、大人からみてくだらなかったり、すでに他人がやったことであったり、危険であったり、失敗の可能性が多かったりしますと、大人は子どもの思いつきにケチをつけてやめさせがちです。このようなやり方では個性は育ちません。
 子どもの思いつきや、子どもが自分で創造的に考えたことを重視して、まずそれを受けいれてやり、やらせてみることが肝要です。やってみて失敗に終わってもよいのです。失敗をおそれ てすべてやめさせるのは、たとえ大人の考えや見通しが正しくても、個性を育てるという観点からはよくないのです。
 次に、子どもに何か特技をもたせれば、それが個性を育てるということになるという考え方をする人がいます。たしかに特技があることが個性的であることと一致することもあります。しかし、特技を育てることが個性的人間形成に直結するとは限らないのです。むしろ人格形成に歪みをつくって、そのために人格の調和がこわれて円満さがなくなり、対人関係や社会生活がうまくいかなくなることもあるのです。
 ですから、うちの子は絵が好きで上手だから絵だけやらせればよい、ほかのことはどうでもよいといった導き方をしますと、心の栄養が偏して偏食となり、偏人ができるおそれがあります。
 個性的な人間というのは、偏している人のことではなく、やはり人格の円満さや成熟という ことがつきものです。それがないとその人の考え方や生活態度がアンバランスになり、創造的にはなれません。考え方や行動が偏していると対人関係がうまくいかなくなり、人から嫌われるとか、疎外されて孤立することにもなります。ですから、変人も偏人も、個性的人間とは全く違うことをハッキリさせて、わが子の指導にあたることが肝要とおもいます。
 このように考えてみますと、個性的ということは、人と特に変わっていることでもなく、何か特別の才能や特技をもつことでもなく、また性格的なクセのあることではないことがハッキリします。
 個性は、個性的な生活や学習を重ねていく間に形成されるもので、それは外から第三者が教えこんだり、しつけたりするものとは違うのです。個性を育てるには、あくまでも、子どもの自発的、自主的な考え方や行ない方、ものの見方や感じ方、つまり主観的な側面を重視することが大切です。
 しかし、自分の考え方や自分のアイデアだけを重んずるのでなく、人の考えや人の立場も理解し、適当に取り入れたり、学んだりすることも個性形成には大切です。
 自分の考えだけに固執する頑固さは、個性的とは相いれないものです。固定観念にしばられることのない柔軟さが創造的思考、個性的生活にとって欠かすことができないのです。ですから、いくら個性が強すぎても心配はないということです。

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