高校生の家庭教育

 高校生になりますと、大部分の子どもは反抗期を卒業して、扱いにくさは減少するのがふつうです。それは、身体的にも精神的にも成長したため、もはや親と対抗意識を燃やさなくても、もう一人前に近い扱いを受けることが多くなり、反抗の必要性が減少するからです。
 しかし、反抗期を通過したといっても、高校生はまだ子どもから大人への移行期の真最中であることにはかわりなく、その心理はまだ五里霧中、動揺の最中といってよいのです。何ごとについても多感で過敏ですし、学業成績のこと、友人のこと、特に異性に関する興味も強く、また自分自身に関する関心も強いため、とかく劣等感を抱いたり、傷つきやすかったりします。
 落ち着いてしまった大人からみますと、大したことでもないことに夢中になってみたり、興奮してみたり、感動してみたり、また憤慨したり、悲しんだり、心配したりといった心の中の動揺が激しいのです。その心理状態は大人の常識や大人の判断基準からは推測しにくいのが当然です。
 ですから、娘さんが明るく話していたかと思うと沈みこんで部屋に閉じこもるというようなことは、特に奇異でも珍しいことでもないといってよいでしょう。何か重大事でもあったのかと観の基準で心配してみても、客観的には大したことでもない場合が多いのです。
 例えば、親しくしていた友だちが、急にそっけなくしたとか、ほかの人と親しそうに話していたというようなことでも、この年ごろの女子高校生にとっては、主観的には大問題なのです。また、友だちから何か批判されたとか、異性の友だちとのことでうわさをたてられたといったことでも、重大事件として彼らの心を占領してしまいます。

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 喜びも悲しみも、常に過敏な心にとっては振幅が大きく拡大されますので、その心の動きを理解することは難しいと覚悟をきめておくほうがよいでしょう。
 しかし「どうせくだらないこと」とか「どうせ小娘のこと」などといった軽視の態度をとるのは感心しません。やはり傷つきやすい心に、いたわりの気持をもって接することは大切です。でも、親まで過敏になったり、心配しすぎたり、子どもにしつこく質問したり、干渉したりすることは禁物です。外から大らかに暖かく包んでやり、そっとしておく思いやりが必要と思います。
 さて、進学や就職といった今後の人生の進路は、たしかに重要な大問題です。それについて親が何をしてやればよいかというのは、よい着眼ですし、大切な問題です。
 このようなテーマについては、学校の先生にまかせておくのは危険性があります。というのは学業成績を第一に重視し、その成績で進学の決定を機械的にやる先生が多いからです。大学を一流とか二流というように格づけして、成績の順にふりあてるという、合格率中心の進学指導がよくなされるからです。また、教科の成績のどれかを重視して、英語がよければ英文科へ、理科や数学がよければ理工系へなどというように指導したり、また生徒もそういう見方や考え方に陥りやすいのです。
 一人の子どもの一生のこと、その人生進路をきめるのに、成績の高低や種類などを判定基準とするのでは、あまりにも視野が狭すぎます。世の中の職業や進路は、もっと多岐で複雑です。もっと世間や人生を、そして職業を幅広くみて、それについて話し合ってみることが人生の先輩としての親の大切な役割といえます。
 また、会社や学校、職種のことばかり問題にするのでなく、わが子に視点をあてて、その個性、性格、能力の特徴、適性、才能、興味、趣味、意欲のもてる活動などについて親と子 でよく話し合ってみることをおすすめします。
 そして、「わが子」を親の側からだけみるだけでなく、子ども自身が「自分」というものをみつめてみること、そのうえでの話し合いが実りがあります。
 特に、お子さんの現在のことだけでなく、幼いころからの成長の過程を話題にし、その生育の歴史を親と子でひもといてみることをおすすめします。この方法は生育史的方法とよばれる進路指導の大切な方法の一つです。しかも親と子でやるのに適した方法なのです。幼い時からどういうものに関心があったか、どういう活動に多くの時間をかけたか、どういう経験を多くもったかといったことを、親と子で話し合っていくうちに、次第に人生の方向が心の中から決まってくるのです。
 このようにして決められた進路の方針は、一生持ち続けることができます。単に進学や学校えらびだけではないのです。現代の学校における進学指導が、目前の入試の合格だけをめがしている欠陥を補うことが親の大切な役目です。
 目前の入試の合格だけをめざし、しかも有名校への合格競争のための勉強に子どもを追いたてるのでは合格した瞬間にやることがなくなり、大学生活の意味もうすくなり、ほんとうの意欲が持続しないうらみがあります。
 親と子の合同作業で、もっとわが子についての研究をすることこそ最も大切なことです。そうすれば、必ずしも四年生大学の受験だけが唯一至上の進路とはかぎらないこともわかってきましょう。
 また高校卒で就職する場合も、あきらめや劣等感からでなく、まず実社会の経験をして、それから後に進学を主体的に自分を中心に決めることもでき、それが人生への前向きの意欲にもつながりましょう。

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