教育法の解釈

教育法の解釈は、法論埋的操作によって法文のなかにこめられている法的規範の内容を明らかにするものであり、その点に開するかぎり、他の法解釈一般と変わりがありません。教育現実に対して規律的意義をもち、それに反する時は、違法評価を与えてこれを是正する効力をもつような法的な規範を、具体的に明らかにしていく営みです。ただ教育法の場合には、法と教育とのかかわりいかんという法のあり方の基本にかかわる問題があり、そのことが教育に対する法的規範のありようを現定していることに留意しなければならなりません。教育そのもの、いわゆる教育の内的事項、については、その本質上法によって規律することは適切ではないため、これを専門職としての教師の専門的裁量ないしは研究者や父母国民の教育のあり方をめぐる自由な論譲に委ねることとし、原則として、これに対する法的拘束力を伴う仕方での立法的・行政的介入を排斥する点に法的規範が向けられていることに、教育法の大きな特色があるといえます。

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教育法の解釈は、教育法の法文のなかにこめられている、法的規範を明らかにすることですが、そのことは、決して法文のなかに既定の法規範が存在しており、法解釈はただそれを発見するだけの営みにすぎないということではありません。法解釈は、そのような固定的、静的なものではないです。社会の発展につれて流動的に変化発展するものであり、その意味で法の解釈は、法文のなかに新しい意味合いを読み込んでいくという法創造的機能をもつことは否定できません。教育法の場合には、法解釈学的検討をまたれている空白領域がなお広範に存すること、教育の本質に照らしての教育条理解釈が強く望まれていること、特に憲法26条、23条や教育基本法の各条項などの原理的条項については民主的な教育思想の歴史的展開と密接したものであり、そうした教育思想の展開のなかからこれらの条項のも範的意義の内容をより豊かに読みとらなければならないこと、民主的な教育原則そのものが、日本内外の教育運動に担われてたえず生成発展の週程にあること等からして、法解釈による法創造の可能性が開かれているといって良いと思います。このような教育法解釈の意義として、ここでは次の2点を指摘しておきます。
その1は、教育法の解釈が、憲法および教育基本法を頂点とする教育法の体系性を回復する機能をもつという点で。教育法においても、他の法領域と同様、憲法を頂点とする整合的な体系性を保持していなければなりません。ところがサンフランシスコ講和条約以降、保守党攻府の戦後教育改革への反改革の動きが露骨となり、1954年の教育二法や56年の地教行法を始めとして、憲法、教育基本法制とは異質な法令がもちこまれてきました。これらの法令は、勤務評定、学カテスト、教科書検定の強化など憲法・教育基本法に違反する教育行政を強行する根拠を提供するとともに、憲法、教育基本法をゆがめて解釈するための手がかりを、行政の側に与えるものでした。つまり憲法体制と安保法体制という法体系の二元性が教育法の領域にも生じているわけです。このような法状況のなかで、教育法の解釈は、すべての教育法令を憲法に適合するように解釈し、あるいはそのような合憲解釈が許されない時は、その違憲無効性を明らかにしていくという重要な意義を担っています。また教育基本法は、形式的には他の教育法律と同位ですが、実質的には同法は、憲法を直接にうけて現行教育法制のよるべき基本原理を定めたものであって、他の教育法令の解釈基準たる意義を有するものです。他の教育法令は、すべて教育基本法の各条項に適合するように解釈されなければなりません。教育法の解訳は、すべての教育法令に合教青基本法的解釈を施すことによって、他の教育法令の教育基本法との整合性を保持せしめ、あるいは回復せしめるのです。教育法の解釈は、教育法の二元性を克服し、憲法、教育基本法を頂点とする教育法の体系牲を回復するという重要な課題を担っており、現に教育裁判などを契機として、そのような作業が進められています。教育法の解釈が、教育に関する国民の人権を確認し、あるいは確立していくという意義を担っている点であります。戦前における教育に関する法令は、主権者である天皇の教育意思を明示し、行攻による教育支配に法的根拠を提供するという性格のものでした。しかし戦後においては、教育が国民の義務から国民の権利へと転化したことに伴い、教育法は、国民の教育上の権利、自由を保障し、これに対応する国の責務や権能の限界を明らかにするものと変貌しました。したがって教育法の解釈は、教育上の国民の人権とその豊かな内容および、これを具体化、実現していくための手だてを、法文の解釈を通じて明らかにしていくことを中心任務としているといってよいのです。

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