教育法の解釈の特殊性

教育法の解釈には、大きな特色があります。教育の対象である教育そのものが、顕著な特性を有していることによるものです。教育は、子どもに働きかけて、子どもに内在する可能性を豊かに開花させる営みであると考えられています。教育の営みそれ自体は、言うまでもなく法以前の存在であり、それ自体の固有の法則性をもって存在しています。たとえば、子どもの発達には法則性があり、その法則性を無視しては、教育は成り立ちえないです。その法則性をわきまえ、これを効果的に適用していくためには、専門的な知識と経験とを必要とします。そのために教職は、専門職であると考えられています。一人ひとりの子どもの多面的な可能性を発見し、その豊かな、成長をはかる教育の営みがすぐれて、創造的な活勤であることも論をまたなです。このような固有の法則性をもつ独自的存在としての教育に法が、かかわりをもつ場合、法は教育の本質特性を踏まえ、それに適合しつつ、教育という営みを効果的に、助長するようなものでなければならないことはいうまでもありません。教育に関する法もまた、教育の本質特性を反映して、それ自体固有の法原則をもつ、独自の領域を形成することになります。教育及び教育制度に固有な法としての、教育法の独自性が承認されなければならないことになります。このことを承認することが、教育法解釈の特殊性を理解する出発点となります。

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教育法には教育行政に関する法が多く存在するために、教育法を教育行政法と解し、行政法の一領域として位置づけ、教育法を解釈するのに、行政法学の一般法理である特別権力の関係論、もっとも最近では、それは行政法学においても通説的地位を失っていますが、営造物理論を援用する見解があります。しかし、教育法が行政法とは異なる固有の法原埋によって支配される、独自的な法領域である以上、教育法の解釈を行政法の法埋によって埋めていく解釈態度は、適切なものとは言えません。行政法の法埋は、そのままでは教育法の法理たりえないのです。だとすれば教育法の解釈にあたっては、教育法の固有の法理の探究に努めなければならないことになります。教育の固有の法理、法解釈を発見し、あるいは創造していくためには、次のような解釈姿勢ないし解釈方法が必要とされているといえるでしょう。その一は、教育法の対象である教育そのもの本質・特性への省察を深め、そこから教育法の解釈を深め、発展させるための豊かな養分を汲みとることです。教育法においてとりわけ教育条理解釈が重視されるのも、このためです。この点で教育法の解釈を発展させるためには、とりわけ教育学や専門職としての教員集団の協働が重要です。このことは、教育裁判における判例の発展に、教育学者や現場教師の教育の本質・特性や教育実践・学校運営の実際に関する証言が、いかに大きな役割りを果たしたかをみれば明らかです。その二は、戦後教育改革における憲法、教育基本法制の立法趣旨の探究であり、再確認です。それは、同時に戦前教育への反省とそれから学びえた教訓を、教育法の解釈のなかに活かしていくということにほかなりません。周知のように、戦後教育改革は、戦前教育への反省を母胎として、数々の民主的な教育原則を生みだしたものであり、それが現行教育法制の基本原理となっています。したがって、戦前のような教育の権力統制の害悪や、画一教育の弊害への反省を含んでいない教育法の解釈は、現行法の解釈として、到底妥当性をもちえないものといわなければならなりません。その三は、ルソーやコンドルセー以来の近現代の民主的な教育思想の潮流と、その反映としての今日の国際的な教育通念ないし、教育法理に適合する解釈を導びくよう努めることです。

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