学習権の意義および主体

教育権が、主に教育する権利・権能をさす言葉であったのに対して、学習権は、教育を受けつつ、学習する主体、学習者の権利を意味しています。すべて人問は教育を受けて学習することによって、人間として成長、発達していく権利を、生まれながらにもっているという見方であり、教育、学習の人権的なとらえ直しや、教育に関する人権の再解択とともに、教育権および教育行攻権の正しいあり方にも、連なっています。学習権は、人の生まれながらの人間的成長発達権として、本来、19世紀近代以、末まず、学習の自由、という原理をなしていたはずであり、とくに真理を学ぶ、自由としては、学問の自由にも、含まれていたと考えられます。学習権が教育権および教育行政権に対する積極的な要求権へと充実発展してきたのは、国家と法制の積極的な働きを求める生存権の一種である、教育を受ける権利が20世紀現代の公教育法制において保障されるようになってからです。日本国憲法26条一項の、教育を受ける権利については、憲法学説によって当初、経済的生存権や政治的公民権の性質がとらえられていたが、1960年代からの教育法学説によって、それらに加えて人問の成長発達の積極的保障という文化的生存権でもあるものとして、学習権的理解がなされるところとなっています。

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学習権は当然すべての人間の人権・権利であって、青年・成人・住民・国民がその主体にあげられうるが、人問的成長発達権である、その意味合いが最も明確になるのは、やはり子どもの学習権においてであります。
現代の公教育法制において、教育を受ける権利にまで強められた、子どもの学習権は、子ども・生徒自らの学習の自由・教育選択権のほかに、親と学校教師の教育権に対する、教育内容的な要求権、および教育行政に対する教育条件整備の要求権を含むものと解されます。
教育内容面に関する教青要求権、人間的成長面に関する教育要求権、教育には、高度の専門的な指導によって、人間的能力を発達させていく部面のほかに、人格形成や人生的経験にかかわる人間的な成長を促していく部面とがあります。学習権は学校教師の教育研究にうらづけられた専門的な指導を要求するが、ここでは、包括的な教育責任者である親の教育権に求められるところが大であります。親の教育権は、家庭教育のほか、学校教育内容に開する一定程度の選択権・拒否権をも含むと解されるが、子どもの学習権を十分に保障していくためには、父母集団を通ずる学校教師への教育要求権に高められる必要があるでしょう。人間的能力に関する教育要求権、人間的能力の発達は、人間の発達の法則性を踏まえた高水準の専門的指導のもとで、よくなされます。学校教育のこの部面に関しては、親・父母集団からの要求権はあってよいが、教育専門的な決定と責任はあくまで学校教師の教育権に属せしめられなければなりません。また、教育行政からの、教育専門的な、指導助言は認められるが、子どもの学習権の保障に任ずる学校教師の教育には、教師の人間的主体性と尊門的自律性にもとづく自由と自治が保障されなくてはならず、教育行政による教育支配は、原埋的には子どもの学習権の侵害を意味します。そして学校教師は、その授業・成績評価を通じて、すべての子どもに、それぞれ能力発達の仕方に応じて能力発達ができることを、保障していく責任をもちます。すべて国民は、その能力に応して、ひとしく教育を受ける権利を有する、という憲法26条一項は、そのように学習権的に解釈されなければなりません。実際には、学校制度や物的教育条件の法制に、教師による学習権保障を妨げている部面が見出されるので、教育行政による案件整備的改革が大いに求められます。
外的事項に関する教育条件整備要求権、学校制度の整備要求権すべての子ども・生徒の人間的成長発達権・学習権を保障していくために、現下日本の教育界では、学校制度の法制と、その行政的運営に、大いに改革が求められています。教師の教育権行使に直接する問題として、公立高校入試と中学内申書制度、教育課程基準行政と教科書検定・採択制度、学級・学校規模、教職員勤務時間制とクラブ活動指導体制などがあるほか、職業高校の総合制高校への改革、養護学校義務制下における障がい児の学習権保障的な就学保障のあり方、保育一元化などの諸問題があります。これらの学校制度改革に学習権からの整備要求を生かすためには、立法・行政当局が、学校教師や父母・住民の参加を十分に踏まえていく必要があろう。物的教育条件整備の要求権、教育を受ける権利には元来、物的・財政的な条件整備を国家に求めることが含まれているが、学習権的解釈は、物的教育案件整備が、子どもたちの人間的成長発達の保障に現実に十分なものになることを要求します。財政困難の国や自治体に対しても、学習権保障にとって重要な公教育費の公的負担化や、低授業料の原則が強く求めつづけられてよいでしょう。近年の学校事故事件に明示されたとおり、学校事故による子どもの人身被害は学習権の物理的侵害であり、被災著救済制度の完備とともに、この際、学校安全基準づくりを意識した施設設備の点検と整備とが実行されていく必要があります。

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