青年の人権

人間を育て伸ばしていく教育にあっては、人間を真に人間らしく扱うことの国家社会的保障である人権が、根本的に大切なものとして踏まえられていなければなりません。その場合に、学習権や教育の自由といった教育に固有な人権はもとより重要ですが、現下日本の教育界にあっては、残念ながら、広く人間生活に通じる、一般人権すら未だ基本的に踏まえられてはいないようにみられます。教育にかかわる子ども青年の一般人権としては、生命、身体、健康権、私生活の自由、ブライバシー権、思想、表現、政治活動の自由、平等権、などがあげられます。これからの日本の教育改革・教育制度改革にあたって、教育人権の実現はもとより、一般人権を踏まえ保障していこうとすることによって、すぐれた教育と教育制度の仕組みや問題点が鮮明になるでしょう。

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ここで、子どもの一般人権ごとに問題になりうる学校教育と教育制度の部面をあげてみるならば、次のようになるでしょう。子どもの生命、身体、健康権をめぐっては、学校事故に示されている施設設備、環境の不備、劣悪さ、まずい学校給食、教育熱心ないし安易な体罰教育、などの問題があります。子どもの私生活の自由、プライバシーの権利、名誉権に関しては、生活指導・給食指導や懲戒の仕方に、かなりの問題があるとみられます。生徒の思想・表現・政治活動の自由も、学校行事や生活措導にかかわって困難な問題をはらんでいます。子ども、生徒の平等権は、教育上の不合理な差別を排しますが、中学、高校の家庭科女子必修制などが追及されつつあります。いずれも難問ではありますが、これに責任ある取りくみをしていくことが、やがては子どもの学習権を十全に保障する教育制度づくりともなるでしょう。社会教育を含む青年、成人の教育に関して、近年、学習権の見地に立ったとらえ直しが行われつつあります。それに伴って、国民の学習権や住民の学習権の語に示される、学習権の豊富化もすすめられているといえようるでしょう。元来社会教育のうちには、青年、成人の攻治教育や地域住民教育が含まれていたが、これを国民・住民の学習権の見地からとらえ直すとき、より主体的な主権者国民や地方自治住民の教育的形成が意識されることになります。そこでは、住民運動のなかでの住民の学習や、労働運動における労働者階級の自己教育といった、歴史社会的な人間形成の教育的意味も評価されるようになります。確かに、政治的・社会的な人間形成にかかわる青年、成人の学習権は重要ですが、やはり学習権が本来、学習による人間的成長発達の権利であるということが、青年・成人の教育、学習にあっても忘れられてはいけません。そして、真に成人すべての人間的な成長発達を保障する教育、学習活動となるためには、青年から老年にいたる人生の各時期と個性とに見合った各人の発達課題を追究するという、社会教育的専門性が備わっている必要があります。かくして青年、成人の学習権は、社会教育における学習者の主体性とともに、社会教育的専門性を擁した施設、職員の配置整備を要請します。このように青年、成人の学習権すなわち人間的成長発達権の保障という観点を貫くときに、いわゆる生涯教育の正しいあり方を考え極めることができ、また、公費助成を受けるべき公教育としての社会教育活動を基本的に見定めうるものといえます。

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