男女共学の理念

男女共学の原則は、戦後の重要な学校4教育制度改革の一つです。日本においては、明治以来、男尊女卑の封建的観念が踏襲され、女性は男性に対して従属的地位におかれており、また、学校制度上も、この観念は男女別学として制度化されていました。しかし、日本国憲法が法の下の平等原則を定めたことにより、このような封建的諸制度は否定されることになります。この憲法原則は、教育基本法において、教育を受ける機会の性別による差別の禁止として表わされ、具体的には、男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであつて、教育上男女の共学は、認められなければならない、との規定によってその実現が企図されたのです。したがって、男女共学は、憲法の定める両性の法のもとの平等原則の学校制度における適用であると同時に、封建時代からの男尊女卑の観念における、根本的の改革は主として教育のカに、またなければならないと、述べられているように、この原則の実質的裏付けともいいうるものです。

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明治憲法下においては、教育令、小学校教則大綱、国民学校令、同施行規則などによって、凡学校に於ては男女教場を同くすることを得すとの大原則をはじめとして、教科内容においても男女別学が行われ、男子には武道が、そしてとくに女子には、貞淑の美徳あるいは、婦徳の涵養を留意しつつ、家事および裁縫の科目が課されていました。また、学校制度上、高等教育の学校への進学の途は、ごくわずかの女子高等師範学校と私立大学とを除いて、女子に対しては全く閉ざされており、加えて、男尊女卑の観念は、女子に高等教育はもとより中等教育さえをも受けさせることを妨げるものであったため、事実上、女子の進学は困難でした。以上のように、明治憲法下においては、男女の間には、学校制度上も教育内容上も、封建的観念に支えられた差別と不平等が存在していました。
男女共学制は、目本国憲法14条の具体化であると同時に、より直接的には、アメリカ教育使節団の要請によるといわれます。そのことは、政府が使節団来日に先立って閣議了解として発表した、女子教育刷新要項の内容の中心が、女子への高等教育機関の開放など、水準の平均化にすぎなかったのに対して、報告書が、生来の能力を熱心に啓発しようと心がける、健康で活動的で思索的な公民に将来なるよう、児童を教育するため、男女共学を勧告し、さらに、男女共学は、男女の平等を確立する助けになるとも述べていることに示されています。いずれにせよ、戦後確立された男女共学制によって、憲法の定める両性の平等原則の具体化とともに、その実質化が計られることになったといってよいです。その点で、この男女共学割によって、男女相互固の理解が高まり、それぞれの特性が互に影響を与え、相互の尊敬・協力がみられるようになったとの指摘は重要でしょう。
教育基本法5条男女共学の規定の法的意味については、一般に、学枝教育の実現にあたって、同一の教室において、同一の教科または学科に関して、同一の教員により、同一の方法、教材をもって、という四条件が認められなければならないとされています。この点に関連して、両性の自然的特質や使命の特異性の故に履修すべき教科・学科に差異が存在しうるか否か、という問題提起、具体的には家庭科の女子必須制をめぐって、面性の本質的平等の観念からみて、それを合埋的であるとする見解と、男女別の教科は存在しえないとする見解との対立があります。近年、国民の意識においては、後者の見解に対する支持が高まってきたが、教育課程審議会の答申および新学習指導要領は、従来の方針を変更していないです。男女共学制は、男女がともに主権者として、また、社会の構成員として存在しうるための政治的・職業的能力を形成するに不可欠の要素であって、両性の本質的平等が実現される実質的前提案件です。男女共学制の具体的問題は、このことに留意しつつ解決されなければなりません。なお、本件について裁判で争われた例として、男女共学に反対して子女を就学させなかったため、学校教育法違反で起訴された事例があるが、手続上の問題として形式的に処理されたため、男女共学それ自体に関する裁判所の判断は全く示されていません。

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