教育における地方自治

現行憲法における地方自治の保障は、明治憲法における官治支配の手段としての単なる地方制度と具なり、その第八章に地方自治の章を設け、四箇条の条文をおいています。それは、国民主権主義、平和主義、基本的人権尊重主義などとともに、新しく採用されたものであり、それら各原理が相互に密接不可分のものとされている。したがって、国民の地方自治に対する地位は、明治憲法下にあってはそれが義務であったのと異なり、その具体的法律的意味はともかく、一応、権利として把握さるべきものなのです。すなわち、憲法の定める国政の統治体系は、国民の基本的人権を保障するための手段なのです。地方自治の保障があるということにより、国民、住民は、国の統治体系による保障と地方自治によるそれとの、人権保障のための二重の統治体系をもつことになるのです。
地方自治とは、住民自治を基礎とし、それとともに、そのコロラリーとして団体自治の原理を承認するものである。理念的にいって、住民自治とは、民主主義によって基礎づけられたものであり、一定の地域社会の公的事務をその地域住民の意思と責任において処理すべきことをいいます。団体自治とは、自由主義あるいは地方分権主義によって、一定の地域社会の公的事務を当該地域社会が中央政府から独立、対等の関係に立って、自らの機関によって処理すべきことをいいます。地方団体との関係を、前者は住民に、後者は中央政府に着目します。
この自治を保障する基本的権能として、自主立法権、自主行財政権等があります。

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憲法の保障する地方自治の説明において、学説は、自治体の権能が地方団体に固有のものとして自治権を有するものとする固有権説、地方団体の権能が国の承認、許容あるいは国の委任にもとづくものとする伝来説、地方自治制度は憲法の規定によって特別の保護を与えられた制度であり、通常の立法手続によるその制度の廃止や自治行政の本質的内容等の侵害が許されないとする制度的保障説に大別できます。しかし、それらが現行憲法による地方自治の保障を前提とするかぎり、保障の具体的内容を、種々の手法を用いつつ、日本の憲法構造にふさわしいものとするにすぎず、かかる伝統的対立もそれ自体意味を失ったようです。あえて現行制度を説明するならば、さしづめ、これを憲法的保障説ともいえます。憲法九二条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」と規定することにより、「地方自治の本旨」に反する立法は、違憲とされますが、いかなる法律が違憲となるかは、きわめて困難な問題であり、現代国家や地方自治に対するすぐれて憲法的価値判断を必要とし、広い総合科学的認識を背景に、個別具体的に判断されねばならないのです。
本来、教育は、公教育を含め、個人の自由と子どもの学習権の保障のために、子どもが現実に生きている生活共同体としての地域社会の生活にもとづいて展開さるべきものなのです。特に、公教育は、そこにおいてこそ、地域社会学校の観念を媒介に実際生活に則した教育が行われることです。そのための手段として、教育の地方自治は欠かせないものなのです。
憲法、教育基本法制下の教育行政においては、そのために監督的制度を廃し、地方自治の原則が他の行政領域以上に定説されています。まず、教育行政を主任務とする文部省は、それへの関与において、指導助言を原則とします。次に、地方自治法は、地方公共団体が責任をもち処理すべき事務として、学校その他教育、学術、文化などに関する施設の設置、管理を規定しています。さらに、教育委員会制度にみるように、地方公共団体内部における一般行政からの独立や特殊性が、他の行政領域以上に図られているのです。

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