学校体系の意義

今日の公教育制度としての学校は、一定の法体系、教育法規にもとづいて管理、運営されている一社会的機関です。戦前までの日本においては学校制度に関する重要な規定は、法律の形式によらず「勅令」以下の命令によって定められていた。戦後これが改められて、学校はすべて「法律に定める学校」と規定され、戦前の勅令主義への反省をこめて学校行政の基本的変革を指示することとなりました。
法律に定める学校とは、「小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校、盲学校、聾学校、養護学校及び幼稚国とする」もので、設置者のいかんを問わず両立、公立、私立のすべてを含むものとされています。なお、ここで規定するもののほかに「専修学校」があり、さらに「各種学校」があります。
教育法規上の明確な学校の定義はありませんが、行政法の観点からの組織権限関係の規定によれば、学校は法律または監督庁の認可により、国または地方公共団体もしくは監督庁の認可を受けた学校法人等によって設置された学校教育を実現するための継続的使用に併せられるべき、公の性質をもつ人的、物的施設の総合体である、と定義されています。ここでの人的施設は、学校管理者、教員および事務職員等であって、学生、生徒、児童はこれに含まれていません。また、物的施設とは校地、校舎、校具、図書館のような学校教育を実施するに必要な物的施設、設備を指示している。このような定義によれば学校は専ら管理関係として把握され、児童、生徒等は学校の利用者として学校の構成員から除外されることになっています。このような学校、営造物の観念は、基本的には戦前、戦後を通じて変化していません。のみならず、近年の教育行政上の解釈によれば、学校が行政組織の一部であることを強調する傾向にあり、一般行政官庁に適用される原則をそのまま学校内に適用して、文部省、県教委、地教委の系列化のなかでの管理体制の強化がすすめられています。学校教育のあり方からみて、このような状態は決して好ましいものではありません。
学校は他の諸社会制度や機関と同様に、計画性、技術性、規則性、継続性、組織性などの、目的遂行のために機能する組織機関としての機能的ないし形式原理をもっています。その意味では、学校組織とそれの運営、管理に関しては、それらの穏能的原理の効率的な組織、集団と同じく近代経営、管理の合理的、科学的な理論と技術の積極的な活用を必要とする領域は決して少なくありません。しかし、学校はそれらの機能的ないし形式的原理の合理化、科学化をめざすだけでなく、その教育という仕事の本質にもとづいて要求される独自の組織原理が存在しており。学校組織、体系の制度的運営、管理とそれの行政に関しては、まずなによりもこの教育的仕事と営みの独自性の認識が基本とされねばなりません。

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学校は意図的、組織的な教育機関として、一定の歴史的事情を背景として成立しています。したがって、学校は各段階、極別に応じた目的や内容をもった独自の機能と役割を果たしており、それらの学校教育の段階、程度、内容に関しては種々の種別があります。例えば、被教育者の発達段階に応じた段階として、就学前、初等、中等、高等の各学校教育段階があるし、また主として内容的な面に則してみれば、普通教育と職業ないし専門教育の各系統に類別することもできます。あるいはまた全日割と定時制、通信制など、それぞれの独自な目的、機能に応じた分類が可能です。学校の制度、体系は、これらの学校教育がもつそれぞれ固有な目的、内容に応じた学校か一定の関連と構造をもって位置づけ、全体として教育の独自的な社会的機能と役割を果たしています。
このように、学校の制度と体系は一定の目標と内容に応じた学校教育過程を計画化し組織化します。特定の形式ないし形態であり、それはその社会の構造と教育のあり方や、校教育者の心理的発達や教育内容、方法の研究成果にもとづく教育それ自身の要求、などによって条件づけられて成立しています。
一般的にいえば「民主主義による教育の機会均等の原理にもとづき、国民に教育を普遍化し平等に与えようとする普遍的一様化の条件と、個性および職業分野等に対応する個別的多様化の条件とが、相異なる面からともに学校体系を規定しています。従ってこれらの要因や条件がどのように結びつきどのようにはたらいて学校体系が組織構成されるかによって、学校体系の構造と性格が決定されることとなるのです。」
戦前までの日本の場合のように、封建的、身分的階級社会においては、その社会秩序に応じた複雑な階級的、閉鎖的な学校制度、いわゆる複線型の学校体系を樹立していました。これに対し、一切の身分的差別を排して自由と平等を原則とする近代社会においては、平等と公関性にもとづく開放的、一元的学校制度、いわゆる単線型の学校体系が原則なものとされます。
戦後の学割改革によって樹立された「六三制」は、教育の機会均等の理念の制度的、形式的実現としてのて一元的、開放的学校体系であり、画期的な進歩性をもっています。しかし、学校体系の一元化は必ずしも資本主義社会の階級的矛盾や差別を解消するものではありません。単線型学校体系は階級や階層の流動化に役立つこそすれ、それを止揚するものではありません。日本の学校体系も、教育がソーシャルエレベーターとしての社会的機能を果たし、成層社会の流動化と再生産のための社会的選抜の機能を果たし、体制の維持、強化に奉仕する役割を一面でもっています。

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