義務教育

日本の義務教育制度は明治一九年より実施されてきました。しかし現行の義務教育制度は戦前とはその意義を全く異にするものであって、国民、とりわけ子どもの「教育を受ける権利」を基礎に、その実現のための教育機会を無差別平等に保障すべく、子どもの保護者が子どもに普通教育を受けさせる義務を負い国および地方公共団体は権利保障に必要な教育条件整備義務を課せられた教育です。
義務教育を実施する学校は小学校、中学校ならびに盲学校、聾学校および養護学校です。
学校設営能力を有するもののうちで小学校および中学校については市町村に盲、聾および養護学校については都道府県に設置義務があります。
義務教育学校はいずれも、すべての人間にとって共通に必要な普遍的基礎的な教育を意味する「普通教育」を行うものです。そして、小学校においては子どもの「心身の発達に応じて初等普通教育」を、中学校においては「小学校における教育の基礎の上に中等普通教育」を、盲、聾、養護学校ではこれに「準ずる教育」を施すことを目的としています。なお普通教育とは職業、専門教育に対置されるものであって、高等教育に対する低位の教育を意味するわけではありません。
学校は「監督庁の定める設置基準に従い、これを設置しなければならない」が、義務教育学校については、特別の定めは未制定であり、専ら学校教育法施行規則の定めるところによることとされています。

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就学義務の内容は、子どもの「教育を受ける権利」実現のために保護者が子どもに「九年の普通教育を受けさせる義務」を内容とします。具体的には、満六歳から満一二までの子ども(学齢児童)を小学校または盲、聾、養護学校の小学部に、満一三歳から満一五歳までの子ども(学齢生徒)を中学校または盲、聾、養護学校の中学部に就学させる義務をいいます。
子どもを就学させる義務を負う者は親をはじめとする保護者であって、子どもはこの義務の主体たりえない。そして義務は戦前とは異なり、国家に対するものではなく子どもに対する義務と解せられるこれに対し、国家は義務の履行を罰則をもって監督する責務を有します。
憲法は義務教育の無償を明定しています。これは、戦前的な義務教育学校への就学強制に対応するものと解さるべきではなく、「教育を受ける権利」の公的、社会的保障方途として公費教育たるべきことにもとづくものです。
これまで義務教育の無償は教育提供に対する対価無償、つまり授業料無償をいうとして、教育基本法四条二項の義務教育学校授業料不徴収を限定解釈するのが通説でした。しかし憲法に定める無償の範囲を授業料に限定しなければならない理由はなく、むしろ義務教育に要する一切の経費を含むものであり、教育基本法の条項はこれを確認的に明示したものと解されます。なお現行の教科書無償も教育内容の国家統制などと批判される点を除いて、同様に解すべきです。
経済的理由による就学困難な子どもの保護者に対する就学援助および生活保護の一種たる教育扶助も義務教育無償の実質的な併設として拡充整備は重要です。

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