高校教育

第二次大戦直後に来日した第一次アメリカ教育使節団の報告書では、改革すべき学制の一環として、義務制の下級中等学校につづく、無月謝で希望者はだれでも入学できる三年制の上級中等学校の開設を勧告しました。この種の構想は戦前から提起されていたものでもあったので、戦後改革を審議した教育刷新委員会において、高等学校という新しい中等学校構想として結実し、法的には、学校教育法によって新しい学校体系のなかに位置づけられました。新学制発足当初は、財政困難のなかで新制中学校の創設が優先されたため、新制高校の多くは旧制中等学校の転換によって発足しましたが、年々新増設されて今日にいたっています。
修業年限三年の全日制課程が主体をなし、勤労青少年に教育の機会を開放する趣旨から定時制、通信制の課程もおかれています。
高等学校を設置しようとする者は、高等学校設置基準に従って、設備、編成等を整えなくてはなりません。なお、「公立高等学校の設置、適正配員及び教職員定数の標準等に関する法律」理科教育振興法、産業教育振興法およびこれらにもとづく政令などは、直接には財政補助にかかわるものですが、実質においては重要な設置基準的機能を果たしています。
高校を設置することができる者は、国、地方公共団体および私立学校法三条に規定する学校法人にかぎられます。高校を設置しようとする市町村は都道府県教委の、学校法人は都道府県知事の認可を受けなければなりません。いずれも、文部大臣の認可を要しないという点が戦前と異なります。

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高校教育は、中学校教育とともに中等教育の一環をなし、「義務制でこそないが、中学校卒業者で希望する者はすべて入学させることを建前」とするという大衆的性格を与えられています。全日制課程のほかに定時制、通信制の課程を設けたこととあいまって、教育の機会均等の原則のもとに大衆的性格をもつことは、高校教育の最も著しい特色のひとつです。高校教育は、その主なる専攻によって、普通教育を主とする学科、専門教育を主とする各種の学科に分けられますが、いずれの学科においても青年期にふさわしい教育を共通の必修部分として含むことを前提として、単一の教育機関となっています。これは、青年学校、中等学校、実業学校等、戦前にみられた青年期教育の差別的分岐を廃棄しているという点で、高校教育の民主的性格として特徴づけることができます。
高等学校は、中学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、高等普通教育および専門教育を施すことを目的とします。まず、高校の教育が大学進学の準備教育ではなく、直接に中学校の教育の基礎の上に行われる、という学校体系上の位置が注目されます。それだけに、このような高校と大学との接続関係を律する大学入学試験制度のあり方は、大学入試が高校教育を左右することが許されないなどの複雑な問題を含んでいます。
高校教育が、国民共通の教養のうちの程度の高いものとされる高等普通教育と、若干の職業的専門分化を含む専門教育とを併せ施すものであるとしたことは、青年期教育の差別的分岐の廃棄を目指した注目すべき規定ですが、それだけに、いわゆる普通科の多くが大学進学準備教育機関化し、他方、職業学科において過度の専門分化の傾向のみられることが問題となります。
高校教育は、その目的を達成するために、「一 中学校における教育の成果をさらに発展させて、国家及び社会の有為な形成者として必要な資質を養うこと。二 社会において果さなければならない使命の自覚に基き、個性に応じて将来の進路を決定させ、一般的な教養を高め、専門的な技能に習熟さること。三 社会について、広く深い理解と健全な批判力を養い、個性の確立に努めること」を目標としており、これらは、高校の教育活動の全休を通して追究するものとされています。
高校の教育課程の基準は、高等学校設置基準、高等学校学習指導要領にしめされており、その法的性格は小中学校のそれと同様です。高校の教育課程のうち教科科目については、学科制がとられているためにすべての生徒の学ぶいわゆる絶対必修と選択の区分のあること、学習量の単位として単位制が採用されていること、などの点が小中学校と異なります。
高校には、「種々の教科群か一定の教育目的に従い、一つのまとまった教育内容をもつよう総合した」学科がおかれます。設置すべき学科の種類は学校設置者が定めます。

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