私立学校

私立学校とは、学校教育法一条に定める学校のうち、学校法人によって設置される学校です。それは国あるいは地方公共団体によって設置される国立学校、公立学校に対する呼称です。私立学校は、設置者が定めるところの建学精神と教育方針をもっているところから、とくにその独自性と自主性が特色であり、またこれが専重されなければなりません。それとともに、教育基本法六条が、「法律に定める学校は、公の性質をもつ」と定めているように、公共性が確保されなければなりません。したがって、私立学校の教育にも、憲法、教育基本法、学校教育法が適用され、私立学校法に定める学校法人のみが設置できることとされています。ただし、例外として、盲学教、聾学校、養護学校、幼稚園は、学校法人以外によって設置することができることとなっています。

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日本の私立学校の歴史は古く、教育史の上では、平安期、僧空海が京の都に設立した、綜芸種智院が、当時の大学、国学に対して私学とされました。中世においても寺院の教育など私学にあたるものもあるが、近世における寺子屋、私塾は私学に相当するといえます。
明治維新と日本の近代教育のはじまりから、私立学校は数多く設立されました。一つには主として外国語と近代的学問を教える私立学校で福沢諭吉の設立した慶応義塾はその代表です。二つは宗教系の私学とくにキリスト教系の私学でその私立女学校による女子教育発達に果たした役割は大きい。その三は政治、法律関係の私立専門学校で、今日の法政、専修、明治、早稲田、中央、関西、日本大学などの前身がそれにあたります。しかし政府の官学偏重政策は強く、私立学校令は、私学の設立、廃止、校長、教員の資格、設備、授業などに対する官僚統制を強化し、同年の「一般ノ教育ヲシテ宗教外二特立セシムルノ件」で、私学の宗教教育の自由まで圧迫しました。しかし、その後も私立学校は設立され、大正期、児童の個性尊重の成城学園などもつくられ、一九一八年以来、私立大学も認められ、一九四三年幼稚園で五七・回%、中等学校で三〇・二%、専門学校で六九・二%、高等学校で一〇・五%、大学で五七・ハ%が私立学校に在学していました。
戦後教育改革のなかで、私立学校改革は大きな課題となりました。まず、戦前の教育が天皇大権という国家権力の作用という考え方から、憲法、教育基本法によって、国民個々人の自由な活動であることへ転換し、私立学校の設置、教育の自由が原理的に認められました。さきにみたような戦前における私立学校に対する統制は緩和され、一九四九年の私立学校法の判定によって、その自主性とともに公共性が強調され、監督庁の監督事項が制限され、宗教教育の自由が認められることとなりました。
私立学校は国公立学校と区別されて私人の創設にかかわるものであり、そこには独特の建学の精神や学風がみられ、これらが憲法、教育基本法の精神に即しながらも、外部から干渉されることかく、自由に発展させられることが望ましく、私学の自主性が強調されるのもそのためです。日本の私学が、学問と教育をひろく大衆に開放してきたこと、その独立を守ろうとしてきたこと、独特の学風や独自のすぐれた教育方法の採用、これを通しての学問や教育の進歩に果たしてきたことはその積極的な伝統といえます。
それとともに、私立学校といえども教育基本法六条にいう「公の性質」を有するものであって、設置者によるほしいままの経営が認められるというものではありません。さきにもみたように、私立学校の設置、組織、運営についての「私学の自由」は、国民の教育の自由(国民の教育権)の重要な一環をなすものですが、学校設置者は、児童、生徒、学生などの「教育を受ける権利」および教師の学問、教育の自由によって制約されます。こうして、私学の公共性は、社会公共のための教育作用を分担するということですが、その根本は、私学の自主的な教育、研究が社会的、国民的要請にこたえるべきであって、そのために必要な教育、研究条件の整備拡充がはかられ、国民の教育を受ける権利にこたえるということにあります。
学校基本調査が示すところによれば、私立学校が学校教育全体に占める割合がきわめて大きい。特に、幼稚園と高等教育で著しいが、私学にはさきのように独特の建学精神をもつ場合もあるが、国公立学校の不足からその補充的役割を果たしている場合も少なくありません。それにもかかわらず、在学者の授業料負担と教育、研究条件の面で国公立学校と私立学校との不均衡はひどく、憲法、教育基本法に示された国民の教育権、教育の機会均等の原則から、私学に対する統制の伴わない援助、助成が要請され、運動化され、しだいに国と都道府県のそれが増額されてきていますが、現実の要請に対してまだきわめて不十分です。私立学校法にいう健全な発達を図るための私学助成の充実が求められています。

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