教員と職員会議

組織体としての学校は、様々な職種の教職員からなっており、学校の教育および運営は、教職員組織によって集団的に行われています。そして学校の教育を組織し、教育機能をよりよく発揮させるための機関として、職員会議があり、しかもこれは、現実の学校運営において重要な役割を果たしています。かくして、職員会議への出席は、父母、国民の教育要求を受けとめ、直接、間接に教育に関係している教職員の職務となるのです。とりわけ、教員の教育の自由の観点からいえば、それは教員のきわめて重要な職務に属するのです。
職員会議が現実に果たしている役割については、第一に、その法的性格は別として、事実上学校の意思決定をしている場合、あるいは校長の諮問に応じ、校長の意思決定に影響を与えている場合、第二に、校長と教職員との間、教職員相互間で、報告、情報交換、仕事の連絡、調整等をする場となっている場合、第三に、教育課程や教育方法等を全教員が集まって検討するというように、研修の場となっている場合があります。

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一般に行政解釈では、職員会議は校長の職務遂行上の補助機関であるとされています。そして、職員会議は大学の教授会とちがって法令上の根拠がないので、教育委員会規則である学校管理規則に特別の規定がないかぎり、職員会議を設けなくても違法ではないといわれます。こうした法的性質の故に、付議事項についての職員会議の結論は校長を拘束せず、それを採用するかどうかの最終判断は校長に任されるのです。かくして、このような職員会議に関する解釈は、補助機関説、諮問設問説といわれています。若干の県では、学校管理規則のなかに職員会議の規定を設けていますが、そのほとんどが諮問機関となっています。
この行政解釈では、職員会議が学校運営上必要な機関になるかどうかは、校長の判断にかかってくることになります。もし校長が、とりわけ教育活動に関する職員会議の審議結果をいつも尊重しないならば、そのことは、教員の教育の自由を侵害し、教員の教育に対する熱意を失わしめ、職員会議の形骸化をもたらすでしょう。
行政解釈にたいして、真向から対立するのは、職員会議を学校の最高議決機関と把握する説で、これは教員組合を中心に主張され、教員の教育権を自由権としてとらえることを前提としています。
戦後当初は、文部省も、校長の司会しない自主的、民主的な研究協議会に関する通達を出すなど、民主的な学校経営のあり方を説いていました。こうしたなかで、職員会議を議決機関とみる教育関係者も多くなりました。そして、自主的な学校運営規程を作る学校もありました。例えば、昭和二三年の愛知県立旭丘高校の「教職員協議会会則」によると、審議事項は学校経営に関する企画と実施、教職員の人事等までも含み、会教職員で組織する全員会は、校長の承認を条件としながらも、最高議決機関であるとしています。しかも、校長の承認を得られない場合は、再審議の結果出席会員の三分の二以上の多数で可決されれば、監督庁の命令通牒事項でないかぎり、これを実施することになっていました。
しかし今日なお、職員会議の議決機関化は、運動の課題なのです。
審議事項によって法的性質を把握する説では、審議事項によって、諮問機関または議決機関としての機能をもつとします。この説のなかにはさらに、法規の規定を基準とし、とくに「学校」が権限主体となっている場合に は、職員会議の議決によって学校の意思が決定されるとする説と、「教育権の独立」説にもとづき、教育課程管理に関しては職員会議が当然に議決機関であるとする説が含まれている行政解釈のように、法令上に根拠がないことを理由に、職員会議を設けなくても違法ではなく、校長の補助機関にすぎないとするのは、教育条理法に反するであろう。やはり、職員会議の法的性質は、審議事項の別によって、教育条理法、学校の慣習法に即して判断されるべきなのです。この説によれば、諮問機関である場合には、校長は職員会議の結論の拘束を受けませんが、学校の慣習法上または教育条理法上諮問すべき事項を職員会議にかけないで校長が決定した場合、その決定は違法性を免れないという。教育課程組政権は、「教有権の独立」説における教育権の一環として、各学校の教員組織にあるので、教育課程管理に関しては、職員会議が議決機関となり、校長はその議決に拘束されるわけです。したがって、法令、規則が教育課程管理に関する権限を校長の名で規定していても、この法理からして、そ の実質的決定は職員会議の議決によって行われ、校長は学校の代表権、対外表示権のみをもつにすぎないのです。また、児童管理、組織管理等については、各学校の慣行において職員会議の議決機関性または諮問機関性が形成されていくとされ、物的管理、教職員服務監督等については、条件整備にあたる校長が必要に応じて職員会議に諮問しつつ、自らの権限として処理するとされます。
職員会議の役割の重要性からいって、将来なんらかの法制化が望まれますが、また、教育の自主性、および教職の専門職性の尊重を前提とし、教職員がそれぞれの立場から学校逐常に参加し、学校経営を民主化していく観点から、職員会議に関する慣習法を確立していくことも必要です。

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