校長、教頭および主任の職務

校長については、学校教育法二八条三項が「校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する」と定めています。行政解釈は校務を学校の果たすべき仕事のすべてと解しています。したがって、校務には学校行政事務はもとより、教員の教育活動も合まれ、校長はそれらすべてを掌理し、処理することになります。そして、行政解釈においては、監督には職務上の監督と身分上の服務監督が合まれ、校長は教職員と特別権力関係にある職務上の上司であるので、職務命令によって校務分掌を行わせることも、教員の教育活動に対して指揮命令をすることもできるのです。
これに対して、教育権の独立説は、教育課程管理については職員会議の議決機関性および教員の職務上の独立を認め、校長の指揮監督や職務命令はおよばないとします。この面では、校長は、職員会議の議決の執行および教員に対する指導助言を中心とし、法令による服務監督の場合でも、重大かつ明白な違法を服務違反とするにとどまるのです。要するに校長の監督とは、一般行政組織におけるような指揮監督とは具なり、教育課程管理面では指導助言と一定限度の服務監督等をいうのです。なお、非権力的な指導助言であっても、校長、教頭等の現実の行政上の上下関係を前提とし、教員側の要請または承認もなしに一方的に、事実上拘束的に行われるならば、それは不当な支配になるとする見解があることに注意しておきます。
校長の職務を大別すると、内在的管理事項と、教育委員会や教育長から委任され、または代理させられた事項および教育委員会の補助執行としてなされるものとがあります。前者については、民主的な学校運営の立場からいえば、職員会議で審議すべき事項であると考えられます。

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教頭については、昭和三二年学校教育法施行規則一部改正によって職務内容が規定され昭和三五年からは管理職手当が支給されるようになり、昭和四一年にはILO八七号条約批准に伴い人事院規則により、管理職員等の範囲に指定され、昭和四九年には学校教育法一部改正によって、教頭職としての法律化か行われたのです。
教頭の職務は、「校長を助け、校務を整理し、及び必要に応じ児童の教育をつかさどる」「校長に事故があるときはその職務を代理し、校長が欠けたときはその職務を行なう」と規定されています。行政解釈によれば、教頭は校長の職務権限を直接に補佐し、校長の校務掌理を調整し、その際必要な場合には教職員を指揮監督できる立場にあるといいます。教頭が教職員に対し職務上の上司であり、指揮監督できるというのは、法律化前からの行政解釈でした。教頭の監督的権限の根拠を整理という文言に求めていた説は、法律化により名実ともに上司として教職員に対し監督できることになったとしています。
これらに対して、教育権の独立説によれば、教育課程管理面では校長の場合と同様、教頭は教員に対し指揮監督はできず、指導助言ができるのにとどまるのです。学校経営の規模が大きくなるにつれ、その管理事務の増大化、専門化が進み、教員が本務に専念するには、教育条件整備事務としての管理事務を半専従的または専従的に担当する職員が必要となり、教頭職はそのために設けられたと考えるべきであり、教職員の職務上の上司と解すべきではないのです。なお、従来の教諭をもってあてる教頭の場合には、卒業証書の授与などの公法上の効果を発生させるような校長の職務権限については、教頭は代理できないとされていましたが、学校教育法二八条五項の規定によって、教頭は代理できることになったといわれます。
昭和五〇年一二月二六日学校教育法施行規則一部改正により、主任が省令化されました。各種の主任は文部事務次官通達も指摘するように校務分掌にほかならなく、その具体的なあり方は学校の内在的管理事項として各学校が自主的に定めうることです。したがって、主任制の省令化は、必要ではなく、むしろ問題があるといえます。
主任の職務については、例えば、それぞれ「校長の監督を受け」、教務主任は「教育計画の立案その他の教務に関する事項について連絡調整及び指導、助言に当たる」、学年主任は「当該学年の教育活動に関する事項について(以下同前)」、生徒指導主事は「生徒指導に関する事項をつかさどり、当該事項について(以下同前)」などとなっています。
今日、学校には、子どもの学力と人格の発達を真に保障するような学校ぐるみの教育活動が要請されています。この学校づくりにとって、上からの管理者、支配者としてではなく、民主的な教育の指導者としての校長、教頭、主任の積極的役割がきわめて重要です。

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