PTA

PTAはもともと、一八九七年アメリカの一母親であるバーニー夫人の提唱になる子どもを守る運動から発足したものです。この母親の有志の団体(全国母親協議会)の運動は、しだいに父親や教師の賛同をえて全米に拡がり、一九二四年には全国父母教師協議会と改称され、現在に至っています。
日本に、このPTA活動の意義を紹介し教育の民主化を強調したのは、一九四六年三月に来日したアメリカ教育使節団の報告書でした。運合軍総司令部民間情報教育局(CIE)はPTAに関する資料を文部省に提示するなどその結成を積極的に働きかけました。
具体的にPTA発足の契機となったのは、一九四七年三月五日付で文部省から全国都道府県知事に送付された「父母と先生の会?教育民主化の手引」でした。文部省はClEの指導をえながら、同年五月から七月にかけて全国九二か所で大会を開き、PTA結成の促進をはかりました。こうした強力な指導に裏付けられ、以後一年余りの間に、全国の八二%の学校にPTAが結成されたが、そのテンポは、半世紀の歴史をもつ当時のアメリカのPTAが四割の結成率であることを考えあわせると常識では考えられないスピードでした。
官制的に急速に結成された日本のPTAの実体は、戦前からの学校後援会や保護者会が名称を変吏したのみの自動的加入の網羅組識であり、子どもを守る有志の自主的な民間の教育団体というPTA設立の趣旨とはほど遠いものでした。今日のPTA問題の禍根は、このなりたちから胚胎していたのです。

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「父母と先生の会」の手引書のなかで文部省はこう述べています。「子供達が正しく健やかに育って行くには、家庭と学校とが、その教育の責任をわけあい力を合わせて子供達の幸福のために努力してゆくことが大切です。国や社会が栄えて行くということはこの子供達が私達よりよくなって行くことです。子供の問題に関心をもつことは国や社会をよくしてゆくことに結びついて来るのでそれは同時に社会改良運動への第一歩ともなり、又私達の生活水準をあげてゆこうとする運動ともなるのです。子供達のためにつくすのは先ず子供の生活や気持や性質を充分に理解することが必要です。そして子供達に要求するのみでなく子供達の幸福のためにどうすれば一番よいかを真剣に考えてその実現に努力して行く。必要とあれば子供達の保護のための法律や規則を国や公共団体につくって責うように請願する。とか云うように強力に活動する責任があるのです。」
PTAの趣旨と目的はここにすべていいつくされているといっても過言ではありません。しかしこのPTAの理念は、歴代の保守党政府や保守的な地教委やPTA幹部によって実現を妨げられ、その結果として、教育費を中心とした学校後援会や地域支配のための政治的組織に変質させられ、教育団体としての機能を形骸化しているのが大勢としての今日のPTAの実情です。
PTAは、その発足からいって法制的根拠をもつものではなく、どこかでつくられた定型に従わなければならないというものでもありません。それは、子どもの幸福の実現という一点で賛同しあった父母と教師の組織という設立の趣旨に規制されるのみで、その形態や活動方法は実情に応じ自由に発想されてよいものです。しかし、そこにはいくつかの原則があります。これは、子どもの実情を理解し、「子どもの幸福とは何か」を、父母、教師の教育要求をも込めて、討議し、学習しあう組織であること、その成果を実現する運動組織であること、地域に根ざして活動する地域自治組織であることです。この原則の確立のためには、父母、教師の教育権意識の相即的確立が必須とされます。

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