校庭で教師の車にはねられる

私の子供は、放課後、小学校の校庭で友達と遊んでいたところ、同僚の先生の自動車で運転練習をしていた担任の先生の自動車にはねられ、死亡してしまいました。だれに補償を請求したらよいのでしようか。
自動車事故の増加にともない被害者保護のため、自動車の保有者の責任を強化し、かつ、強制保険制度を導入した自動車損害賠償保障法が制定されました。
この自賠法三条によれば、自己のため自動車を運行の用に供する者は、その運行によって他人の生命自体を害したときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負うものとされています。つまり、運行供用者は人身事故による損害について賠償しなければならないわけです。
そこで、誰が運行供用者とされるかが重要な問題点となりますが、自動車の運行に対して支配をおよぼし、運行から利益を得ている者は、すべて運行供用者にあたるといわれています。支配といっても、必ずしも直接の支配である必要はありませんし、利益といっても金銭に換算できるような性質のものである必要もありません。
学校側、公立学校であれば、その設置者である地方公共団体に対してはどうでしょうか。自動車が教師個人のもので、しかも放課後私的な目的で運行中の事故である以上、学校側に自賠法三条による責任を認めることは困難でしょう。

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校庭での出来事である点を重視すれば、学校側にも賠償責任が認められてよさそうです。つまり、小学校の校庭は放課後といえども生徒が残って遊戯に興じたり、クラブ活動に従事しているような時間は安全な状態に保たれていなければならないはずです。それにもかかわらず、自動車運転練習の場に供され、しかもその当事者が部内者の先生というにいたっては、管理の手落ちを責められてるやむを得ません。
したがって、学校側に対しても、私立学校であれば民法七一七条、公立学校であれば国家賠償法二条にもとづき賠償請求ができます。
そこで、自動車を他人に貸した場合はどうでしょうか。貸借の事情によっていちがいにはいえませんが、比較的短期間の貸借の場合には、貸主の自動車の運行に対する支配はいまだ失われていないとみて、貸主にも運行供用者としての責任を認める方向にあるといってよいでしょう。ところで、本問のケースは、自動車の運転練習のために貸したというのですから、おそらく借主である担任の教師は、練習が終れば自動車を貸主の同僚の教師に返すつもりであったと思われます。つまり、比較的短期間の貸借ですから、貸した方も借りた方も運行供用者としての責任を負う場合にあたります。
このように一つの事故について運行供用者としての責任を負う者が複数ある場合のことを共同運行供用者と呼びますが、共同運行供用者は被害者に対して連帯責任をとらされることになっているのです。したがって、担任の教師と同僚の教師のどちらに対しても賠償金の全部を請求することができます。
なお、担任の教師は自動車の運転者でもあるわけです。したがって、担任の教師の運転上の過失がはっきりしていれば、担任の教師に対しては民法七〇九条の不法行為責任も追及できます。しかし、民法七〇九条を根拠にする場合は、運転者に過失のあったことを被害者の側で証明しなければなりません。これに対して自賠法三条の運行供用者責任を追及する場合には、逆に運転者に過失のなかったこと等を加害者側で証明しなければ、責任が逃れられないしくみになっているので、被害者にとっては有利だといえましょう。

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