競技連盟主催の公式協議中に事故

全日本学生選手権大会に参加した息子が、競技中のケガがもとで死亡しました。この場合、だれからも損害を償ってもらえないでしょうか。
全日本学生選手権大会は、通常、各種目別ないしは数種目を統合した競技団体である学生連盟が主催し、主に高校、大学生がその所属する学校の体育部を代表し競技に参加し開催されます。したがって、死傷事故に対する事後的救済は、主としてこれらの選手、部ないし学校、連盟との関係で解決されます。
運動選手が競技中に生じた事故により負傷しこれがもとで死亡したのですから、その事故が、一般に、他人の故意または過失による違法な人身に対する侵害によるものであれば、不法行為が成立し、父母は、息子の生命の侵害による財産上のまたは精神的(慰謝料)損害の賠償請求権の相続人として、または近親者の固有の損害たる慰謝料請求権者として加害者に損害を償ってもらえます。

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具体的に、競技中の事故は競技者間の事故と、競技会場の施設の不備などの物的瑕疵による選手の事故とに分けて、次のような問題が考えられます。
スポーツは本来、安全な身体の鍛錬ですが、性質上、種目により程度の差こそあれ一定の身体に対する危険(侵害)に身をさらしているものですから、競技者はつねに他の競技者の安全に気を配らねばならない義務を負っていますが、他面、参加した競技種目から通常生ずると予測される危険を競技者自身であらかじめ引き受ける覚悟ができているといえるでしょう。したがって、例えば、競技に夢中のあまり相手方選手と正面衝突し、運悪くけがしたような試合中のごく普通に生ずる偶発的事故の場合には、一般に相手方に何らかの軽微な過失が認められる場合もありえますが、被害選手において通常予測しうる受忍された限度の危険といえますので、行動の違法性が失われ、被害者は加害者に対し責任を問えなくなると解されています。これに対し、相手方選手に悪質なファウルや、著しい競技ルールの違反があるなど故意、重大な過失が認められるような場合には、もはや被害者の通常予測しうる受忍限度を越えているといえますので、違法な行動として、被害者は相手方選手に損害の賠償を請求できます。
前例で、相手方選手の違法な行動が、実は選手らの監督者が試合に勝つために作戦上強制したとか、そそのかしたことによるのであれば、監督者も連帯して責任を負わねばならないでしょう。この場合、その監督者を使用する学校もその者の責任を負うと解せられます。ただし、学校がその選任、監督につき必要な注意をしていれば別ですがその証明は相当困難なことです。また、審判員の不適切な処置がある場合も同様です。
競技中のケガが競技に使用したトラックとかゲレンデの整備不良、鉄棒とか飛込台の腐朽など土地の工作物の設置、保存に手落ちがあるために生じたのであれば、まず、工作物の占有者である連盟に対し、つぎに占有者が損害発生の防止に必要な注意をしたことを証明したときは、その所有者に賠償責任を追及できます。なお、当該施設が国営、県営などであれば公の営造物として国または公共団体が責任を負います。
大会中に生じた選手の死亡事故に対し、主催連盟が自己の基金から選手の遺族に一定の死亡見舞金を好意的に給付することがありますが、そのような連盟の数、見舞金額はまだまだ十分ではありません。そこで、近時では、連盟が参加選手を被保険者としてスポーツ団体傷害保険を掛けるケースがみられます。この場合、故人の相続人として、保険会社に対し死亡保険金を請求できます。

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