公園内の池に転落

三歳になる子供が、近所の子供達といっしょに近くにある公園に遊びに行き、公園内にある池で魚をつかまえようとして足をすべらし、池に落ちました。その池はそれほど深くはありませんでしたが、発見が遅れたためそのまま水死しました。この事故は、やむをえないことでだれにも損害賠償を請求できないのでしょうか。
公園は、道路や広場などと同様に、直接に一般公衆の共同使用に供せられているものであり、行政法上、公共用物と呼ばれ、公物の一種とされています。公物の管理は、私物の管理と違って、単にその物を財産的価値の客体として管理するのではなく、公園等の公の目的を達成させるために管理するという点に特徴があります。
公園という公物の管理権は、管理規則の定立によって具体化されます。国立公園であれば法律、命令により(自然公園法など)、公立公園であれば都市公園法による一般的規制を前提にしたうえで地方公共団体の条例、規則の形式をとるのが原則です。公園の管理はその管理権を有する者がみずから行なうのが原則ですから、国立公園については国、委任されると都道府県、公立公園については地方公共団体です。管理に要する費用の負担についても原則として同様に者えてよいでしょう。
公園の管理は、その設置目的を達成するために行なう作用ですから、管理者はその公園を一般公衆の共同使用に適する状態に維持する責任を負っていますが、利用者に対する監督責任までは負っていません。したがって、子供が公園に遊びに行った場合に、公園の管理者がその遊びを監督すべき義務があったのだとはいえません。この点で授業時間中の小中学生に対する教員の責任とは明らかに異なっています。

スポンサーリンク

公園の管理者は、公園を構造上、一般公衆の共同利用に適合するように安全にしておくべき義務を負っています。一方、国家賠償法二条は、公の営造物の設置、管理の瑕疵につき国または地方公共団体に無過失責任を負わせており、公園もこれに含まれます。したがって公園内の他の設置、管理に瑕疵があり、そのために子供が足を滑らせて池に落ちたというのであれば、管理者たる国または地方公共団体は同条の責任を負わなければなりません。もっとも公園内の池などの場合には、他の周囲の景観との関係もありますから、とくに深く危険である場合を除き、それ程厳重な柵や金網などを張りめぐらすことまでは必要ではないでしょう。いい換えれば、柵の程度は三歳前後の幼児の場合には、保護義務者が付添っていることを前提として考えてよいのではないかと思われます。したがって、柵などの適切な防護策が何らとられていなかったという場合以外には、公園管理者は責任を負わないと考えるべきでしょう。
さらに、発見が遅れたため、そのまま水死したとのことですが、本問のような他に常時監視人を立てるべき義務を前記のような内容の公園管理責任から導き出すことは困難ですから、発見が遅れたことのみをもって公園管理者の責任とすることはできません。
いっしょに遊びに行った近所の子供達がこの事故をいち早く発見し通報できなかったのかということも問題になりうるでしょう。子供の中に不法行為責任を負いうる能力(責任能力)を有する者がいれば、その子供の不法行為責任が問題となりますが、子供達の不作為については違法性が阻却され、不法行為は成立しないことが多いと思われます。
三歳の子供の事故ですから、国や地方自治体もしくは同伴者の責任が肯定される場合でも、その子供の監督義務者としての親の責任も発生します。その他の周囲以外に遊ぶ場所がないというような事情は通常考えられませんから、原則として同伴するなどの義務を果たさなければなりません。親の過失が認められれば、過失相殺によって損害賠倍額が減少させられることもあります。

幼稚園の送迎バスの事故/ 登下園中のつきそい保母の責任/ 園児の安全を守る義務/ 保育時間中の保母の注意義務/ 保育時間終了後の事故/ 無認可保育園での事故/ 会社内にある無償の臨時保育所でのけが/ 通学中の事故防止と学校の責任/ 職業技術授業中の事故/ 教師個人の責任/ 体育教員の注意義務と責任/ 水泳授業中の事故/ 必須クラブ活動中の事故/ 示談解決の約束の効力/ 掃除中の事故での賠償請求の相手/ 教員の監督責任/ 臨海学校における引率教職員の注意義務/ 臨海学校中の旅館の事故/ 課外活動での事故における引率教員の責任/ 学校での休憩時間中の事故/ 禁止されている朝礼台に登ってのケガ/ 校舎工事中の事故/ 遊戯中のケガ/ 放課後に野球していてケガ/ 放課後の校内で遊んでいての事故/ 校庭で教師の車にはねられる/ 校庭解放中の事故/ 体罰を受けたが/ 体育授業における担当教員の注意義務/ 危険な種目と担当教員の注意義務/ 乱暴なプレーでのケガ/ 登山中の事故/ 運動部でのシゴキ/ 大学対抗ラリー中の事故/ 放課後に学園祭の準備をしていて失火/ 課外活動中の事故/ 机運び中の机の落下/ 競技連盟主催の公式協議中に事故/ 国体に参加し公開練習中に事故/ 先生の懲戒行為と違法性の関係/ 各種学校行事と経営者の責任/ 主催者の事前の注意義務/ スキーヤーとぶつかり重傷/ 塾生の引率教員の注意義務/ 幼児の体育指導とその注意義務/ 遊園地の遊具による負傷/ 近所の子と市営プールに行き溺れる/ 市民会館の階段で子供が転落/ ドブ川に転落/ 公園内の池に転落/ デパート内のエスカレーターで足を踏み外す/ デパートの一時保育所で窒息/ デパート内で客のペットが幼児に咬みつく/ 食堂でお湯をこぼされ火傷/ スケート場で衝突し骨折/ 野球観戦中にボールが飛んできてケガ/ 海水浴場で救助船が遅れて水死/ 登山標識が間違っていて遭難/ スキー事故の原因と責任/ ゲレンデでパトロール員と衝突/ 公団住宅の庇がはがれてケガ/ 友人宅の自家用プールで水死/ 塀を乗り越え無断で空地に入り事故/ 工事のために掘削された穴に落ちたが/ 私有地のため池に落ちたが/ 工場敷地内の危険物に触れてケガ/ 他人の土地でも危険防止措置の要求ができるか/ 野球をしていて盆栽や窓ガラスを壊した/ 子守りを頼んでいた間に交通事故/ 隣家の飼犬に顔をひっかかれた/ 動物園のクマに咬まれた/ 踏切の下をくぐって轢かれる/ 路上で遊んでいてはねられた/ 飛び出し事故にも賠償請求ができるか/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク