ゲレンデでパトロール員と衝突

私たちは家族でスキー旅行をした際、ゲレンデで一六歳になる娘が、地元観光会社のパトロール員と衝突し重傷を負いました。スキーに伴う危険として受忍しなければならないでしょうか。
近頃、スキー技術のまちまちなスキーヤーが各自思い思いに滑走し、スキー場における衝突の危険が増大してきました。また、スキーヤーのマナーの低下は、これに輪をかけているのが現状です。そして、このような衝突事故の防止、それによって生ずる傷害の補償については法律上は適切な措置がとられておらず、野放しの状態にあるのが現状です。だからといって、衝突事故が生じた場合、スキーヤーは、各自、その事故による傷害を受忍しなければならないものではありません。受忍の範囲を越えた場合は、不法行為として損害賠償の請求ができます。

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一般にスポーツは、私達が健康で文化的な生活を送るにあたって有意義なものですが、その反面、ファイティングスピリットの中でプレーをし、興奮と限界への挑戦がつきまとうため危険性を伴います。そこで、このようなスポーツヘの参加者は、そのスポーツ中に伴って通常予測ができ、かつ社会的に容認される程度の危険については、これを受忍することに同意しているとみるべきだといわれています。このことは、スキーのように個人的なスポーツである場合にも、ゲレンデのスキーヤー全員との間に、お互いにかかる同意があるとみてよいでしょう。たとえ本問のように、レジャーとしてスポーツをやっているときでも、この点は変わりないといえます。このため、スキーではスピードがあり、地形、斜度というゲレンデの状況変化のため進行方向、転倒などの予測がつきがたく、各自がいかに注意しても衝突事故を回避することが困難な場合が多いことから、衝突による軽いけが程度は受忍しなければなりません。そこで、このような場合には、多くのスキー場に設置されている診療所で、けがの手当をしてもらえるのがせいぜいです。
ところがパトロール員がルールとかマナーに著しく違反し社会的に許容されない(重過失)滑走をしていたとか、故意にぶつかってきたとかの場合には受忍の程度は越えており、軽傷、重傷を問わず、パトロール員の行為には違法性が認められ、損害賠償を請求できます。パトロール員の中には、スキー客に見せるためにことさらスピードを出したり、大勢のスキーヤーの間を回転しながらくぐり抜けていく者もみかけられますが、このことによっての衝突の場合が、違法性が認められる行為にあたるとみてよいでしょう。
さらに、重傷になりますと、衝突を回避するための注意義務に違反していたときは、民法七〇九条によっておおむね損害賠償の請求ができるとみてよいと思います。一般のスキーヤーには、ゲレンデでの滑走という集団の中での行動に際しては、他のスキーヤーとの衝突を避けるために方向を転換したり停止したりする義務があるといえますので、自己の技能を越えての滑走によって衝突し重傷を負わせた場合は、違法性を認めてよいといえるからです。そしてさらには、スキーの場合、特別の状況にない限り、最後の手段としてはみずから転倒して衝突を避けることもできますので、この方法をとらないときも、同様に者えてよいのではないかと思います。一般のスキーヤーにさえこのような責任を負わすことが考えられるわけですから、そのスキー場のパトロールに従事する者には、滑走中の衝突回避義務は、なおいっそう加重されているといえます。
このため直接の加害者であるパトロール員に対して請求できることはいうまでもありません。しかし、パトロール員に賠償資力の欠けることが多いため、パトロール員の使用者である観光会社にも同時に請求するのがよいでしょう。パトロール員はもっぱら、コースの整備、事故が発生したときの措置などのために勤務しているわけですが、そのスキー場で、パトロール員として行勤している限りでは、一般に観光会社に使用者責任があるからです。

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