他人の土地でも危険防止措置の要求ができるか

自宅の近くにある宅地造成現場が、数日来の長雨で地盤がゆるみ土砂が崩れる危険がますます増大してきました。このところは、子供達の絶好の遊び場ともなっていますので、これまでもたびたび危険だからなんとかしてほしいと申し出ていたところです。子供に被害の生じない前に、適切な防止措置を要求したいと思いますが、できるでしょうか。
自宅近くの宅地造成地が崩壊するおそれがあり、しかもそこが、子供達の遊び場になっているような場合には、たとえその処分や使用の権限を持っていなくても、造成地の所有者、占有者、管理人に対して、危険が現実化しないようになんらかの防止措置、例えば、柵をして子供達が入れないようにするとか、土留工事を完全にするとかを施すよう要求できることが望ましいわけです。

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そこで要求の方法ですが、一番簡単なのは、所有者等に対して直接、口頭または書面で防止措置の申入れをするのがよいのですが、この申入れは、法的拘束力がありませんから、相手方がこれに応じなければ意味がありません。もっとも、防止措置の要求が個人でなく、地域住民によってなされた場合にはかなり効果があると思います。そこで第二は、その造成地が宅地造成工事規制区域であれば、その宅地の所有者、管理者、占有者等は、宅地造成に伴う災害が生じないよう、その宅地を常時安全な状態に維持するよう努めなければならないし、また宅地造成に伴う災害防止のため、必要があれば都道府県知事は、所有者等に対して、擁壁または排水施設の設置または改造その他の措置をとるよう勧告することができますし、さらには、知事は、上記設備が設置されていないか、または、きわめて不完全であるため、これを放置する時は、宅地造成に伴う災害の発生の恐れが著しいものがある場合には、その著しい恐れを除去するため必要であり、かつ土地の利用状況からみて相当であると認められる限度において、改善命令を出すことができますので、危険な造成地の近隣者は、関係の役所に対して、上記の勧告や改善命令を発動するように促すのがよいでしょう。なお、規制区域外の場合でも、市町村役場の係員に頼 んで交渉してもらうのも一方法かと思います。第三の方法は、近隣者が裁判所を通じて、民事上の救済を受けるのがよいでしょう。
ところで、民事上、防止措置の請求をするとしても、そのためには、どのような権利が侵害され、どのような請求権法理にもとづいて請求することができるかが問題となります。この問題は、専門的になりますが、簡単に説明しますと、次のようになります。本問の場合、隣接地の崖崩れの危険性のように、あなたの財産(土地や家屋など)が直接侵害を受けているのではありません。したがって、この場合、財産権の保護を目的とする相隣関係の規定や、その精神を借用したり、あるいは所有権や占有権を根拠とする一般の物権的請求権にもとづいて防止措置を求めることは困難かと思います。そこで学説では、本問のような場合には、その侵害が人間の肉体的、精神的自由に対するものであるところから、このような自由を中核とする人格権にもとづく請求権を考えるか、あるいは違法な侵害があれば、法的に保護される法益の権利性を特別に問わずに、不法行為にもとづく請求権を考えたり、さらには、このような侵害が、人間生存の外部的ではあるが、基本的条件であるところの良好な環境を享受する権利にもとづく請求権を考えたりしています。もっともこのような請求権があるからといって、その請求が必ず認められるとは限らないことは次節の通りです。
判例上、本問の場合と同種の例は見あたりませんが、類似の例としては一連の公害判例(日照、通風阻害事例や眺望阻害事例など)があります。判例は、防止措置の請求の法理論では、ほぼ上と同様の構成をしますが、防止措置の是非の具体的判断は、侵害の程度が受忍限度を越えたかどうかによって行ないます。このことは、社会共同生活上、お互いに、ある程度の侵害は受忍すべきであり、侵害がこの受忍限度を越えた場合に、初めて法的救済を得られるとする考え方にもとづいています。この受忍限度は、被害者側の事情と加害者側の事情を比較検討して決められます。本問の場合には、周囲が住宅地であって、危険性が大きく、損害回避の措置が簡単にできるような場合には、裁判所も、防止措置の請求を認めてくれるものと思われます。

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