隣家の飼犬に顔をひっかかれた

私の三歳の男の子は、隣のスピッツのそばヘ行ってエサをやろうとしたところ、顔面を爪でひっかかれ深い傷を負いました。補償を請求しようと考えているのですが、どうしたらよいでしょうか。
飼犬が幼児を咬み傷害を負わせた事故について、動物占有者である飼主に対して幼児が受けた損害の賠償を請求することが認められています。一方、この犬の飼主が責任を免れるためには「動物ノ種類及ビ性質二従ヒ相当ノ注意ヲ以テ其保管ヲ為シタル」ことが必要となります。その証明は飼主側が負いますが、立証が出来なかった場合には、民法七一八条一項本文によって犬の占有者である飼主は被害者に対して賠償責任を負うことになります。

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相当の注意というのは動物の種類、性質などから常識的に要求される保管方法を標準にして判断することになり、通常払わなければならない程度の注意義務を意味し、異常事態に対処しうる程度の注意を義務づけているものではありません。判例に現われたものでは、危険性の高い動物とそうでない動物とでは、注意義務の程度も異なっています。例えば、犬の事故の場合を考えてみますと、性質が非常に温順で人に害を加えるおそれのない犬で放胆していても必ずしも注意義務を欠いたとはいえないものもあります。しかし、犬は飼主に対しては非常に従順な性格を持つが、それ以外の考に対しては必ずしもそうでないの が普通であり、今日ではその当否については疑問視されています。最近、飼犬による咬傷事件が多く発生して社会問題となりつつあるところから、動物占有者の責任を より厳格にすべきであるとの考え方を示した判例が現われてきています。
飼犬を数カ月間放置しておいたために、その犬が狂犬病にかかり幼児を咬んだ事例で、犬を放置すること自体が原則として注意義務に違反するとしています。特に咬傷癖のある犬は放し飼いすること自体が注意義務違反であり、常にその犬を繋留拘束するか口輪を施す等の処置を講ずる義務があるとしています。また、このような犬を鎖でつないでおく場合でも、子供の遊び場に近かったり、人の出入りする場所では特に注意義務を強化しています。例えば、秋田犬が鎖をはずして塀のこわれ目から隣りの家に行き、幼児の顔面に咬みついたケースとか、菓子屋でアイヌ犬を勝手の土間に鎖でつないでいたが、店舗と土間との仕切りがないため幼児が中に入って咬まれたケースでは、犬をつなぐ場合でも、口輪をつけるとか完全な犬舎を設けて飼うのでなければ十分な注意を払ったとはいえないと判示しています。犬を鎖でつなぐ場合でも、周囲の情況によって注意義務の程度も異なるものといえましょう。
スピッツの飼主である隣人に対して子供の受けた損害の賠償請求が可能です。飼主が相当の注意を払っていた場合には、先にのべましたように、責任を免れることになり、あなたからの賠償請求は不可能となります。この質問からだけでは、犬の保管状況は必ずしも明白ではないのですが、飼主としては平素このようにして犬を飼ってきて、いままでになにも起こらなかったし、犬の性質も温順で、この事故も決して狂暴なるが故に起きたものではなく、何等の不注意もないと信じていることは推察できます。しかし、たとえ平素は温順な犬でも何らかの拍子に幼児に傷害を加える場合があることも珍しいことではありません。したがって、そのような事故を起こさないような万全の手段をとることが、いやしくも社会共同生活の中で動物を飼う者の義務であると思います。したがって犬の飼主である隣人は、子供の受けた損害の賠償義務を免れないものと考えます。

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