子供の社会的行動の発達

 幼児の場合、社会的行動は成人とくらべて、未発達でまだまだ自己中心的行動が支配的ですが、これは、幼児にとって集団といっても、家庭というひじょうに例外的な集団での生活に限られているからです。家庭という集団においては、幼児ははじめ、両親との間で、支配と服従という垂直的な人間関係にあり、幼児は両親の命令に従って、すべてを両親に依存して生活しています。こうした垂直的人間関係は、幼児の自我の発達とともに弱まっていきますが、初期の段階にさかのぼるほど顕著です。
 そのため、初期の段階では、幼児は自分の意志でなく、親の命令に従っているだけであり、社会的な規定といっても、ひじょうに単純で明快なものです。しかも、家庭という、ごく限られた、しかもひじょうに例外的な集団内だけであるため、いわゆる社会的発達とはいくぶん異った形態となっています。
 しかしながら、この限られた、例外的な集団でありながら、家庭内における社会的発達のもつ影響力はひじょうに大きなもので、後にあらわれてくるいくつかの集団内での行動に大きな影響を与えることになります。従って、家庭内での社会的発達がうまく行われているか否かが、その個人の全体的な社会的発達が適切に促進されるか否かを左右するもっとも重要な要因の一つであるといっても過言ではありません。
 こうした重要な家庭という集団を基礎にして、年令とともに、しだいに、もっと多くの集団へと参加していきます。しかも、そこでは、家庭という集団になかった多くの規範があり、行動はそれによって変容をせまられます。こうした規範は普通は成文化されたものでもないし、まったく固定したものでもないので、確固としてとらえることはなかなかむずかしいが、それからはずれた行動をとると、いわゆる不適応者とみなされたり、異常者扱いされたりするのです。

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 幼児がはじめて家庭以外の集団に入った場合、いままでなかった多くの規制がでてくるので、成人にくらべて、新しい集団での適応が容易でないことが多い。しかし、これは、発達の過程で「障壁発生の原理」と呼ばれ、だれもが、一度はくぐらなければならない障害物であり、これをのりこえてはじめて、社会人としての行動を身につけてゆくことができるのです。
 すなわち、社会的な発達をするためには、新しい集団に参加し、そこで待ちうける障壁をのりこえて、古い行動様式から、常に新しい行動様式へと脱皮してゆく過程が必要なのです。そして、こうした発達的過程を、一般に「習慣更新の原理」と呼んでいます。
 私達が集団というばあい、二人以上の人たちが形成している集りをいいますが、ただ人がばく然と集まっているだけでは、単なる集合にしかすぎず、心理学的な意味での集団とはいえません。集団としての意味をもつためには、そこにいる人たちが、お互いになんらかの意味でかかわりをもっており、心理的な力によって結びつけられている必要があります。
 集団は、二、三人のごく少人数の集りからなる小集団から、はては、数千人数万人、さらにはもっと大規模な集団まで、その大きさはまちまちであり、また、集団の種類も多種多様なものがある。そして、われわれは、なんらかの意味でこうした多種多様な集団にかかわりをもつことによって、社会生活を営なんでいるのです。
 もちろん、お互いの結びつきを考えた場合、少人数からなる小集団の場合なら、直接相互関係をもつことができますが、大きな集団になると、その結びつきは必ずしも直接のものではなく、間接的なものになってしまうことはいうまでもありません。
 集団が存在する場合、それはただ漠然とした人の集りでなく、そこにいる人たちはお互いに心理的なかかわりをもっていると述べましたが、これは、集団がある目標に向って志向し、活動しているからであり、その目標とのかかわりあいで、人びとが一定の方向へと動かされ結びつけられているからです。
 このように、集団が存在し、モれが一定の目標に向って動いているばあい、その集団の中にいる人たちは個々ばらばらでなく、その集団の人間として、それぞれ役割をもっており、集団に一定の構造を作りあげています。
 一般に、集団か二定の方向へ動かすには、ただ人びとが集まっているだけでなく、集団の成員としての役割をもっており、各個人がその役割をそれぞれ十分に果たさなければならないのであり、これによって集団としての機能を十分に発揮することができるのです。

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