子供集団とリーダーシップ

 集団が一つのまとまりをもって一定の方向に動くためには、集団のもつ凝集性の高さが要求されますが、この凝集性を保ち、集団をまとめてゆくためには、リーダーの役割が非常に大きなものとなってきます。
 すなわち、リーダーが、いかかる種類のリーダーシップを発揮するかによって、その集団のもつ雰囲気は異なったものになり、従って凝集性も違ってきます。

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 リピットはリーダーシップの型による集団の雰囲気について、児童を対象とした研究を行っています。
 彼は、十歳の少年による五人からなる集団四つを用い「専制型」「民主型」「自由放任型」の指導のしかたを熟練するまで訓練された四人の成人リーダーが、放課後の趣味活動の会合で、少年たちにどのような影響を与えるかを研究しました。
 すなわち専制的リーダーシップ、民主的リーダーシップ、自由放任的リーダーシップによって、リーダーシップの型の違いが集団の活動にどのような影響をもたらすかを研究したのです。
 この結果からつぎのようなことが明らかにされました。
 専制的リーダーシップの場合には、成員は協力的でなく、むしろ敵対的で、攻撃的な行動を示すことが多く、また、表面にはあらわれない不平不満をもたらすことがあり得るというように、集団としてのまとまりを作り出すには好ましくない傾向が強かった。
 これに対して、民主的リーダーシップのばあいでは、他のリーダーシップの型とくらべて、成員が集団意識を持ちやすく、友好的で、協力的であるというように、集団としてのまとまりを作り出すのにはひじょうに好ましい傾向が強かった。
 また、実際の作業の面においても、専制的リーダーシップのばあいでは、リーダーに対して服従的、あるいは依存的で、しかも、個性の発現度は少なかったのに対して、民主的リーダーシップのばあいでは、作業への動機づけが強く、独創性も高かった。
 さらに、自由放任的リーダーシップのばあい、一見、どちらかというと、自由性といった点において、民主的リーダーシップに類似したところがうかがえそうですが、実際には、民主的リーダーシップとは同じでなく、作業面においては、作業量は少なく、仕事のできばえもよくなかった。また、遊びたいという気持ちを示す会話が、民主的リーダーシップのばあいにくらべて二・五倍もあり、実際かれらは、自由放任的リーダーシップより、民主的リーダーシップを望んでいることを表明しました。
 以上のように、リーダーシップの型によって、集団の雰囲気はひじょうに異なったものになることが明らかにされましたが、このことは、本来、生命力にあふれ、開放的で友好的で協力的であるべき児童集団が、大人のもつ特質の違いでがらりと変ってしまうことを表わしており、特に、学校教育における教師のもつ役割の重要性を改めて認識させるものであるといえます。
 集団の構造という概念は、集団の成員の行動のパターンであり、その相互作用によって時間的経過とともに変化したり、目標の変化や、事態の変化によって変化するものですが、実際に集団の構造をとらえるためには、そのパターンが、静的な事態においてある程度安定したものとしてとらえています。
 一般に、集団の構造をとらえる方法として有効で、しかも割合簡単なものとして、ソシオメトリックテストを用いることが多い。とくに、学級集団、なかでも幼児期、児童期の学級集団では広く用いられている。ソシオメトリックテストは一般に好き嫌いの感情的基準によって行われるのですが、このテストによって出された結果によって、ソシオグラムを描き出し、それによって、成員の結びつき、すなわち、集団構造を描くことができます。
 たとえば、リーダーシップの型については、一人のものだけに集中している型では、専制的なリーダーシップの型を、集団の成員全体が平等の立場で動いている網状型においては、民主的リーダーシップの型を見いだすことができます。
 さらに、集団の安定性については、孤立型はひじょうに不安定で崩壊しやすく、星型も中心のリーダーが安定しているうちはいいが、リーダーを失うと一度に崩壊しやすい。これに対して、網状型は常に最も高い安定性を示しているといったことを知ることができます。
 モレノは、幼児から八学年までを対象にして得たソシオグラムによって、幼児児童集団の構造について、その発達的特徴を研究しています。
 それによると、幼児集団は、最初は孤立したものであるが、生後二〇〜二八週に、相互の認知関係、すなわち、水平的分化と呼ばれる段階が出現し、ついで、歩行によって移動ができるようになる四〇〜四二週で、物理的力や知的能力によって上下の垂直的分化がみられるようになります。
 さらに、それが幼稚園から八学年まですすむ間に、選択基準は、初期の物理的・心理的なものから、社会的・心理的なものへと移ってゆき、集団の分化はますます顕著なものとなり、構造化してゆくという結果がでています。

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