子供の道徳的行動

 私達が社会生活をしてゆく上で、私達は社会的規範にもとづいた行動をとることが要請されていますが、これはいわば他律的に規制されるものです。これに対して、さらに一歩進んで、他人の賞讃や非難に関係なく、善・悪・美・醜などの判断を中心にして、自らの良心に従った、いわば、内面的・自律的規範にもとづいた行動をとることが望まれます。
 一般に、このような内面的・自律的規範にもとづいた行動を、道徳的行動と呼んでいますが、こうした行動も、発達の過程において、他律的に与えられた規範を、自己のうちに消化し、内面化してゆくことによって、しだいに身につけてゆくものです。

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 道徳的行動に影響を与える要因にはつぎのようなものが考えられます。

昔ばなし、おとぎばなし、子守歌
 幼児期において、両親からきかされる昔ばなしや、おとぎばなしが、しだいに幼児の理想像となってゆきます。また、子守歌も幼児の情緒や情操の発達を促します。

賞罰
 もともと、善悪観念をもたない子どもは、ある行為に与えられる賞讃や、他の行為にかせられる罰によって、行動の価値判断の基準のてがかりを知るようになります。

心理的障害やショックな経験
 ひどく恥ずかしい思いをしたといったような、心理的障害(心的外傷)や、親が死んだとか、弟妹が生れたというようなショックな経験は子どもに強い心理的影響を与えます。

家庭の雰囲気
 家庭がなごやかな雰囲気でつつまれているか、険悪なものかということは、子供の道徳的行動の発達に大きな影響を及ぼします。

親のしつけの型
 親のしつけの型には、拒否型、溺愛型(過保護型)、干渉型(賎格型、期待型)、放任型、不一型(矛盾型)、民主型などをあげることができますが、やはり、民主的な雰囲気の中で育てられた子どもが心の不安や動揺がなく伸び伸びした個性や能力を発揮し、自主自律の人格を形成してゆきます。

友人の影響
 子どもは、仲間同志の集団の中で、独自の規範を作り上げ、それによって、お互いを親密に結びつけてゆきますが、この中で、友人から受ける影響はひじょうに大きなものがあり、正義感の芽ばえなどがみられます。

教師の影響
 学校における教師のもつ役割はひじょうに大きなもので、児童にとって、教師は、理想像であり、教師の一挙手一頭足にいたるまで、児童にとっては尊敬の対象となります。

読み物の影響
 子どもが自主的に読む読みもの、特に有名な人の伝記などは、子どもの理想像として大きな影響をもたらし、精神のかてとなってゆきます。

マスコミの影響
 テレビ、映画、雑誌、新聞などをはじめとしたマスコミのもたらす影響は大きく、とくに、テレビや雑誌にでてくるマンガなどは、流行の源として、古い道徳観念を変えてしまうほどのいきおいで、最近は、ますます問題視されてきています。

 つぎに、道徳的行動が実際にはどのようなあらわれ方をしているかをみてみましょう。
 セマンは、ふたり一組の児童に対して、奇数個のクルミを二人分として与え、それをどのように分けあうかについての実験的研究を行っています。
 分配の方法には、寛容=相手に一つ多く与える、利己=自分が一つ多くとる、平等=ひとつを半分に分け合う、の三つありますが、彼の実験結果では、五歳では利己的分配方法が六七 %で圧倒的に多いが、六歳になるとそれは少し減少し、寛容的分配方法が半数以上になり、七歳になると、それが一層顕著になり、さらに、八歳になると寛容的分配方法が減少し、平等的分配方法が増大し、九歳、十歳、十一歳とその傾向がより顕著になってゆくという結果がでており、発達的な過程がひじょうによくあらわされています。このことは、友人関係において、相手の立場を考え、しかも、それをより合理的な方向へと発展させてゆこうとすることを示すものであり、社会的道徳的発達の過程をたくみにとらえたものといえるでしょう。

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