いたずらっ子

一口にいたずらっ子といっても、その成り立ちやタイプは様々です。
まず、小さい子供は本来だれでもいたずらっ子です。むしろ子供はいたずらっ子であってほしい。おとなしく、すなおで、とても育てやすい子供だったのですがと相談に連れられて来た子供が、知的障害であったという例がときどきあります。精神の活動が低下していたため、いたずらさえできなかったわけです。このような障害の場合でなくても、いかにも行儀よく育てられた子供は、幼児期の楽しく活気にみちあふれた生命の躍動感を体験できなかった点で、あるいはしたいこともさせてもらえず抑圧の生活を強いられて来た点で不幸な人間であると思います。いたずらざかりはいたずらであってこそ、その後の発達にもよい結果をもたらすものです。親たちは、いたずらざかりという言葉を知りながら自分の子供には許そうとはしません。いたずらの根を絶つことは子供のいきの根を止めるに等しいことを悟るべきです。

スポンサーリンク

第一に、いたずらは積極性、自発性の表れです。つかまり立ちのできるようになった子供はそうとういたずらっ子です。テーブルの上の食器を手あたり次第かぎまわす、うっかりするとテーブルの上によじのぼる。自由に歩けるようになれば行動半径はさらに広がり、いたずらの程度もひどくなります。兄や姉たちが楽しく遊んでいる中へ入りこみ邪魔をすることなど、どこでも見られる情景です。常に動く、動きたい。しかし、身のこなし、状況に応じて行動を制御するところまで訓練ができあがっていません。したがって、他人の生活のリズムにうまく同調がとれないから、結果として他人に迷惑をかけることになります。子供には初めから積極性、自発性があります。消極性や自己統制はのちにつくられるものといってもよい。私達は子供のこの自然の道すじをたいせつに育ててゆきたい。それどころか、この逆すじに逆らうことはかえって別の形のいたずらに進ませる機会をつくることにもなりかねません。
第二に、いたずらは探索欲のあらわれでもあります。子供にとってすべては珍しく驚異にみちあふれている。子供の眼前に新しい世界が圧倒的な迫力をもって展開されます。この感覚こそ私達大人にとっても失いたくないもの、新しい創造に連なるものです。その基盤がいま芽生え始めています。鏡のうしろをのぞきこむ、機械じかけのおもちゃの中味をたしかめる。大通りの向かい側の世界を探検する。すべて子どもの探索欲のあらわれであり、結果として破壊や危険がともなうとしても、ごくあたりまえの行動です。子どもは経験によって学習する。これが子供の学習の基本原則です。いたずら行動もまさにこの原則にしたがっているまでです。
第三に、いたずらは緊張をときほぐす手段です。私達大人でも、日常生活を営むなかで常に緊張状態を続けることはできないし、かりに続けでもしようものならかえって不安定な精神状態に陥ってしまうか、そこまでゆかなくても仕事の能率を低下させます。大人はこれを回避するため骨休みをしたり、趣味をもったり、娯楽にふけったりします。これらは本質的には実益をともなうものでもないし、生産的でもありませんが、たしかに明日のための糧になります。子供のいたずらも同じです。子供が成長するにしたがい、親たちは、親により子供の年齢などの違いにより程度の違いはあるとはいえ厳しくなるであろうし、外界との接触が広がるにつけ、よそから頭をおさえられることも多くなります。子供の生活も常にすべて楽しく満足のゆくことばかりとは限りません。自然に、緊張の度合いも強くなるし、回数もふえてくる。小さい子は小さいなりに嫌なことも多いわけです。糞をこねまわして親を閉口させる場合もあります。子どもは泥んこになっていっそうはしゃぎまわりますが、親はしんから腹が立つ場合もあります。屋外と同じ調子で部屋の中をドタバタ走り回られれば、ゆっくり新聞を読む気にもなれません。実益どころか悪いいたずらと考えてしまいます。たしかに、こんないたずらかいつまでも続いてはかなわないし、それどころか発達の停滞を意味するサインとして、今までの育て方を検討してみる必要があります。しかし、子供が彼らの心の要求にしたがってここにあげたような行動をとるのは自然の姿であり、もし、このような機会が与えられなければ緊張をささえ切れなくなって爆発させるか、姿を変えて別の出口を探し出すことになります。いたずらは子供の心を浄化させるもの、精神的に平衡状態を維持し健康に育ってゆくために、子供に与えられた権利なのだということを認めなければなりません。

子供の発達条件の理解/ 落ち着きのない子/ いたずらっ子/ 注意したい子供のいたずら/ おとなしい子/ 子供の意地悪/ 引っ込み思案/ 食事の問題/ 睡眠の問題/ 夜尿/ 言葉の遅れ/ 勉強のできない子供/ 勉強の仕方と学業不振/ 勉強嫌いな子供/ 教師や親との関係/ 特定の教科を嫌う子供/ 体育嫌いの子供/ 優秀児/ 先生を嫌う子供/ 読書困難児/ 登校拒否・学校嫌い/ 出生順位と個性/ 母親の就労が子供に与える影響/ 施設保育/ 乱暴する子供/ 反抗的な子供と親との関係/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク