おとなしい子

おとなしい子というと、ふつう情緒が安定し、素直で、反抗的なところはない、大人の目から見てたいへんよい子であるとうけとられます。たしかにこの限りでは、悪い子ではないのですが、裏返すと、おとなしい子には様々な問題がみいだされることが少なくありません。
第一は、おとなしさが体力の弱いために引き起こされている場合です。身体が弱く、しょっ中病気がちの子、病気とはいえないまでも、発達が悪くひ弱な子、こういう子は、単に身体ばかりでなく、精神面での気力も乏しいことが多く、当然のことながら、おとなしい子供とよばれます。
少し乱暴すると疲れて熱が出る。親はそれを心配して、おとなしい子にするように、激しい行動を抑えてしまうためもあります。さらには実際におとなしくしていることを、親はよい子と評価するために、子供自身がおとなしくすることに努めることもあります。
直接に体力のなさから、おとなしくなるのと、このような二次的なおとなしさとが入りまじってはいますが、とにかく、このおとなしさは、決して好ましいことではありません。何か病気があるならそれをなおし、体を頑健にすることによって、おとなしくなくする方法を考えなくてはなりません。つまり、体力作りを積極的にはかることが大切となります。

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何をやるにもひかえめで、積極的な気力の乏しい子も、しばしばおとなしいとみられ、ややもすると良い子として評価されます。親やまわりの人のいうことを素直に聞くと考えられますが、実は反抗する気力、意志が乏しいためなのです。人の中では自分の意志をはっきりと示すこともできず、しばしば依存的にもなってしまいます。
気力の乏しさは、いろいろな原因からもたらされます。すでに記した体力の弱さからも、気力が弱くなることは少なくありません。また、小さいうちから抑えつけられて育てられた場合や、たいへん大事に育てられて、自発作が発達していない場合にも、気力は乏しく、消極的な性格が形作られます。もちろん、生まれつき気力の強い子と弱い子とがあることも否定はできませんが、より後天的な環境の影響が大きいと考えねばなりません。一卵性の双子でも、二人の間には、しばしば積極性、気力の面での違いがあることは、環境によってこれらが影響される一つの所見とみなされます。生まれたとき、赤ちゃんのときなどの体の健康の歴史が違うとき、より病弱だった方がおとなしく育つことが知られているし、一般的には、兄(姉)と弟(妹)を比べると、親からの抑えがより厳しい兄(姉)の方が、おとなしいという評価をうけ易いことを、付け加えておきます。
おとなしいというのとは本来は異なりますが、何をやるにもスローモーションで、ぐずな子どもが、ときにはおとなしいという評価を受けることがあります。
てきぱきと動きまわる子が、逆に落ち着きのない子、いたずらっ子と評価されるのと、ちょうど逆です。はじめのうちこそ、おとなしいよい子ではありますが、やがては、のろまでぐずだといわれるようになります。もっとものろまでぐずな子が、すべて悪い、あるいは障害児であるともいいきれません。たいへん慎重で辛抱強い、反応はおそいが着実で安定している子もいます。
性格的な短所は、ひっくり返せば長所でもあることを忘れてはなりません。
ただここでは、おとなしいと評価されている子供の中に、こういった特徴をもつ子供も含まれていることを注意しておきます。
おとなしいといわれる子も、このように見てくると、いろいろ問題があるようですが、一方ではたしかに情緒的に安定した温和しい子であることもあります。
些細な刺激に過敏に反応する不安定な子供、注意の散り易いおちつきのない子どもに比べて、はるかに好ましい特徴であるともいえます。ただ大事なことは、そのおとなしさが大人の、親の眼から見てよい子であることから評価されるべきではなく、子供自身の安定さから名づけられるべきであることです。
同時に、意志の面での強さを伴ったおとなしさであることが望ましい。つまり、おとなしさイコール消極性ではなく、意志的な強さを内に秘めているおとなしさが、とくに望まれます。

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