食事の問題

子供の心身の発達は、まず十分な栄養からと考えられます。世の親は、いかにして子供の栄養を高めるか、どうやってミルクをたくさんのませ、離乳してからは好ききらいなく、多くの量を食べさせるかに腐心します。ややもすると、こういった親の努力は、子供にとって、大きな負担、圧迫となりかねません。食事をめぐって、子供達は、親との争いをかもし出し、これはまた種々の問題を作り出してきます。
赤ん坊のミルクも、離乳期以後の食事でも親が気にするのは、まずはその食べる分量です。たくさん食べればそれだけ発達が進むものと期待するからです。しかし本来、子供の食べる量は、子供によって決して同じではありません。その子、その子に合った適量というものがあるし、食物の種類や質によっても量は変わります。
子供によってどの泣か適量かの判定はなかなか難しいのですが、順調に体重が増えてゆくようであれば、まず適当と考えるべきです。ふえ方が不足していても、むやみと多いのもどちらも問題になりますが、これは必ずしも食事ばかりの問題ではありません。普通量として問題にされるのは、それが少ないとき、すなわち食欲の不振の場合です。食べかたが少ないと、身体が悪くなる、発達が障害されるという心配は、ついつい無理にでも食べさせようとする努力となる。しかも口やかましく、もっと食べろとしむけることが、かえって食欲をおとす結果になることが少なくありません。
本来、食事は楽しい雰囲気で食べるのが、もっとも食欲をかき立てるもの。それを、やいのやいのと食べることをせかされると、もともと豊かにある食欲さえ も失われてしまうわけです。

スポンサーリンク

食欲がないと思われる子供の場合には、それが単なる親の心配に過ぎないのではないか、あるいは食べろ食べろの強制がかえって食気を失わせているのではないかをふりかえり、まずもって食卓を楽しくすることを心がけるべきです。
もちろん、身体の病気が隠れていないかどうかにも注意する必要があります。慢性の感染症や内分泌疾患で、食欲低下のみを外への症状として示すこともあるからです。
子供といってもだいぶ大きくなった思春期、それも女の子に見られる特別な食欲不振として、神経性不食症というのがあります。無意識にひそむ成熟への拒否が、きわめて頑固な食欲不振をもたらし、骨と皮ばかりへのはげしいやせをおこしながら、ほとんど食事をとろうとせず、ムリに食べさせると吐いてしまうなどの症状を示す。脳下垂体の病気との鑑別も必要だし、入院しての検査が行なわれねばなりませんが、しばしば父や母との関係に何らかの心理的原因があって、それによる一種の反応と解されることが少なくありません。治療には、根気のよい精神療法を、ときには長期にわたる入院生活の上で行なうことが必要とされます。
食欲が遂に多すぎる場合、親にとっての悩みは、食べすぎておなかをこわしはしたいか、肥りすぎるのではないかとなります。とにかく過ぎても、足りなくても親は悩むわけです。事実食べすぎて、しかも運動不足があると、肥満児になりかねません。はじめに記したように、順調な体重の発達に留意することが大切です。
多食も身体的なホルモン異常からもたらされることがあるので、その方の検査も必要です。しかし反面、心理的にも多食のくることもあります。食べることによってしか満足がえられない場合、愛情不足の一つの代償として食べまくる場合、食べることによって親の関心をひこうとする場合等々がそれです。食べすぎにも、時には心理療法が必要となるゆえんです。
食べものの好き嫌いは、量の心配以上に親の注意をひきます。たしかに好き嫌いがはげしければ、栄養のバランスが崩れ、発達にも影響してきます。しかし、発達に影響してくるほどの好ききらいはそれほど多いものではありません。のみならずヒトには一般に体が必要とするものを好み、必要としないものを好まないという生物的な反応もあるとされています。
ニンジンが嫌い、ネギが嫌いを、とくに眼くじら立てて食べさせねばならないとはいえません。ニンジンに含まれる栄養素は、ニンジンに代わる食べものでけっこうとっている場合が少なくないし、あまり栄養価のないものについてきらっても、栄養上そう問題にはなりません。著しい偏食の子供が、入院したり寮に入っ たりすると、仕方なしに偏食しなくなることがあります。しかしそうたったあげく、家に帰るとまた偏食に戻ってしまうことが少なくありません。家では本人の嫌いなもの以外にいろいろなものが用意されていて、偏食しても、けっこう好きなもので腹が満たされるからです。偏食とは食事が豊かなときにおこるものであり、豊かでなくなればひとりでに治るという見方もあります。
ますますもって偏食をやかましくいうことはないようです。
かえって、何も食べろで、食卓の雰囲気をこわすことの方が、よほど問題かもしれません。
また、子供の好き嫌いは、親によって作られることが多いことも忘れてはなりません。親自身がそう好きでないため、ニンジンを食卓にのせることが少なければ、子供はニンジン嫌いになりやすいのも当然なのです。
ただ、あまりにも著しい偏食は、栄養の障害をおこす結果ともなるし、本来、何でも好き嫌いなく食べるのが、それだけ食生活を楽しくすることを考えれば、好きならいを少なくした方がより好ましいのは当然です。
いろいろ調理法を工夫したり、好きなものとペアにして、嫌いなものを食べてみる習慣をつけたりすることは、やはり親が育児に当たり心すべきことです。

子供の発達条件の理解/ 落ち着きのない子/ いたずらっ子/ 注意したい子供のいたずら/ おとなしい子/ 子供の意地悪/ 引っ込み思案/ 食事の問題/ 睡眠の問題/ 夜尿/ 言葉の遅れ/ 勉強のできない子供/ 勉強の仕方と学業不振/ 勉強嫌いな子供/ 教師や親との関係/ 特定の教科を嫌う子供/ 体育嫌いの子供/ 優秀児/ 先生を嫌う子供/ 読書困難児/ 登校拒否・学校嫌い/ 出生順位と個性/ 母親の就労が子供に与える影響/ 施設保育/ 乱暴する子供/ 反抗的な子供と親との関係/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク