言葉の遅れ

年齢相当の普通児と比べて、言葉の発達が遅れている場合の総称である。しかし実際には、年齢相当の言語発達基準を明確にすることは、次の理由によって難しい。言語に含まれる要素はきわめて多面的であり、かつ複雑であること。しかも、それらがいずれも統合されているので個々別々に分離ができません。言語発達に影響を与える諸要因も、身体的条件だけではなく、環境的条件を含めて、非常に複雑です。そのため言語発達は個性的です。言語発達が早目のタイプがあるかと思えば、遅れぎみの子供もいます。しかし、七〜八歳段階に達すると、いずれも正常発達を示す場合もあります。

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言語発達遅滞の原因は大別して二部になります。第一群は身体的諸要因であり、第二部は環境的諸要因です。身体的原因は、聴覚、聴能に異常がある場合、知能に障害や遅滞のある場合、言語中枢をはじめ中枢神経機構に異常がある場合、言語運動機能を支配する末梢神経機構に異常のある場合、全体的発達遅滞のある場合などです。環境的原因は、対人関係に問題のある場合、すなわち情緒障害、情緒発達遅滞などをもつ場合と言語関係に問題がある場合です。これには言語刺激量が適正でない、言語刺激の与え方が適正でない、言語の意味づけが適正でない、言語強化が適正でないなど様々な問題となる言語関係が含まれています。特殊な人間関係、例えば一卵性双生児や過保護な母子関係などでは、発語の必要性とその機会が奪われるために言語の発達を阻害します。
心因的原因のため言語表現をしない子供、拒絶症のため、親の要求に言語で応答しないもの、自己の殼に閉じこもり、他者との人間関係に疎い子ども、これらは発語の必要性やその関心を喪失したり、発語を拒否するため、対話経験をもちえません。したがって、当然のことながら言語習得に未熟な形があらわれます。
言語習得は、その中心的過程を言語関係のなかにおいています。これを話し手の側から分析してみると、次のような場合が考えられる。母親から子供に話しかける言葉が多過ぎたり、少なすぎることは聴き手の子供に不快感を与えたり、自分で話す必要性を与えなかったりします。また、話し方がつねに一方的で聴き手である子供の興味や意向を無視しすぎると、聴き手に不快な感情を経験させ望ましい言語関係がつくれません。難解な用語の使用や、早すぎる話し方の場合も同様です。
次に聴き手の側から考えてみましょう。子供の話しかけに対して、母親がこれを受容し、耳を傾けようという態度に欠けるならば、子供の発話量は次第に減少するであろうし、なお、子供の発語欲求が非常に強いような場合には、母親からの拒否的態度や行動を感じとってしまいます。その結果、言語関係は破壊され発語は減少します。発語に積極性があり強い動機づけがない限り、言語学習は十分に行なわれないことになります。
言語発達に遅滞が生ずる原因については、これまで述べてきたとおりで、様々です。その原因の性格にも相違があるので、言話機能面に表出される障害の特性についても一律ではありません。したがって指導に当たっては、まず言語発達遅滞がどのような原因によって生じ、どのようなものであるかを鑑別診断する必要に追られます。事実は大変困難なことです。言語発達遅滞を示す子どもが、何に原因があるのかを鑑別するには、数多くの子供を観察し、検査し、治療し、教育してみて、その経過を精密に追究していくことが必要です。しかし大まかな考え方を述べれば次のようになる。極度の運動障害がないのに始語期の遅れがあり、始歩期、摂食の自立の時期にも遅れがある場合、また言語理解が低い場合には障害を疑います。対人関係に困難を示すような場合には情緒障害にもとづくものと考えられます。普通の音には無反応、こちらからの指示にも応心ず、ジェスチャーをよく使用し、人の顔をじっとみることが多く、慣れない場面には敏感で、非言語的検査が割合によくできる場合には、聴力損失を疑ってみる必要があります。生育歴に重度の脳損傷の疑いをもつ事件があり、音に興味を示しながらことばに興味を示さず、ときにより言語理解も悪く、始語期がひどく遅れ、変わった複音の誤りがあり、協応運動がまずく保続症を示したり、知覚障害があったり多動性を示す場合には脳損傷を疑ってみます。姶語期、始歩期が比較的早く、言語理解は良好であるにもかかわらず、発語があいまいである場合には環境的発達遅滞と考えてみる必要があります。
言語学習条件に問題がある場合の多くは、前述のように、環境的なもので、一卵性双生児は一般に言語発達遅滞をおこし易い。言語の必要性がなくなるからです。過保護な母子関係や、年齢の離れた兄弟姉妹関係も、ときによりこのような結果をまねきます。

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