出生順位と個性

出生が、子供の個性の発達にどのような影響をあたえるか、という問題は、古くから研究者の興味をひいてきましたが、個性の発達そのものが多様な要因によって影響されあっているので、そのなかから出生順位の要因のみをぬき出して、その因果関係をとりあげることは困難であり、ここでは、この領域の研究のなかから、いくつ かトピックスを選んで紹介しておきます。
一般に、第一子は、両親によって計画され、欲せられて出産することが多く、両親から多くの関心や配慮を与えられやすい。しかし、両親にとって、育児ははじめての体験であり、いわゆる育児書によって育てられることが多い。したがって両親の不安や自信のなさが、子供に伝わりやすいともいわれています。
また、第一子は、ある時期、いねばひとりっ子であり、両親、祖父母、おじ、おば、など、大人によって社会化され、大人の基準を取り入れ、大人と情緒的な結びつきを形成しやすい。
このような、第一子の家族内における特殊な位置から、第一子の知的傾向や、性格特性をとりあげる研究者もいます。例えば、ハリスは、乳幼児期に両親から注がれた養育、躾、身のまわりの世話の量の大小によって、両親の参加量の多い場合を、成人-教化型。少ない場合を、仲間-教化型と名づけ、両者に思考の型や、性格特性に差のあることを指摘している。

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ハリスによれば、成人-教化型の子供(第一子やひとりっ子)は、きまじめであり、大人の価値や人生観や期待をとりいれやすい。また、言語能力、特に文の構成や、言葉の使い方に優れており、抽象的で、総合的な思考の型を示すとされています。
それに対して仲間-教化型(第二子以下の子どもたち)は、第一子と違って、両親が、より気楽に育てており、また両親の期待をすでに長子に託しているために、このタイプの子供達は、より陽気で、のんきで、子どもっぽく、権威をうやまうことのより少ない傾向をもつとされています。また思考の型も、実際的、現実的で、分析的な傾向がある、といわれています。
また前者は、自己の内部に行動の基準をもつ、リースマンの、いわゆる「自己志向」に対して、後者は、より「他者志向」の傾向をもつとされます。
出生順位の初期の研究の多くは、子供の行動異常や非行に関するものでしたが、最近までこの両者の明らかな関係を指摘した研究はないように思われます。
しかし、子どもの相談センターにもちこまれる問題は、第一子がより多いことも多くの研究者が指摘しています。この傾向が、出生順位の反映そのものであるのか、第一子を育てる両親の経験の未熟さや、不安の反映であるかは明らかではありません。
マクファーレンは、母親によって訴えられる問題行動は、第一子の女児がもっとも多く、第一子の男児と第二子以下の男児の間には差が少ないこと。男児の場合は出生順位によって問題のタイプが異なり、第一手には、内気、過敏、人の注意をひく、睡眠中落ちつきがない、という訴えがより多く、第二子以下は、活動過剰、反抗的、破壊的、嘘をいう、がより多いことを報告しています。
また、ほかの臨床的研究のなかにも、第二子以下に、過度の攻撃や、活動過剰がより多いことを報告しているものもあります。なお、母親からの訴えをみると、末っ子には、夜間のおもらし、ねぼけなどの習癖が、また、長子には、友達との関係に問題をもつと訴えられることが、それぞれ多かったという研究もあります。
出生順位の効果は、その子供が生活する心理学的な環境の発達的なパターンに依存していると思われます。このような家族内の、具体的な関係のありかたに感度を高めてゆかなければ、個性の発達に、どのように出生順位が影響をもつかを調査することは難しい。このような感度は、ひとりひとりの子供の、その具体的な状況の理解から得られるものではないでしょうか。

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