乱暴する子供

怒りの感情は、生後数カ月の赤ん坊でも、運動の自由を奪ったりすることでおこるといわれています。それほどに怒りや攻撃行動は自然な感情であり、本能ともいえるものです。危険にさらされた時に、すべての動物は逃げるか、はむかうかの行動を示します。これらは、身の安全を保つために動物に与えられた必要な能力ということができます。したがって、怒りの感情そのものをなくすことはできないし、またその必要はありません。問題になるのは、怒りの感情がどのような条件の時におこりやすいかを知り、なるべく避けるように努めることであり、また不必要な過度の攻撃行動がどのようにしておこるかを知り、それを予防することです。
怒りや反抗的な暴力がおこる条件は、個々の事例を取り上げるとなると様々なものになります。ある心理学者が調べたところによると、次のような場面で比較的おこりやすい。自分の意図した行為が妨害されること、自分の好ましい状態を変えさせられること、欲しい物が手に入らないか、大人が奪ってしまうこと、他の子供におもちゃを取られること、いつもの期待が妨害されること、自然な欲求が満足されないこと、けんかに大人が干渉すること、他人を自分の思うようにできないこと、大人に自分の自由が束縛されること、大人から叱責や肉体的処罰が与えられること、子供の意図を無視して、大人に行為が規制されること、あることに失敗すること、などです。このよ うな条件は、年齢や性別などによって様々に変わるでしょうが、年齢が進むにつれて、内面化し、自尊心が傷つけられたといったような自分の能力やいわゆる自我に関係したことが、怒りをおこす原図になってきます。

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これらの様々な条件は、突き詰めると、子供が自分でもった意図や欲望が阻止されたり否定されたりした場合であるといえます。すなわち、フラストレーション(欲求不満)の状態です。特に幼児期の子供は社会化ができていないため、自己中心的です。このために自分の欲望を中心に行動をしたがりますが、当然、周囲からの様々な制約にあって、フラストレーションをおこしやすい。このために幼児期は、一般に、反抗的であるといわれやすいのです。
ところで、フラストレーションになった時に怒りや攻撃行動が生ずるのは自然現象というべきですが、それがあまりにも自己中心的な欲望から出たものである時や、攻撃行動が他人にとって危険なものである時には、周囲から当然罰を含むいろいろな制約が加えられます。年齢とともに、このような経験を積むことによって、たとえフラストレーションの状態になっても、怒りを表に現わさなくなるのが普通です。
反抗的な子供とそうでない子供の違いは、生まれつきの衝動性や活動性などの気質によるよりも、むしろ、怒りや攻撃行動がどのように扱われたかの経験の仕方によって生ずるものと考えた方がよさそうです。
よくある例として、だだこね行動をあげることができます。欲しい物を目の前にして、手に入れることを拒否された時に、子供はフラストレーションとなり、そのはけ口に怒りやすねるといった行動をおこしやすい。それが好ましくない物である時、親の意志で首尾一貫許さないという状態が続くならば、すねる行動は消えてゆくにちがいありません。しかし、親が子供の意志に負けて一度許してしまうと、次の脱会にも同じことが繰り返されるはめになってしまいます。子供の側からいうと、だだをこねることが、欲しい物を手に入れるための手段となってしまうのです。このように、怒りやすい子供、反抗的な子供、暴力をふるいがちな子供は、生まれつきのものではなくて、どのような経験をしたか、いいかえると、親が子供をどのように扱ってきたかによってきまってくるということができます。

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