反抗的な子供と親との関係

子供の行為の形成に影響する条件は、数えきれないほどですが、その中でも、子供の行動に対して親がどのような処遇をしたか、が重要な影響をもつことが指摘されています。日常生活の中で、親は言語や行為で子供のやることに対して常に評価を与えているものですが、このことが、子供の躾の形成に重要なのです。親が使うこのような処遇の仕方として、わけをいいきかせる、脅かす、不承認、あやす、物を与える、褒める、慰める、からかう、感情に訴える、自尊心に訴える、叩くなどの体罰、所有物をとり上げる、椅子に坐らせる、ベッドに寝かせる、食物を与えない、一人にしておく、無視する、注意をそらす、トラブルの原因を除く、などが多く使われています。
したがって、反抗的な子供は、親の扱い方によって作られるものであるといえます。ある心理学者が多数の母親と面接し、その子供の攻撃性と母親の扱いとの関係について調べた研究があります。それによると、子供の攻撃行動を親がどの程度許したか、あるいは処罰を与えたかによって、子供の攻撃性の程度に相違が生ずることがわりました。
すなわち、子供の攻撃行動に対して許容的でなく、処罰は厳しく無い親の子供は攻撃性はあまりなく、攻撃行動を許す程度が高く、それでいながら攻撃行動に厳しい処罰を与える親の子供は攻撃性が高くなることがわかりました。このように、子供の攻撃性は親の扱い方によって左右されるものであることは、注意すべきことです。

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子供の暴力が、躾の仕方によって形成されるものであることは、このような例から明らかといえるが、このほかの条件としていわゆる模倣の影響をあげることができます。子供の行動は、前述のように、子供の行動に対して親がどのような処置をしたかによって大きく左右さ れますが、同時に、親や周囲の人達が常にどのような行動をしているかによっても大きく影響されます。
子供に影響を与える家庭環境という時、すぐその経済状態とか、社会的地位などの条件を考えやすいが、見落してはならないのは、そこに生活している人達の行動の影響です。つまり行動環境とでもいうべきものも、考えなければなりません。例えば、ロでは勉強しなさいといいながら、子供の前でテレビしか見ない親では勉強の躾をつけることはなかなか難しい。これと同じように、攻撃的な行動をしがちな親をみている子供は、やはり攻撃行動をおこしやすくなるといえます。
つまり子供は、親や周回の人たちの行動を模倣することによって影響を受けるのです。また、受ける影響は周囲の人たちからのみには限りません。最近のように情報手段が豊かで盛んになると、書物や雑誌、それにテレビやラジオを通じて多大の影響を受けることはいうまでもありません。
子どもの暴力が、このようなテレビの影響によってどのように形成されてゆくかを研究した心理学者がいます。それによると、テレビで乱暴な行為をし、それが許容される場面をみせられた子供は、そのようなテレビを見なかった子供に比べて、同じような暴力をふるう程度が著しく高くなることが示されています。特に男児にその傾向が高いことも示されました。また、興味深いことは、テレビで暴力行為が映され、その行為が強く罰せられた場合には、子供の模倣行動は起らないようにみえたことです。つまり、そのような行為は処罰せられるということで、抑制されるわけです。
しかし、注意しなければならないのは、そのテレビを見た子供が暴力をふるう場面に当面したときには、テレビでみた暴力行為が模倣されて出てきたということでした。つまり、テレビでどんなに暴力行為が処罰される場面をみせられても、暴力行為そのものは知ってしまうということです。「こういうことはやってはいけません」といって悪い行為を示すことは、たしかにその行為を抑制することには効果があっても、その行為そのものは教えてしまうことになるという点、注意すべきことなのです。
子供の暴力を引きおこし、それを育てる条件は、以上述べてきたことのほかにも多くのことを考えなければなりません。特に青年期以降の暴力については、より内面的な原因やあるいは社会状況なども考慮しなければなりません。また、暴力の内容が、刑法にふれるような犯罪的なものであったり、場合によっては精神病理学的な原因を考えなければならないようなものもあります。このような場合には、より専門的な研究と処置の仕方を考えなければなりませんが、通常の家庭でみられる学全期以前の子供の暴力は概してここに述べたような条件によっておこってくるものと考えられます。したがって、その処置は原則として、このような怒りや攻撃行動や暴力を起こす原因となっている条件を取りのぞくこといえます。暴力を引きおこす原因が長い間持続している場合には、がんこな暴力の習慣が子供にしみついてしまっているかもしれませんが、根気よくかつ一貫して原因となっている条件を取り除いていくことです。怒りの感情それ自身は消すことはできないのであるため、環境条件を変える以外にはありません。それは、とりもなおさず、親をはじめ周回の人達の行動自身も変えてゆかなければならないということです。

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