教育を受けさせる場合

親が子どもを養育していくことの一つに教育を受けさせる義務がありますが、では幼児の場合の幼稚園も、これに入るでしょうか。
 ここでは、教育と法律の関係をみていきましょう。
 幼稚園についての法律は、学校教育法の第七章に規定があり、その七七条には、幼稚園の目的として「幼稚園は、幼児を保育し、適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする」とあり、幼稚園は満三歳から小学校の始期に達するまでの幼児を保育するものです。
 ですから、家庭でも十分この保育がなし得る場合には、法律上、必ず行かせなければならないといった義務はないわけですから、幼稚園に出さなくとも十分に健全に育てることかできればよいわけです。また昨今のように高額な入園料や月謝をとるといった幼稚園もあるという風潮の中で、果たして幼稚園に行かせた方かよいかは家庭で別の面から検討する余地もあると思います。

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満六歳になったら小学校へ行くのは当り前と考えられていますが、法律では、これをどう規定しているでしょうか。
 憲法二六条では「すべて国民は法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、これを無償とする」と定めています。ですから、小学校、中学校を通じての九年間、親が子どもに教育を受けさせることは、憲法で定められた権利であり、また同時に義務でもあるわけです。
 この条文を受けて、教育基本法二五条は、
 国民はその保護する子女に、九年の普通教育を受けさせる義務を負う。
 国または地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は、これを徴収しない。と定めています。
 保護者は、満六歳になった子どもが病弱、発育不全その他やむを得ない事由のため、学校へ行かせるのか困難な場合には、市区町村 の教育委員会に義務教育の猶予または免除の申請をしなければなりません。教育委員会では、これを審査して免除するかどうかを決定します。なお、経済的な事由では、義務教育の猶予、免除申請はできません。この場合には就学援助として就学に必要な費用か市区町村から支給されます。
 また、生徒な正当な理由かなく七日以上欠席しますと教育委員会はそれが就学不履行と認められる場合には、その保護者に対し子どもの出席を督促し、それでも出席させないときは、罰金か科せられます。
 親が子どもに対して、お前は中学まで行けばいい、あるいは大学に行く必要はないなどと言うことは、高校以上の教育は義務教育ではないわけですから、それなりに理由があるわけですか、その場合、どうしても学校へ行きたいというとき、子どもから「親は子どもに教育を受けさせる義務があるのだから受けさせろ」と裁判上請求できるでしょうか。
 親権についての考え方が、旧民法時代の「家のための親権」から、今の民法の子どもの幸せとか、健全な成長といった「子の福祉を保障する親権」へと変わり、この親権は、未成年者の子どもを一人前の人格にしなければならない親の義務だというように変わってきています。
 他方、現実の社会では、高校や大学を出ていないと、たとえば出世が遅れるなど、いろいろな場合に学校を出たものと比べ劣る扱いを受ける面のあることを否定できません。
 このような状況の下では、教育を受けさせろという子どもからの請求は法的にも認められるのではないか、という気がします。
 実際に、親権者には、子どもを監護し、教育する義務があるわけです。しかし厳密にいうと、ではこの義務というのは、誰に対する義務か、ということになります。 一つには、国家あるいは社会に対する義務である、という説があります。この考え方によれば、子どもは親に対して義務を履行してくれという請求はできないことになります。なぜなら、親は国家あるいは社会に対して義務の履行を負うからです。
 他の一つは、子に対する義務であるという説です。この場合には、理論上親に対して義務の履行を求められますが、現実に未成年者は訴訟を起こすことはできず、代理人によるほかありません。この代理人は親権者自身ですから、自分が自分に対して訴訟を起こすことはあり得ません。
 以上から、子どもは親に対し裁判により高等教育を受けさせろという請求はできないことになります。
 つぎに、たとえば、親の行かせたいと思う学校と子どもが希望する学校が異なる場合どうすべきでしょうか。親権を行使して親のいうことを押しつけるということは法律の期待するところではありません。親権は、あくまでも「子のための親権」ですから、希望校を決める場合も、できるだけ子どもの意思も尊重し、話合いで決めるべき問題です。
 また、大学へ通わせたのに、学生運動や遊びに熱中し、何度も落第し留年するという場合、親としてどうするかです。大学生の年令にもなれば、物事に対する判断能力もあり、また労働基準法でも労働者として認めていますので、子どもを甘やかさず、親としての忠告をし、それでも聞かなければ経済的援助をストップしたとしても、親としての監護、教育義務に違反するということはありません。

親が子供を養育する場合、育てていく義務がある/ 教育を受けさせる場合/ 養育するのが困難な場合/ 子供が連れ去られた場合、引渡請求権を行使する/ 養子をむかえる場合/ 子どもが生まれた場合/ 胎児と子どもの権利/ 結婚前に生まれた場合/ 結婚外で生まれた場合/

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